調査レポート
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景気動向調査
 平成11年4月  (平成11年4月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕4月の特色
◆ 住宅建築需要、動き出す
◆ 消費需要、根強い低迷
◆ 機械金属の業況悪化が拡大
  〔 2 〕4月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転1ポイント、悪化35ポイントで、DI値はマイナス34ポイントとなり、前月のマイナス31ポイントに対し、3ポイントの悪化で、前々月(2月)の数値に戻った。昨年11月からは、1月のマイナス42ポイントを除き、マイナス30ポイント台が続き、下げ止まりにはなったものの、底這いを続けていることとなる。

 この長期不況の中で、底這いの後に底割れがあったことを考えると、改善の一押し、ニ押しが求められるところである 。 

 例年4月は、季節要因で需要が増加する業種、減少する業種の両方がそれぞれ同レベルで発生する。公共工事の端境期、決算調整需要の反動はマイナス要因、季節の変わり目はプラス、マイナスの両面、観光シーズン入り、入学、就職等はプラス要因である。本年も、これらの季節要因による需要動向変化が表れているが、マイナス傾向は強く、プラス傾向は弱いという結果になっている。

 当月の特記すべき動向としては、消費需要の低迷は根強く、地域振興券による消費拡大効果は3月に続いて見られていないことがあげられ、また、航空機関係を除く機械・金属の業況が悪化していることがあげられる。

 明るい動きとしては、住宅関連業で需要が増えて来た業種が拡大していることがあげられる。3月までは需要が大手ハウスメーカーに行き、地元企業には来ていない状況にあったが、地域の工務店、産直住宅、木製建具等に受注が出て来ている。

 これらを総合すると、改善、悪化、両面の業種がある中で、概ね前月並みの厳しい景況が続いていることになる。

 前月比業況悪化の業種が特に多いのは機械・金属、繊維・同製品、食料品で、堅調な業況が続いているのは航空機関連、業況が好転傾向にあるのは木材・木製品である。

  主な業種区分の業況概況

食料品は、前月と概ね同様の状況が続き、清酒は季節要因による前月比売上増加、他は横這いとなっている。依然、業況の低迷が続き、また、大手メーカーとの競合、大型店の廉売の影響も続いている。

繊維・同製品の織物工業等川上業種は、前月同様、前月比売上動向は業種によって分かれているが、前年対比動向はすべて前年割れとなっている。アパレル等の川下業種は春物不振、夏物の動きが慎重のため低調に推移、季節の変わり目で受注が減少している。

木材・木製品は、住宅建築用需要が動き出した業種が増え、また、季節要因により家具の前月比売上増加も見られ、総合すると業況の改善が見られた。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックは、業種により需要動向が多様に分かれている。需要が増加したのはプラスチック、概ね堅調は家庭紙、低迷は特殊紙及び紙加工品、季節需要が伸び悩みで終了したのが印刷となっている。紙加工品では需要低迷に加え、小口配送の増大による経費増があり経営を圧迫している。

窯業・土石の陶磁器、モザイクでは低迷が続き、特に陶磁器の長期の需要減少は深刻な問題になってきている。建設関連資材は、工事端境期に入り前月比売上は減少、前年対比は概ね横這いである。石灰は、前月化学工業用の売上が増加したが当月は減少に転じ、鉄鋼用の不振と併せて業況が悪化した。

機械・金属では、前月の下降気配が濃厚となり、当月は需要の減少、業況悪化が明らかになった。航空機関係は引き続き堅調であるが、他は機械、金属製品、金型とも全般的に業況悪化である。

各種物産品の前月比売上動向は、観光物産中心では増加、ギフト中心は減少と動向が分かれた。しかし、売上増加のあった観光物産中心でも、業況の好転には至っていない。

卸売業では、前月と同様、陶磁器卸が低迷、飛騨地区総合卸が低調となっており、需要回復の動きは見られない。

小売業では、季節要因で3月に引き続き、他の月に較べて売上が多い水準で推移した。しかし、依然消費需要は冷え込んだ状態が続き、回復気配は出ていない。地域振興券については、前月同様、通常の買物において現金等の代わりに使用され、売上増加への効果が出ていない。

商店街は小売業と概ね同様、季節需要で前月比横這い、他の月に較べれば高い水準の売上で推移した。しかし、前年対比では、売上減少となった商店街が約半数あり、業況としては低迷が続いている。消費者の購買意欲は依然低く、消費節約が続いている。地域振興券による売上増加効果は前月同様出ていない。

サービス業は観光シーズン入りによる前月比売上増加の業種が一部出ているが、全体的に盛り上がりを欠き、概ね前月並み、低調な業況で推移している。

建設業は、公共工事端境期に入り、総合的には売上、受注の減少傾向にあるが、羽島地区では受注が確保され好調に推移するなど格差が出ている。また、住宅建築も受注に「動きが出ていない」との回答と、「増加して来た」との回答に分かれ、動向にバラツキはあるが、変化が出て来ている。

運輸業は概ね低調横這い、県域貨物運送は前月比、前年同月比ともに売上減少と業況悪化となっている。

  主な調査項目での動向
売上動向は、増加18ポイント、減少35ポイントで、DI値はマイナス17ポイントとなり、前月のマイナス15ポイントに対し、32ポイントの大幅な下降となっている。
 前月(3月)は、年間で最も需要の多い月であり、前々月(2月)の低調月に対する反動も加わり、売上増加の動きが顕著に出る時期である。当月は、その前月に対する比較であるため、減少傾向が出易い傾向にある。
 しかし、4月は入学、就職等の売上増のプラス要因が残っているため、減少傾向は小幅で止まるケースが多いが、今回は大きな下降であり、景況動向が危惧されるところである。
 減少の要因となった業種区分は主に窯業・土石、機械・金属である。また、特色としては、木材・木製品が明らかな形で増加傾向にあり、これと対照的に機械・金属の減少傾向が強いことがあげられる。
 その他の業種区分で売上が前月並みにあるのは食料品、小売関係、サービス業、建設であり、減少傾向が大きいのは繊維・同製品、窯業・土石である。なお、消費需要については依然低調であり、地域振興券の消費需要拡大効果は前月に引き続き出ていない。

受注動向は、増加15ポイント、減少36ポイントで、DI値はマイナス21ポイントとなり、前月のマイナス2ポイントに対し、19ポイントの大幅な減少傾向となっている。
 要因は売上動向と概ね同様で、繊維・同製品、窯業・土石、機械・金属の減少によるものである。受注増加は木材・木製品だけで、他は概ね前月横這いで推移している。

販売価格の動向は、上昇0ポイント、下降19ポイントで、DI値はマイナス19ポイントとなり、前月のマイナス14ポイントに対し、5ポイントの下降となっている。直近3カ月の動向に較べ下降傾向が強く、企業収益の圧迫要因として危惧されるところである。下降業種割合が大きいのは窯業・土石、鉄鋼・金属製品、建設である。

収益状況の動向は、好転6ポイント、悪化24ポイントで、DI値はマイナス18ポイントとなり、前月のマイナス19ポイントに対し若干の改善となった。また、2カ月連続でマイナス10ポイント台となり、水面下ではあるが改善の方向が固まってきた情勢が窺える。
 しかし、業種間の格差が拡大し、悪化業種割合が食料品、繊維・同製品、建設業で大きく、一方、木材・木製品、流通関係の業種には悪化回答が無い。悪化の大きい業種の今後の推移が懸念されるところである。
   〔 3 〕向こう3カ月の動向
向こう3ヵ月の景気動向予想は、好転予想4ポイント、悪化予想36ポイントで、DI値はマイナス32ポイントとなり、当月実績のマイナス34ポイントに対し、2ポイントの改善予想となっている。

 当月実績との比較では、好転が当月実績1ポイントに対し、予想は4ポイントと拡大していることが大きな変化である。

 また、例年、5月、6月は、3月、4月に対し売上が減少する業種が多く、景況が下降する動きが見られるが、今回の予想は反対に若干ながら改善の予想となっており、この季節要因を配慮すれば、プラスアルファの改善傾向として評価することができる。

 しかし、いずれにしても水面下深く、厳しい状況にあることには変わりなく、特に企業経営は一段と厳しさを増す情勢が続くことが予想される。

 当月横這いの予想は木材・木製品、建設業、運輸業で、悪化予想が特に多いのは窯業・土石、機械・金属、食料品、繊維・同製品である。

 また、好転予想業種は米菓、集成材、木製建具である。

売上動向予想は、増加予想7ポイント、減少予想34ポイントで、DI値はマイナス27ポイントで、当月実績のマイナス17ポイントに較べ10ポイントの大幅な減少傾向となっている。
 減少予想が窯業・土石及び機械・金属で極めて多く、次いで繊維・同製品、商店街、建設業で多い。一方、食料品、木材・木製品は増加予想が減少予想を上回っている。

収益動向予想は、収益状況動向予想は、好転予想4ポイント、悪化予想35ポイントで、DI値はマイナス31ポイントとなり、当月実績のマイナス18ポイントに対し、13ポイントの大幅な悪化予想となり、景況の後退を連想させる厳しい予想となっている。
 悪化予想割合が特に多いのは、窯業・土石、機械・金属、繊維・同製品、次いで建設業、商店街となっている。



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