調査レポート
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景気動向調査
 平成12年1月  (平成12年1月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕1月の特色
◆ 季節要因も加わり、消費一段と冷え込む。
◆ 収益、資金繰りの悪化傾向が強い。
  〔 2 〕1月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転1ポイント、悪化35ポイントでDI値はマイナス34ポイントとなり、前月のマイナス27ポイントに対し、7ポイントの悪化となっている。

 9月のマイナス10ポイント台、10月、11月、12月のマイナス20ポイント台に対し、当月はマイナス30ポイント台であり、景況感が確実に後退し、再々度の危険信号が灯ったことになっている。

 1月は、年末需要の反動、消費需要の減少期、営業日数が少ないなどマイナスの季節要因が強く、当月も売上、受注が前月比減少している。

 この動向が景況感を悪化させる重要な要因になっているが、前年対比での減少傾向も強く、需要の低迷、不況の要因も景況感悪化の基礎的な要因になっているものと考えられる。

 売上の減少は営業日数の減少のため、全般の業種に見られるが、特に、食料品、衣料品、小売業の消費生活関係の業種で大きく出ている。

 また、全般的に同業者間の競合の激化、販売価格の下降等により、販売条件の悪化も強く、収益状況並びに資金繰りの悪化が大きく拡がっている。

 業況が順調に推移しているのは情報サービスと木材だけである。前月比業況が好転しているのは情報サービスだけである。

 前月比、悪化業種の割合が多いのは食料品、繊維・同製品、商店街、サービス業である。

  主な業種区分の業況概況

食料品は、年末需要の反動が大きく、売上減少となり、景況感も後退している。また、収益状況、資金繰りの悪化の業種が多く、企業経営は厳しくなっている。

繊維・同製品の織物等川上業種は、季節要因の影響の前に需要低迷による低調横這いで推移し、アパレルは暖冬の影響も加わり冬物不振で低調となっている。その中で、ニット製品は一時的な現象ながら、売上が急増している。全体的には、売上不振に加え、低価格化が長期間続き、収益、資金繰りがますます厳しくなっている。

木材・木製品は、季節要因により前月比売上が減少傾向にあるが、業況としては概ね前月横這いで推移している。
 住宅建築需要によりプレカット加工材は依然堅調な需要が続いているが、他の木材、家具等では業況にバラツキが見られ、統合すると低調な業況で推移している。特に家具では長期低迷で厳しい状況が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、季節要因により、前月比売上が減少している業種が多いが、前年対比では横這いの業種が多い。プラスチックにおいて新製品の需要が出ているなど、一部に変化が見られるが、全般的には低調横這いの業況で推移している。

窯業・土石の陶磁器関係では、季節要因を除くと、前月と全く同様で、内外需ともに低迷、先行にも明るい材料が見えない状況となっている。その中で、燃料コストの上昇、短納期化等の経営圧迫要因も強く、企業経営は益々厳しくなっている。建設資材関係は前月比売上動向が業種によってバラツキが出ている。前年対比では、砂利、生コンクリートで売上増となっているが、景況感では変化がなく、依然不況感となっている。石炭では、前々月、前月に化学工業向けで出荷増が続いていたが、当月は前月比5%余りの減少となり、また不振の鉄鋼向けも加わり、景況感は悪化している。

機械・金属では、営業日数の減少による前月比売上の減少となっているが、需要動向としても、減少傾向の業種が少なくないため、業況は下降傾向にある。特に、厳しい受注競争等による低価格が長期間続き、収益状況の悪化が顕著に見られ、今後の推移が懸念されるところである。

各種物産品は、年末需要の反動が大きく、前月比売上は大きく減少している。業況も長期の低迷となっている。

卸売業の陶磁器卸は、前月に引き続き、業況悪化となっている。長期の需要低迷、低価格の中、堅実な経営状況でも減収減益となるなど、業況の厳しさを増している。飛騨地区の総合卸では、スキー客、観光客の減少で、食品等の消費関連需要が低調に推移した。

小売業では、年末需要の反動で例年、売上が減少するが、例年に較べ、冷え方が強く、業況が悪化している。特に消費需要の低価格指向が強い。また、2000年ミレニアム需要は期待外れで終わり、暖冬による冬物衣料の低迷も、悪化要因となっている。

商店街では、小売業と同様の厳しい状況で推移し、加えて商店街への来街者が非常に少なく、商店街活性化への課題意識、必要性についての意見が多く出ている。

サービス業では、季節要因による前月比売上減少となっているのに加え、売上が前年割れの業種が多く、業況が悪化している。好調が続いているのは情報サービスで突出した形となっている。業況悪化には、暖冬、降雪が少ない天候による冬物の需要不振も一因となっている。

建設業は、業種、地域により動向が異なるが、公共工事施工、住宅建築が順調に進み、他業種に較べ季節要因によるマイナス影響が弱く、前月比売上減少も低い水準となっている。しかし、公共工事発注の先行不安、住宅需要が大手ハウスメーカーにシフトしているなど地元業界にとっての環境は厳しい面を持っている。また、受注競争が厳しく、受注単価に採算割れが出るなど、収益悪化傾向が長期間続いており、企業経営は厳しくなっている。

運輸業は、季節要因により、前月比売上減少となっている。業況は前月同様、低調横這いで推移し、県域貨物運送は、前月に続き、売上の前年割れとなっている。

  主な調査項目での動向
売上動向は、増加8ポイント、減少64ポイントでDI値はマイナス56ポイントとなり、前月のプラス10ポイントに対し、66ポイントの大幅な下降となっている。要因には、年末需要の反動、休日増による営業日数減少、不需要期の季節要因があげられる。
 季節要因とは別に、引き続き消費節約の傾向があり、加えて、暖冬、少ない降雪日の影響も出て、消費需要は一層冷え込んでいる。
 また、売上不振による販売・受注の競合が激化しており、消費需要の低価格指向に加え、単価引き下げも大きく、市況は一段と冷え込んでいる。
 好調あるいは堅調なのは、情報サービス、木材の中のプレカット材、羽島地区の土木だけで、消費関連以外の機械、印刷等、他の業種は全て低調横這いとなっている。
 前月比売上減少の割合が多いのは食料品、木材・木製品、窯業・土石、小売業、商店街、サービス業、運送業などである。

受注動向は、増加11ポイント、減少57ポイントでDI値はマイナス46ポイントで、前月のプラス11ポイントに対し、57ポイントの大幅な下降となっている。主な要因は売上動向と同様、季節要因があげられる。売上動向との差異は、受注には実需期が先行きとなる分を含んでいるためであると考えられる。
 業種区分毎に売上動向と受注動向と比較した場合、概ね同程度で受注動向が売上動向を若干上回る形であり、今後の業況推移で、特定の業種で大きく変化する可能性が少ないと考えられる。
 受注減少業種が特に多いのは、食料品、木材・木製品、窯業・土石、小売業、サービス業、機械・金属である。

販売価格の動向は、上昇3ポイント、下降21ポイントでDI値はマイナス18ポイントとなり、前月のマイナス17ポイントに対し、1ポイントの下降である。昨年11月にマイナス17ポイントに下降傾向が強まり、3ヵ月連続でこの傾向が続いている。
 下降傾向が強いのは、商店街、サービス業であるが、他の業種区分にも少数ではあるが分散して出ている。
 長期の低価格の中での下降であり、企業収益は一層厳しくなっているものと推測される。

収益状況の動向は、好転0ポイント、悪化45ポイントで、DI値はマイナス45ポイントとなり、前月のマイナス23ポイントに対し、22ポイントの大幅な悪化となっている。また、昨年7月以降はマイナス30ポイント以上で推移していたことに対し、当月はマイナスの季節要因を考慮に入れても、大きな下降となっている。
 前月同様、売上不振、低価格、環境対策等の収益マイナス要因だけが強く、プラス要因が出てきていないため、今後の推移も厳しいものと推測される。
 悪化業種が特に多いのは食料品、サービス業、機械・金属である。
   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヵ月の景気動向予想は、好転予想2ポイント、悪化予想26ポイントで、DI値はマイナス24ポイントとなり、当月実績のマイナス34ポイントに対し、10ポイントの改善の予想になっている。この改善の主な要因に、3月の需要期、決算期のプラス季節要因があることがあげられる。

 しかし、好転予想は2ポイントだけで、長期不況下での悪化が続いてることには変化がなく、依然、低迷と先行不透明が続いている。

 特に、低い売上予想は、春物需要への期待感が弱いこと、企業マインドの低さを窺うことが出来るため、今後の業況推移が懸念されるところである。

 悪化予想業種が多いのは、食料品、繊維・同製品、商店街、サービス業である。

 好転予想はギフトと情報サービスで、ギフトは季節需要による売上増、情報サービスは引き続き堅調な需要によるものである。

売上動向予想は、増加予想15ポイント、減少予想23ポイントで、DI値はマイナス8ポイントとなり、当月実績のマイナス56ポイントに較べれば大幅な改善の予想となっている。
 しかし、当月は季節要因により年間で最も低い動向の月であること、また向こう3ヵ月は季節需要の大きい時期にあたること、この2点を考慮すれば、DI値はプラス値となることが自然であり、今回、マイナス8ポイントの予想数値は厳しい動向予想であると言える。
 減少予想が多いのは、食料品、繊維・同製品である。
 DI値がプラスとなっているのは、印刷、プラスチック、各種物産品、建設業、運輸業である。

収益動向予想は、好転予想7ポイント、悪化予想24ポイントで、DI値はマイナス17ポイ
ントで、当月のマイナス45ポイントに対して28ポイントの大幅な改善の予想になっている。 しかし、昨年7月からのマイナス10、20ポイント台での推移に対し、当月のマイナス45ポイントは突出した数値であるとも考えられ、その意味では、期待感を持たせる数値とは言い難い。すでに長期間、厳しい収益状況が続き、加えて、緩くなってはいても依然悪化傾向が続くことが予想され、企業経営は益々厳しくなるものと予想される。
 悪化予想が多いのは、食料品、サービス、商店街、繊維・同製品である。
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