調査レポート
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景気動向調査
 平成12年2月  (平成12年2月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕2月の特色
◆ 需要の停滞感が強い。
◆ 機械・金属の下げ止まりを期待。
  〔 2 〕2月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転0ポイント、悪化25ポイントでDI値はマイナス25ポイントとなり、前月のマイナス34ポイントに対し、9ポイントの改善となっている。

 12月のマイナス27ポイント、1月のマイナス34ポイントの後の改善であり10月、11月の同レベルに戻っている。
 例年2月は、消費関連は低調、公共工事関係は好調の傾向がある。当月は低い消費関連が一段と低く、また、公共工事関係は安定感あるが、盛り上がりは欠けているという状況にあり、季節要因はマイナスに作用している。

 全般的には、一部の業種を除き、売上の前年割れ、過当競争による低価格、低収益で依然厳しい業況が続き、ジリ貧の状況となっている。

 業種別に見ると、当月と前月との相違点として、悪化業種が食料品、繊維・同製品、商店街に大きく片寄っていること、機械・金属で悪化が止まったことがあげられる。

 これらを総合すると、前月に較べ明るい材料は無く、反対に建築需要について警戒感、輸入品の攻勢等、マイナス材料が見られ、長期不況下で先行不透明感が強く、景況は一段と厳しくなっている。

 業種が順調に推移しているのは前月に続き、木材と情報サービスだけである。

 前月比悪化業種の割合が最も多いのは、商店街、繊維・同製品、食料品で、次いでサービス業、窯業・土石である。


  主な業種区分の業況概況

食料品は、売上の小さい前月と概ね同程度の低調な水準で推移している。競合激化の中、低価格、低収益の要素が大きく、収益悪化、資金繰り悪化の傾向が強い。

繊維・同製品は、織物等の川上業種は前月比、前年対比で売上減少が多く出ており、依然低迷が続いている。その中で染色は時々前年を上回る売上となる月があるが、連続することはなく、基調としては他の業種と同様厳しい業況である。
 アパレル関係は春物出荷で前月比売上が増加した業種が出ているが、前年対比では低調で、特に価格が低く、業況としては悪化となっている。

木材・木製品は、業況が分かれ、建築用木材だけが順調で集成材はすでに前年水準(住宅需要上昇前)に下降、銘木は高級材不振で収益悪化、家具は輸入品との競合激化等で引き続き不振となり、多様化している。総合すると、景況感は前月横這いとなっているが、不振な業種が多く、不況感の方が強い。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックは、前月比売上が増加又は横這い、景況感は横這いとなっている。家庭紙は安定した需要が続き、特殊紙も前年を上回る受注となり動きが出ている。他は、不況感の深刻さに差があるが、不振が続いている。

窯業・土石の飲食器中心の陶磁器は内、外需ともに不振が続き、特に外需(輸出向)の売上減少、業況悪化が強まっている。モザイクタイルも季節要因で前月比売上は増加したが、今後は不透明感が強く、不振が続いている。
 建築関連資材は公共工事最盛期で、例年、総じて需要が伸びる月であるが、今回は生コンクリートと砕石で前月比売上増、砂利は前月比大幅減少となり、また、生コンクリートと砕石との間でも前者は18%程、後者は8%程と分かれ、出荷動向が分かれている。前年対比は横這い又は減少で、不況感は緩和していない。

機械・金属では、前月までの売上減少、景況感悪化が止まり、工業団地を中心に前月比売上増加が出て来た。しかし、個別の業種では価格面で非常に厳しいなど、苦しい面が多く、景況感の改善はまだ見られない。

各種物産品は、季節要因で前月比売上が増加、前年対比で見ると観光物産は前年割れ、ギフトは前年を若干上回っている。ギフトは売上が増加しているが、収益、景況感ともに悪化しており、不況の底深さを窺わせている。

卸売業の陶磁器卸は、前月に引き続き業況悪化となっている。需要の減少、消費節約、輸入品の攻勢で商況がさらに悪化している。飛騨地区の総合卸は比較的安定した状況が続いたが、年末年始から観光客減少による食品の売上減少となっている。

小売業では、2月は売上停滞期であるが、今年は一段と売上が低く、停滞感が強くなっている。前月比売上が増加、また収益の改善のあった眼鏡販売も、前年対比では停滞感が強い。地域商業にとっては、売上不振、大型店対策等、マイナス要因だけが大きくなっている。

商店街では、2月は売上停滞期であり、これに加え消費需要の低迷で、前月比売上が減少し、業況が悪化している。2月の寒波も冬物需要への影響が小さく、また、3月季節需要もまだ動いていない。多治見商店街は入学用品が一部動いているが、少子化の影響で動きは小さく、売上への貢献も小さいとのことである。
 商店街は経済不況だけではなく、商店街の来街者の減少、大型店対策等、立地等、商店街の固有の問題があり、一段と厳しい業況にある。

サービス業は、前月比売上減少の業種が多い。増加となっているのは高山旅館があるが、年末・年始から客数が減少してきているとのことである。堅調な業況が続いている情報サービスを除き、全般的に業況は下降傾向にある。収益、資金繰りの悪化傾向が強い。

建設業は、業種、地域により業況が異なっている。大別すると土木工事等の公共工事関係は堅調、建築等の民間工事関係は厳しい状況となっている。公共工事関係においても、発注量の地域差、発注物件の規模の差により地元工事業者の受注状況が異なり、業況に差が出ている。このため、受注不足の企業が少なくない状況で厳しい受注競争が行われ、また、不況感も強い。

運輸業は、季節需要が期待できる月に当たっているが、需要動向は低く、低調な業況で推移している。

  主な調査項目での動向
売上動向は、増加28ポイント、減少31ポイントでDI値はマイナス3ポイントとなり、前月のマイナス56ポイントに対し突出した改善であり、最大の要因は季節要因である。前月のDI値はプラス要因のある12月とマイナス要因が大きい1月との対比のためマイナス値が大きく、一方、当月はマイナス要因を同様に持つ1月と2月との対比のため0値に近い。このためDI値は大きく改善することとなる。
 これを個別の業種で見ると、食料品、繊維・同製品、流通業等、消費関係の業種で回復していること大きな傾向としてあげられる。また、減少傾向が続いていた機械・金属で増加の動きが一部に出ており、季節要因とは異なった動きであることから、今後の推移に注目したい。
 DI値がプラスとなっているのは木材・木製品、紙・紙加工品、印刷、プラスチック、窯業・土石、機械・金属、各種物産品、建設業、運輸業である。
 売上減少が特に多いのは流通関係業種とサービス業である。

受注動向は、増加24ポイント、減少33ポイントでDI値はマイナス9ポイントで、前月のマイナス46ポイントに対し、売上動向同様、突出した改善となっている。主な要因は、売上動向と同様に季節要因である。
 売上動向に較べ受注動向は弱く、また先行不透明感が強いことから、今後の景況も依然弱含みで推移することが予想される。当月、受注増が多かった建設業においても、公共工事の端境期となる4月以降を警戒する声が出ている。
 受注の増加が特に多いのは建設業、DI値がプラス値となっているのは窯業・土石、機械・金属、各種物産品、運輸業である。
 一方、減少が多いのは食料品、繊維・同製品、流通関係業種、サービス業である。

販売価格の動向は、上昇1ポイント、下降14ポイントでDI値はマイナス13ポイントとなり、前月のマイナス18ポイントに対し、5ポイントの比較的大きい改善となっている。しかし、すでに長期に渡り下降が続いており、また各業種で低価格により収益が著しく圧迫されていることから、この程度の改善では不十分な状況にある。
 現状の水準で、収益を確保できないとの意見が多数出ている。
 下降傾向が強いのは繊維・同製品、運輸業である。

収益状況の動向は、好転5ポイント、悪化32ポイントでDI値はマイナス27ポイントとなり、前月のマイナス45ポイントに対し、18ポイントの大幅な改善である。この改善は季節変動によるもので、1月が季節要因により突出した悪化であったことによる。
 昨年9月、10月のマイナス10ポイント台で、改善の動きが止まり、その後はマイナス20ポイント台の悪化が続いていることになる。
 需要動向の停滞と低価格化が依然続いており、収益状況の改善の動きが見られない。
 悪化業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、機械・金属、サービス業である。
   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヵ月の景気動向予想は、好転予想5ポイント、悪化予想26ポイントで、DI値はマイナス21ポイントとなり、当月実績のマイナス25ポイントに対し、4ポイントの改善の予想になっている。この改善の要因には季節要因があげられ、流通関係業種とサービス業種が当月実績に較べ改善していることが大きい。
 一方、当月実績に較べ悪化傾向が強まったのは建設業である。
 向こう3ヵ月は、例年、入学、卒業、就職等の季節需要、春の観光需要で売上の増加があり、また、公共工事の端境期より建設業で売上が大幅に減少する。今回も概ね同様の傾向が出ているが、プラス要因、マイナス要因ともに例年に較べ、その動きが小さいことが指摘される。
 新しい変化としては、当月に売上減少が止まった機械・金属が向こう3ヵ月予想においても当月実績横這いの予想であり、下げ止まりの傾向が強まっていることがあげられる。
 総合すると、消費の冷え込みが依然強く、季節需要への期待感が低い。住宅建築需要にも懸念材料が出ているなど、マイナス要因が強いため、需要拡大期にあっても回復への期待が薄く、当月並みの厳しい景況で推移するものと予想されている。
 悪化予想業種が多いのは、繊維・同製品、建設業、食料品、木材・木製品である。
 好転予想は、米菓、家電機器販売、広告美術、情報サービスである。

売上動向予想は、増加予想22ポイント、減少予想22ポイントで、DI値は±0ポイントで、当月実績のマイナス3ポイントに対し、3ポイントの改善となっている。
 当月実績との対比で減少傾向が強く出ているのは窯業・土石、建設業で、反対に増加傾向が強く出ているのはサービス業、商店街である。このことは、季節変動と一致した予想で、季節需要を期待して流通関係業種で売上増加、公共工事端境期で建設業が売上減少となっている。
 機械・金属における売上減少の歯止め以外は、季節要因の影響による変動だけが変化となっており、業況は前月並みの厳しい状況が続くものと予想されている。
 減少予想が多いのは、食料品、窯業・土石、建設業である。
 増加予想が多いのは、サービス業、商店街である。


収益動向予想は、好転予想13ポイント、悪化予想21ポイントで、DI値はマイナス8ポイ
ントとなり、当月実績のマイナス27ポイントに較べ、19ポイントの突出した改善予想となっている。
 要因には、季節需要による売上増加、収益改善の予想があげられる。改善予想は、卸・小売、サービス業に大きく出ている。季節需要の影響の少ない業種では変化が小さく、またマイナス要因を持つ建設業は大きな悪化予想となっている。
 季節要因によるものではあるが、DI値がマイナス10ポイント未満は、近時ないことであり、極めて望ましい予想である。しかし、消費の冷え込み、低価格の状況でこれを実現することは容易でないため、今後の推移を注目したい。
 悪化予想が多いのは建設業、窯業・土石、繊維・同繊維である。
 好転予想が多いのはサービス業、小売業、商店街、各種物産品である。
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