調査レポート
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景気動向調査
 平成11年12月  (平成11年12月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕12月の特色
◆ 年末年始需要で売上増加、景況感は不変。
◆ 販売価格、収益、資金繰りの悪化続く。
  〔 2 〕12月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転1ポイント、悪化28ポイントでDI値はマイナス27ポイントとなっている。
 前月のマイナス23ポイントに対し、4ポイントの悪化である。

 近年にない9月のマイナス13ポイントの好転から、10月、11月、当月まで、14ポイントの悪化で、景況は再々度の悪化動向に入っている。

 例年12月は、年末年始の消費需要、公共工事施工による進捗のプラス季節要因がマイナス材料を上回っているが、9月、10月の全般的需要期に較べると、その力は弱くなっているため、景況感を引き上げる力が弱まっている。

 当月においても、前年比売上動向はプラスとなっているが、景況感は反対に若干のマイナスとなっている。

 業種別の動向で、食品、小売業等の年末年始の消費需要関係、建設関係の業種で売上が増加したが、需要の伸びが弱く、また、価格が厳しいため、景況感は反対に悪化している。これは、現在の不況を特徴づけている。堅調な業況が続いていた建築関係では、概ね堅調を持続しているが、一部に先行の下降気配を指摘する意見が出て来ており、今後の動向には注意を必要としている。

 依然堅調な業況を保っているのは情報サービスだけである。

 他の業種は、前月並みで、厳しい業況が続いている。

 これらを統合すると、景況動向は前月の厳しい業況から若干ではあるが、さらに悪化したことになる。

 収益状況、資金繰りは前月に較べ、悪化の度合いが若干改善されたが、依然悪化傾向は強く、企業経営も益々厳しくなっている。

 景況感DI値がプラスとなっているものは無く、また、悪化業種が多いのは食料品、窯業・土石、機械・金属である。

  主な業種区分の業況概況

食料品は、年末年始需要により売上が前月比増加しているが、伸びが弱く、また、販売価格の下降も大きく、景況感は悪化している。売上増加に伴い、収益状況が改善した業種があるが、その業種においても景況感は改善していない。

繊維・同製品は、季節要因により売上が前月比増加しているのは3業種であるが、前年対比で売上増加となっているのは1業種である。また、他の業種も大半が前年割れであり、依然、需要は冷え込んだまま動いていない。特に、販売価格の下降傾向が強く、業況、企業経営ともに益々厳しくなっている。

木材・木製品は、季節要因により前月比売上が下降している。前年対比で見ると、木材等、建築関係は前年並みを維持しているが、家具は前年割れとなり、2極に分かれている。建築関係は堅調な業況を保ち、家具は、業況の悪化が続いている。堅調を保った建築関係でも一部に先行の不安の意見があり、また、在来工法住宅の建築が少ないなど業況のバラつきも見られ、一部に不安材料を持っている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、季節需要、2000年問題需要により売上が前月比増加した業種が半数程あるが、景況感が改善した業種は無い。堅調な業況にあるのは家庭紙、下降傾向が強いのは紙加工品、プラスチックで、業況の業種間格差が多様に分かれているが、総合すると下降傾向が強い状況にある。

窯業・土石の陶磁器関係は、内外需ともに低迷が続き、先行にも明るい材料が見えてこない状況となっている。その厳しい状況の中で、燃料コストの上昇、短納期化等の経営圧迫要因も強く、企業経営は益々厳しくなっている。建設資材関係は建設工事の進捗により、出荷量が増えているが、前年対比では減少している。しかし、砕石は前月比、前年対比ともに売上減少で、経済不況とは別の不況要因も考えられ、他に較べ一層厳しい状況となっている。石灰では、前月、鉄鋼向け、化学工業向けともに出荷が増加したが、当月の鉄鋼向けは減少、化学工業向けは引き続き増加となっている。

機械・金属は、前年対比売上が増加している業種が一部にあるが、統合すると、前月比、前年対比ともに売上が減少している。需要回復につながる材料も見当らず、厳しい業況が続いている。特に、受注単価が厳しく、収益状況悪化の傾向が強いことが大きな問題となっている。

各種物産品は年末年始需要により、売上が前月比顕著な増加となっている。しかし、前年対比では、観光物産は増加、ギフトは減少と分かれ、業況回復の動きとまでは言えない状況にある。

卸売業の陶磁器卸は、前月に引き続き業況悪化となっている。長期の売上不振による業況悪化に加え、近年の環境問題に対する対策も大きな課題になってきている。飛騨地区総合卸は、食料品の年末需要により売上は前月比増加となっている。しかし、前年対比は横這いである。

小売業は、年末年始需要で前月比売上が増加となっている。しかし、共同店舗を除き、全ての業種が前年対比売上が減少しており、業況も低調横這い又は悪化となっている。

商店街は、総合すると小売業の動向と類似した動きになっているが、不況感は強い。2000年に係るイベント等、販売促進の努力にもかかわらず、来街者の減少、前年割れの売上となっている。

サービス業は、前月に引き続き、業況が多様に分かれている。好転が続いている情報サービス、季節要因で売上が増加したのは自動車整備、飲食、前月比、前年対比ともに売上が減少したのは旅館である。これらを総合すると業況悪化業種が多く、業況は改善ではなく、悪化となっている。

建設業は、業種、地域により業況が異なるが、公共工事施工の進捗もあり、総合すると前月比売上が増加傾向となっている。業況は総合請負に較べ管工事等の専門工事業の方が悪いという傾向が出ているなど、業種間、地域間で多様なバラツキがあり、傾向をまとめることが厳しい状況である。

運輸業は、前月同様、低調横這いの推移となっている。県域貨物運送は、前年割れの業況が続いている。

  主な調査項目での動向
売上動向は、増加37ポイント、減少27ポイントでDI値はプラス10ポイントとなり、前月のプラス9ポイントと概ね同レベルの増加傾向が続いた。
 例年12月は、年末年始の消費需要、公共工事施工の進捗で売上が増加するが、当月もその動きとなり、また、2000年問題対応需要も加わり、前月比売上は増加となっている。
 しかし、最近、年末年始需要の動きが小さくなっており、当月も同様に動きが小さく、また売上増加業種が少ないため、業況への改善には至らず、反対に悪化となっている。
 業種別に見た主な動向としては、プラス動向は建築関係、公共工事関係が概ね順調に推移したこと、情報サービスが好調に推移していることがあげられ、マイナス動向は機械・金属が再び下降に転じたこと、旅館関係が全て悪化となったことがあげられる。
 売上増加業種が特に多いのは食料品、小売業、商店街、建設業である。反対に売上減少業種が多いのは木材・木製品、機械・金属である。


受注動向は、増加32ポイント、減少21ポイントでDI値はプラス11ポイントとなり、前月のマイナス3ポイントに対し、14ポイントの大きな好転となっている。要因、特色は概ね売上動向と同様で、消費物資関係、建設関係の好転があげられる。
 受注増加業種が多いのは食料品、各種物産品、建設業で、反対に受注減少企業が多いのは窯業・土石、機械・金属である。

販売価格の動向は、上昇3ポイント、下降20ポイントでDI値はマイナス17ポイントで、前月と同数値で強い下降傾向が2カ月続いたことになる。前月同様、売上の増加があっても景況感の改善に結び付かない最大の原因である。価格が厳しいのは全ての業種に見られるが、前月比で下降傾向が強く出たのは繊維・同製品、食料品、建設業である。

収益状況の動向は、好転5ポイント、悪化28ポイントで、DI値はマイナス23ポイントとなり、前月のマイナス28ポイントに較べ、5ポイントの改善となった。しかし、9月、10月がマイナス10ポイント台であったのに対し、11月、12月がマイナス20ポイント台の高いマイナス値が続いており、企業経営の厳しさが一段と増している。
 売上不振、低価格、コスト高(石油系、木材)等、収益マイナス要因だけが強く、プラス要因が出て来ていないため、今後の推移も厳しいものと推測される。
 悪化業種が特に多いのは、機械・金属、窯業・土石、サービス業である。
   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヵ月の景気動向予想は、好転予想4ポイント、悪化予想34ポイントで、DI値はマイナス30ポイントとなり、当月実績のマイナス27ポイントに対し3ポイントの悪化予想となっている。
 向こう3ヵ月は1〜3月であるが、例年その内1月及び2月は年間の中で最も消費需要が少ない時期にあたり、3月は反対に最も需要が多い月である。これを総合し大きな業況悪化の予想となる場合が多い。
 この例年の動きに較べれば、今回の予想は緩やかな下降の予想となっている。
 景況感の悪化予想は概ね全般に拡がっているが、特に大きく出ているのは食料品、衣料等の消費関連需要の業種である。これは、当月(12月)の年末年始需要による反動の要因も含んでいるものと考えらえる。
 これまで堅調な業況を続けていた建築関係も伸びが止まり、数少ない好材料がさらに減少することから、景況動向は緩やかな下降が予想される。

売上動向予想は、増加予想10ポイント、減少予想37ポイントで、DI値はマイナス27ポイントとなり、当月実績プラス10ポイントに対し37ポイントの極めて大きな下降予想となっている。この要因には、当月の年末年始需要による要因と1月、2月の不需要期とのギャップがあげられる。
 このため、動向としては例年の特性がそのまま出た動向になっている。
 しかし、売上減少が長期間続き、既に厳しい売上状況に落ちている中での売上減少であるため、業況、企業経営における厳しさは益々深刻度を大きくしている。
 売上減少予想が多いのは食料品、繊維・同製品、窯業・土石である。

収益動向予想は、好転予想2ポイント、悪化予想33ポイントで、DI値はマイナス31ポイントとなり、当月実績のマイナス23ポイントに対し、8ポイントの大きな悪化予想になっている。 景況感予想と殆ど同じ傾向の予想となっており、また、売上動向予想とも傾向が似ている。
 売上減少、収益悪化、景況悪化の流れがそのまま出ている。
 悪化予想業種が特に多いのは食料品、商店街、次いで多いのは繊維・同製品、機械・金属、サービス業である。
 好転予想業種は金型、情報サービス、産直住宅である。
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