調査レポート
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景気動向調査
 平成11年6月  (平成11年6月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕6月の特色
◆ 住宅建築関連、活性化
◆ 景況感水面下で、やや持ち直し
◆ 機械・金属一段と冷える
  〔 2 〕6月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転4ポイント、悪化39ポイントで、DI値はマイナス35ポイントとなり、前月のマイナス39ポイントに較べ4ポイントの改善となっている。

 好転回答が前月の1ポイントに対し、当月は4ポイントに増加したことによる改善となった。

 また、前々月(4月)、前月(5月)連続で下降した景況感が半分戻したこととなる。

 例年6月は、5月の長期休暇による営業日数減少の反動、夏季需要のプラス要因、梅雨のマイナス影響等の季節要因があるが、相殺すると季節要因による影響は比較的小さい月となっている。

 当月の特記すべき事項としては、@引き続き消費需要が冷え込んでいること。A機械・金属が下降を続けていること。B建築関連が伸び悩みから一歩抜け出した需要増加が出たこと。C公共工事発注が出遅れていることがあげられる。

 これらの動向を総合すると、需要不足、競争激化、低収益の不況構造が強い中で、建築関連の業種だけが弱いながら動いていることになる。

 前月比業況悪化の業種が特に多いのは窯業・土石、繊維・同製品、機械・金属、食料品、サービス業である。その中で悪化が半数を超えているのは窯業・土石、繊維・同製品、機械・金属である。

 これに対し、業況が改善したのは木材、電気機械器具、多治見商店街である。

  主な業種区分の業況概況

食料品は、季節需要による前月比売上増の業種もあるが、景況感を改善するまでには至っていない。依然、大型店、大手企業との関係で中小地元企業の経営圧迫が続いており、また不況と重なって厳しい状況が続いている。

繊維・同製品は、前月に引き続き、織物等の川上業種、アパレル等の川下業種ともに需要低迷が続き、また、収益、資金繰りの悪化傾向も強く、厳しい業況となっている。
 前年対比で売上増となっているのは、昨年が最悪の状況にあった靴下だけで、他は倒産・廃業の発生など一段と厳しさを増した状態となっている。

木材・木製品は、建築需要を受けて建築関連木材の需要が増加している。しかし、銘木には需要が出ていない。また、建築の引合はあっても成約が遅く、家具需要には及んでいないなど、拡がりの力不足が一部に見られる。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックは、全般的に低迷が続いているが、その中で前年割れの業況にあるのは、紙・紙加工品、印刷である。プラスチックは製品部門により業況は異なるが、概ね前年並みとなっている。

窯業・土石の陶磁器、モザイクタイルは、需要低迷、業況悪化となっている。特に陶磁器製品は消費低迷を受け、業況悪化が大きい。建設資材については端境期に当たり売上、受注ともに低調の中で、前年割れとなっており、厳しい業況となっている。

機械・金属は、総合すると前月に引き続き前月比売上が減少。収益、資金繰りも悪化傾向が強く、業況が悪化している。その中で、電気機械は住宅用換気送風機器の売上、受注が増加し、業況が改善している。

各種物産品は、季節要因により前月比売上が増加している。前年対比で見ると、観光物産系では売上増加であるが、ギフト系は14%程の減少で明暗を分けている。

卸売業で陶磁器卸はさらに業況悪化、飛騨地区総合卸は前月横這い、前年並みの業況で推移している。陶磁器卸は市況が冷え切り、先行きの見通しが立たないとしている。

小売業は、一部に季節変動の影響のある業種があるが、全般的に前月横這いの低調な業況で推移している。収益状況の悪化傾向が強く、長期低迷により企業経営が厳しくなっている。

商店街は、地区により動向が分かれており、多治見で景況感の改善が見られた。実に商店街での景況感好転の回答は久し振りのことである。しかし、この改善も先行きについては不安であるとの見方になっている。

サービス業は、業種により動向が異なっている。情報関係は前月横這いで堅調推移、観光地旅館は全て前年割れで、業況悪化傾向が強い。その他のサービス関係は概ね低調横這いであるが、広告美術は「最悪」の業況である。

建設業は、公共工事関係と民需の住宅建築関係との間で業況が分かれている。公共工事関係は前年に較べ発注量が少なく、発注が出遅れ、同業者間の受注競争が激化、ダンピング受注も一部に見られ、業況が厳しくなっている。早期発注の要望が強い。住宅建築関係は、売上、受注が増加して来ているが、業況の改善には至らず力不足の状況にある。

運輸業は、概ね前月横這い、低調な業況が続いている。

  主な調査項目での動向
売上動向は、増加21ポイント、減少35ポイントで、DI値はマイナス14ポイントで、前月のマイナス37ポイントに較べ23ポイントの大幅な改善となっている。
 要因には、営業日数の少なかった5月の反動等の季節要因、住宅建築関連需要の売上増加があげられる。
 これらの売上増加について、前年対比で見ると、増加となっているのは木材等の極く少数で、大半が前年割れとなっており、業況の改善には殆どつながっていない。
 総合すると、前月に引き続き厳しい動向となっている。
 売上減少業種が特に多いのは繊維・同製品、機械・金属である。

受注動向は、増加14ポイント、減少29ポイントで、DI値はマイナス15ポイントとなり、前月のマイナス35ポイントに対し、20ポイントの大幅な改善となっている。
 改善の要因には、売上動向と同じく、前月(5月)の反動、新年度の公共工事発注等の季節要因があげられる。売上動向の中で増加の動向が出ている住宅建築関係で、受注動向の増加が少ないことは、今後の業況推移の弱含みを窺わせ懸念される。また、全般的に受注動向の低迷が続いている。
 受注減少業種が特に多いのは窯業・土石、機械・金属、サービス業である。一方、増加となっているのは各種物産品、建設業である。

販売価格の動向は、上昇1ポイント、下降27ポイントで、DI値はマイナス26ポイントとなり、前月のマイナス18ポイントに対し、8ポイントの大幅な下降となっている。需要の低迷、同業者間の競争の激化を如実に示す動向となっている。
 建設業でダンピング受注が一部に見られ、企業収益を圧迫する大きな要因であり、今後の企業経営の懸念材料となっている。
 下降業種が特に多いのは、食料品、窯業・土石、機械・金属、サービス業である。

収益状況の動向は、好転6ポイント、悪化37ポイントで、DI値はマイナス31ポイントとなり、前月のマイナス40ポイントに対し9ポイントの改善となっている。しかし、前々月(4月)のマイナス18ポイント、前々々月(3月)のマイナス19ポイントに較べると、未だマイナス値が大きく、改善感は弱い。
 悪化業種が特に多いのは繊維・同製品、機械・金属、食料品、小売業、サービス業である。
   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヵ月の景気動向予想は、好転予想6ポイント、悪化予想31ポイントで、DI値はマイナス25ポイントとなり、当月実績のマイナス35ポイントに対し、10ポイントの改善予想になっている。悪化の減少、好転の増加という望ましい動向予想となっている。

 前月の改善予想は、ポイントは下回ったが改善を実現しており、当月の改善予想にも期待がかかるところである。

 好転予想回答は、建築用木材関係で2回答、他は分散し、住宅建築関係業種だけが強含み推移の予想になっている。他は中元セールへの期待も弱く、概ね当月横這いの厳しい業況が予想されている。

 好転予想の業種は、木材、集成材、電気機械器具、映像製作、産直住宅である。

 悪化予想業種が特に多いのは、繊維・同製品、窯業・土石、機械・金属、サービス業である。

売上動向予想は、増加予想11ポイント、減少予想26ポイントで、DI値はマイナス15ポイントとなり、当月実績のマイナス14ポイントに対し、若干のマイナス増の予想となっている。景況感予想とは異なった動向予想となっており、需要増が景況好転業種に片寄り、業種範囲が拡がっていないことを推測させる。
 また、当月実績との相違点として「不変」が当月実績は44ポイントに対し、向こう3カ月予想は66ポイントと大幅に増大したことがあげられ、需要低迷が続くとの予想が圧倒的に多い。
 DI値がプラスの予想になっているのは木材・木製品、各種物産品であり、反対に減少予想が多いのは機械・金属、商店街、繊維・同製品、窯業・土石である。

収益動向予想は、好転予想5ポイント、悪化予想28ポイントで、DI値はマイナス23ポイントとなり、当月実績のマイナス31ポイントに対し、8ポイントの大幅な改善予想となっている。
 当月実績との相違点として、当月実績の「悪化」が37ポイントであるのに対し、予想では28ポイントであり、9ポイントの大幅な減少があげられる。また、「好転」予想4回答が「木材・木製品」と「建設業」に各2回答集中していることも特記すべき事項である。
 これらの結果、好転への動きは住宅建築関係の業種に限られ、他は前月の厳しい状況が続くか、あるいはさらに悪化する予想となっている。
 DI値がプラスの予想になっているのは木材・木製品だけであり、一方、悪化予想が特に多いのは機械・金属、窯業・土石、サービス業、食料品である。



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