調査レポート
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景気動向調査
 平成11年11月  (平成11年11月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕11月の特色
◆ 景況感停滞。
◆ 消費関連の冷え込み続く。
◆ 収益状況、資金繰りの悪化が強まる。
  〔 2 〕11月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、前月と全く同じ好転2ポイント、悪化25ポイント、DI値マイナス23ポイントとなっている。

 前々月マイナス13ポイントの後、前月はマイナス23ポイントで悪化、当月は横這いであり、調整局面が続いていることが窺われる。

 例年11月は、秋需の減少で、前月比景況感が下降する傾向にあるが、当月は9月、10月の高温気候で秋需が弱く、業況の後退感も出ていない。前月比売上の増加傾向は大きく後退したが、景況感は横這いという状況である。

 業種別の動向としては、前月に引き続き住宅建築関係の堅調、公共工事施工の進捗による売上増が見られ、反対に小売等の流通関係、消費物資関係では前月比売上の減少、業況悪化が見られることが特色としてあげられる。また、機械・金属関係はこの数ヵ月、売上が一進一退となっており、当月は増加傾向となっているが、景況感は悪化で明るい材料は出ていない。

 全般的に、販売価格の下降、収益状況及び資金繰りの悪化が強く出ており、企業経営の厳しさは深刻さを強めている。
 依然、需要不足、低価格、過当競争の状況が続いており、前月まで改善傾向であった収益状況がマイナス28ポイントと悪化傾向が再び強まったことが懸念されるところである。

 景況感のDI値がプラスとなっているものは無く、±0は木材・木製品、紙関係、印刷、プラスチック、サービス業、建設業、運輸業である。

 悪化業種が特に多いのは食料品、繊維・同製品、窯業・土石、商店街である。

  主な業種区分の業況概況

食料品は、前月まで秋需の盛り上がりが弱く、秋需が遅れて出てきたような形で前月比売上増加となっている。しかし、前年を上回った業種は無く、反対に前年割れの業種は、7回答中4回答ある。業況の改善への効果は無く、景況感の悪化傾向が依然強い。

繊維・同製品は、秋需の不振、冬物・来春物の出遅れで売上、受注の減少が大きい。織物等の川上業種からアパレルの川下業種まで、全て業況が停滞、下降している。

木材・木製品は、前月と同様の動向が続き、建築資材関係は好調、家具は低迷となっている。しかし、好調な建築資材関係でも価格が厳しいため、景況感の改善効果は弱く、また、需要動向の勢いが弱まってきた様子が窺われ、不安材料となっている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックは、概ね前月と同様の業況で推移したが、前月比売上動向で印刷は増加、特殊紙は減少の変化があった。全般に原料高、製品安の傾向が強く、収益状況が厳しい。

窯業・土石の陶磁器関係は、前年割れの低迷が続き、また、明るい材料も見えない状況が続いている。輸出陶磁器は前月比売上、受注をはじめ業況が悪化している。建築資材関係は砂利、生コンクリートで前月比売上が増加しているが、砕石等他の建築資材は低迷が続いている。陶磁器、建築資材とも、前年対比では大半の業種で売上が減少している。石灰は、需要先の東南アジア向け鉄鋼輸出増と化学工業の回復で前月比、前年対比ともに出荷量が増加している。

機械・金属の需要動向は、前々月は増加、前月は減少、当月は増加と不安定な状況が続いている。売上、受注が前月比増加している業種においても、受注単価は厳しく、収益状況、景況感は改善していない。このため、先行不透明感の濃い状況が続いている。

各種物産品の前月比動向は、観光物産は好転、ギフトは悪化となっている。しかし、前年対比はともに売上が減少している。特にギフトは、前年対比19%の売上減少で非常に厳しい状況が続いている。

卸売業の陶磁器卸は、前月に引き続き業況悪化となっている。取引先となる百貨店、チェーンストアの激しい販売競争の影響も大きく、業界も販売効率向上、商品力強化等厳しい対応を迫られている。飛騨地区総合卸は、特に変化なく、前月並みの業況で推移している。

小売業は、前月横這いの低調な業況で推移している。長期低迷の中、前年対比も同程度の水準にある。家電販売では、大型店は好調に推移しているが、地域店は不振であり、中小小売業は不況による消費停滞に加えて大型店等との競合により業況悪化に追い込まれている。

商店街は、需要動向としては小売業と同様であるが、景況感の悪化が小売業に較べ強く出ている。イベントを行っても販売に結び付かず、また、人出もイベント時だけ増え、他の日は閑散に戻る中、打つ手に困った状況で、商店街衰退の切迫感が強いことを窺わせている。

サービス業は、業種毎に業況が多様に分かれている。堅調な業況にあるのは情報サービス、水面下で上昇したのが下呂温泉、悪化したのは高山旅館、前年並みの低迷、前年割れの不振等々に分かれている。その中で前月比売上を総合すると、若干の増加傾向となっている。堅調な情報サービスを除くと、業況は低迷を続けていることとなる。

建設業は、公共工事施工の本格化で前月比売上は増加となっている。しかし、発注の一服感、件数の減少で、受注競争は一段と強まり、景況感の改善は見られない。業況は地区、業種により異なり、公共工事発注の地域差、住宅建築需要の地域差、管工事の発注の低迷が続いているなど多様である。業況の好転が見られる業種が一部に見られるが、過半の業種は依然厳しい業況となっている。

運輸業は、前月同様、前月横這いの低調推移となっている。県域貨物運送は、前年割れの業況が続いている。

  主な調査項目での動向
売上動向は、増加25ポイント、減少16ポイントでDI値はプラス9ポイントとなり、前月のプラス25ポイントに較べると16ポイントの下降となっている。
 例年11月は、9月、10月の需要期後のため、上昇の勢いが下降する傾向にある。当月は大幅な下降傾向であるが、DI値のプラス値を確保している。プラス値の要因には、高温のため食料品、サービスの秋需の期間が延びたことによることがあげられる。
 業種別に見た主な動向には、建築関係、公共工事関係で順調に伸び、また前月一服感のあった機械・金属で売上増加に転じたことがあげられる。
 売上増加業種が特に多いのは食料品、木材・木製品、機械・金属、建設業である。反対に売上減少業種が多いのは繊維・同製品、窯業・土石である。

受注動向は、増加17ポイント、減少20ポイントで、DI値はマイナス3ポイントとなり、前月のプラス11ポイントに対し、14ポイントの大幅な下降である。要因、特色は売上動向と同様である。これを業種別に見た場合も、売上動向と同様であり、減少の動きは多く、業種区分は分散し、特定の業種に片寄っていない。
 受注増加業種が多いのは食料品、鉄鋼・金属、建設業、サービス業である。反対に受注減少業種が多いのは、繊維・同製品、窯業・土石である。

販売価格の動向は、上昇1ポイント、下降18ポイントでDI値はマイナス17ポイントとなり、前月のマイナス11ポイントに対し、6ポイントの強い下降傾向となった。売上の増加があっても景況感の改善に結び付かない最大の原因である。低価格化は製造、流通、建設、全般に見られる。
 販売価格下降傾向は機械・金属を除く業種全般に見られるが、その中でもサービス業、窯業・土石、小売業、建設業で強い。

収益状況の動向は、好転2ポイント、悪化30ポイントで、DI値はマイナス28ポイントとなり、9月、10月のマイナス10ポイント台から、8月の20ポイント後半レベルに大きく後退、前月のマイナス16ポイントに対しては12ポイントの悪化である。長期不況による売上の伸び悩み、販売価格の下降によるものである。
 悪化業種が特に多いのは食料品、繊維・同製品、窯業・土石、機械・金属、小売業である。
   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヵ月の景気動向予想は、好転予想5ポイント、悪化予想28ポイントで、DI値はマイナス23ポイントとなり、当月実績と同数値、当月横這いの予想となっている。

 向こう3ヵ月の12月、1月、2月には12月の年末需要を含むものの、1月、2月は不需要期であり、例年は当月実績に較べ、景況感が大幅に下降する傾向にある。その意味においては悪化の度合が抑え目に予想されていることになる。
 その要因には、長期不況下、底を探る景況が続いていることが考えられる。

 これまで、堅調な業況にあった住宅建築関係と情報サービスであるが、その中で住宅建築関係の伸びが止まる見方が強くなっている。他の業種では変化が小さく、特に消費需要関連の低迷が一段と強まる予想となっており、明るい材料が全く見られない状況にある。

 悪化予想業種が特に多いのは食料品、繊維・同製品、鉄鋼・金属、商店街である。

 好転予想業種は金型(情報関連)、情報サービス、産直住宅である。

売上動向予想は、増加予想15ポイント、減少予想21ポイントで、DI値はマイナス6ポイントであり、当月実績のプラス9ポイントに対し、15ポイントの大幅な下降予想となっている。
 主な要因には、12月年末需要を除くと、1月、2月は不需要期であることがあげられる。この季節要因を考慮すると売上動向としては当月実績レベルで推移するものと予想される。
 売上減少予想が多いのは繊維・同製品、紙関係、機械・金属で、増加予想業種が多いのは、建設業、商店街である。また堅調な業況の情報サービスは堅調を保ち、建築資材関係は下降気味予想が出ている。

収益動向予想は、好転予想4ポイント、悪化予想23ポイントで、DI値はマイナス19ポイントとなり、当月実績のマイナス28ポイントに対しては9ポイントの大きな改善の予想になっている。売上の減少予想、景況の悪化予想と照らし合わせ、改善の要因が測れないため、違和感のある予想となっている。
 悪化予想業種が多いのは紙関係、機械・金属関係、食料品、窯業・土石、次いで建設業、繊維・同製品となっている。
 好転予想業種は、米穀小売、金型、マルチメディアソフトである。

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