調査レポート
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景気動向調査
 平成12年6月  (平成12年6月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕6月の特色
◆ 機械関係に回復の動き。
◆ 消費関連は低迷続く。
◆ 低価格、低収益が根強い。
  〔 2 〕6月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転5ポイント、悪化29ポイントでDI値はマイナス24ポイントとなり、前月のマイナス26ポイントに対し、2ポイントの改善となっている。また、4月マイナス23ポイント、5月同26ポイント、6月同24ポイントと、3ヵ月連続でマイナス20ポイント台が続き、景況改善の動きが見られず、依然低迷が続いている。

 例年6月は、夏物商品需要、観光シーズンの反動等、多様な季節要因があるが、近年は総合すると季節要因の影響が小さく、概ね前月並みの景況感で推移する傾向がある。当月も同様で、概ね前月並みの下降傾向で推移している。

 景況は全体的に消費需要中心とする需要の低迷、低価格、収益悪化で、依然厳しい状況が続 いている。

 業種別では、食料品、衣料等の家庭用消費需要の低迷が深刻で、一部季節要因で売上が増加 している業種があるが、当該業種においても収益改善には至らず、根深い業況不振が窺われる。

 このような中で、機械関係が4月下降、5月横這いから当月上昇に転じ、需要回復の動きが 出て来たことが明るい材料になっている。また、一部の業種で企業間格差が大きいが、受注量 を確保している企業が出て来ている。

 しかし、これらの受注についても、単価は低く、コストダウン等、厳しい対策を迫られてい る。また、衣料品、陶磁器製品、家具等で主に低価格品の輸入品の増勢が止まらず、需要回復 後においても、関係業界での景況回復を困難視する意見があるなど、輸入品との競合も問題が 大きくなっている。

 全般、景況の回復感は無く、政府の景況改善の見方については実感が無いとし、景気対策の強化を求める声が依然少なくない。

 好転業種は合成繊維織物、可児工業団地、機械工具販売、多治見商店街である。

 前月比景況感悪化が強いのは、繊維・同製品、鉄鋼・金属、窯業・土石である。

  主な業種区分の業況概況
食料品は、前月売上が増加傾向にあったが、当月は反対に減少の動きとなっている。全般に需要の動きは弱く、また低価格が続き、収益状況の悪化傾向が強い。また、高級品の需要が依然低いことも指摘されている。

繊維・同製品は、全般的に業況が悪化している。アパレルでは夏物衣料のシーズンに当たるが、動きが低く、また輸入衣料との競合で売上減少、販売価格の下降等の影響が出て、国内メーカーは厳しい状況にある。川下業種においても低迷が続いているが、合成繊維織物は前月比好転、前年対比横這いとなっている。

木材・木製品は、集成材、プレカット材は堅調若しくは上向いているが、高級材、家具は不振が続いている。特に家具では、輸入品との競合、低価格の影響が大きく、不況対策だけでなく、コスト、技術等の企業体質の対策を求められ、厳しい経営が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックは、前月横這い若しくは悪化の業況で推移している。特に紙、プラスチックで原材料の値上がりによる採算悪化が出ている。このため、プラスチックでは売上量は増えているが、収益は改善しない状況である。

窯業・土石の陶磁器関係は依然低迷が続いている。中国等からの低価格品の輸入増加も加わり、明るい材料が全く見られない。建設資材関係は業種によって前月比売上の増加、減少に分かれ、動向が若干異なるが、変化は小さく、依然低迷が続いており、公共工事発注の増加、景気対策の要望が出ている。石灰においては、鉄鋼向け需要の増加要因があるものの、化学向け等他の分野で季節変動を除けば低調に推移し、総合すると依然厳しい業況になっている。

機械・金属は、前々月下降、前月横這いに対し、当月は売上増加業種が多く、また、景況感が好転した業種が出て、好転傾向となっている。業種別に見た場合には、刃物等金属製品は悪化傾向にあるが、金属工業団地、機械工具等での機械関係で好転となっている。全体的に低調な業況であったのに対し、企業間、業種間の格差があるが、需要に動きが出て来ている。

各種物産品は、季節要因、イベントによって売上動向が分かれ、観光物産は前月比減少、ギフトは増加となっている。しかし、景況感は前月横這いで低調な業況が続いている。

卸売業は、前月と全く同様の動向で、陶磁器卸は前月に引き続き需要減少等、マイナス要因が多く、業況悪化、飛騨地区総合卸は特に変化が出ていない。


小売業は、全体的に前月横這い、低調な業況で推移している。ボーナス支給時期による売上増加の動きも弱い。季節商品等の売上数量が伸びても、売上高の増加に至らない。また、共同店舗で客数の伸びに比較し売上高が低いなど、消費節約、低価格が依然続いている。

商店街は、前年対比売上で前年並み1、前年割れ4で厳しい業況が続いている。前月比売上においても、ボーナス支給月に合わせ売上が増加した商店街もあるが、全体的には概ね低調横這いで推移した。消費節約、低価格志向が依然根強く、報道されている景気の底打ち、改善については実感なく不況感が強い。後継者難による空店舗が出て、商店街活性化の問題が大きくなっている。

サービス業は、業種により業況が多様に分かれ、他の業種に較べ、堅調な業種が入っているが、当月は観光地旅館の業況悪化が大きく、総合して景況悪化となった。特に飲食、クリーニング等、個人消費関連は長期低迷が続いている。

建設業は、管工事、建築物の営繕等、一部の官工事が出ているが、土木等規模の大きい工事はまだ発注されていない。また、民需は引き続き低迷しており、依然業況の低迷が続いている。また、全般的に受注のための価格競争が依然激しく、低価格、低収益が続いている。その中で、鉄構造物は一定の受注量確保で採算割れ受注の改善が見られ、今後の推移が期待される。受注不足のために、公共工事発注の早期化、拡大の要望が多い。

運輸業は、前月横這いで、前月比変化の少ない状況で推移している。
  主な調査項目での動向
売上動向は、増加27ポイント、減少28ポイントでDI値はマイナス1ポイントとなり、前月のマイナス17ポイントに対し、16ポイントの大きな改善となっている。この要因には、3月の需要ピーク時に対し、4月、5月と連続して大きく後退し、当月は後退した低い水準に対する比較として、DI値が改善したものである。このため、売上動向としては、低調な前月に概ね横這いの傾向にある。
 季節要因には、夏物需要、営業日数の増加、ボーナス支給等のプラス要因、5月連休需要の反動のマイナス要因等があげられるが、プラス要因の動きが弱く、また消費需要が依然低く、低調な売上動向で推移した。その中で、機械関係、木材関係の一部で売上、受注の増加の動きがあり、今後の推移が期待される。
 売上増加業種が多いのは機械・金属。減少業種が多いのは繊維・同製品、食料品、サービス業である。

受注動向は、増加12ポイント、減少28ポイントで、DI値はマイナス16ポイントとなり、前月のマイナス23ポイントに対し、7ポイントの改善となっている。概ね売上動向と同様、下降後の5月に対する比較として改善したものであり、季節要因が大きく厳しい受注状況が続いている。全体的には、低迷が続いている中で、機械関係、一部の建設関係で受注増加が見られ、また、企業間格差の中で受注量を確保している企業も見られるようになっており、これらの今後の推移が注目される。
 増加業種が多いのは機械・金属。減少業種が多いのは繊維・同製品、窯業・土石、サービス業である。

販売価格の動向は、上昇3ポイント、下降19ポイントで、DI値はマイナス16ポイントとなり、前月のマイナス23ポイントに対し、7ポイントの大幅な改善となっている。前月、前々月連続でマイナス20ポイント台続いたあとの改善である。これまで、下降傾向が比較的全般の業種に分散していたが、当月は業種に偏りが見られ、繊維・同製品、窯業・土石、サービス業で下降業種が多い。
 前月比、下降傾向が緩和したことになっているが、すでに採算割れ等、長期間の売上不振、受注不足による価格競争で厳しい価格が続いている。

収益状況の動向は、好転5ポイント、悪化26ポイントで、DI値はマイナス21ポイントとなり、前月のマイナス24ポイントに較べ3ポイントの改善である。
 前月同様、季節需要等で売上数量が増加しても、収益の改善が見られない業種があるなど、売上低迷に加え、低価格の影響が大きく、容易に収益改善が進まない状況にある。
 収益状況の悪化業種にも偏りが出ている。悪化業種が多いものの中で、前月に続いているのは食料品、窯業・土石、当月出たものは繊維・同製品、サービス業である。
 好転したのは機械関係の業種である。
   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヵ月の景気動向予想は、好転予想9ポイント、悪化予想31ポイントで、DI値はマイナス22ポイントとなり、当月実績のマイナス24ポイントに対し、2ポイントの改善予想となっている。

 当月実績との比較で「好転」、「悪化」ともに増える予想となっており、当月実績の前月比動向に続き、業種間の格差が拡がる傾向にある。

 業種区分別に当月実績と比較すると、同傾向、悪化、改善それぞれに分かれるが、その差は全体的に小さく、概ね当月実績と同様の傾向になっている。その中で、注目されるのは一般機器で、当月実績に引き続き、好転が予想されていることである。

 季節要因については、公共工事発注の本格化、夏休みの観光、中元等のプラス要因、マイナス要因には夏休みによる営業日数の減少、食料品の不需要期等があげられるが、今回の予想では、これらの季節要因の影響を評価していない業種が多く、当月実績との景況感の差に表れていない。 これらを総合すると、全体的には依然、先行不透明、需要低迷、低収益の景気低迷が続く中で、機械関係中心に一部に需要回復の動きが強まる予想となっている。

 好転予想業種は金型、工業団地等の機械関係、合成繊維織物、集成材、眼鏡販売、鉄構造物である。

 悪化予想業種が多いのは食料品、繊維・同製品、紙・紙加工品、鉄鋼・金属である。

売上動向予想は、増加予想13ポイント、減少予想26ポイントで、DI値はマイナス13ポイントとなり、当月実績マイナス1ポイントに対し、12ポイントのマイナス増となっている。
 マイナス増加の要因は主に季節要因があげられ、食料品等、商店街、サービス業の売上減少のマイナス要因が、建設業、繊維・同製品の売上増、あるいは「減少」の減少のプラス要因を上回ったことによるものとなっている。
 全体的には、依然消費需要の低迷による売上不振が大きな影響を与え、水面下での推移が予想されている。その中で、機械関係の伸びが予想され、また、単価が厳しいが、売上数量が伸びる予想の業種が一部に見られ、今後の推移が期待される一面が出て来ている。
 増加予想業種が多いのは機械関係、建設業。
 反対に減少予想業種が多いのは食料品、鉄鋼・金属、商店街、サービス業である。


収益動向予想は、好転予想7ポイント、悪化予想31ポイントで、DI値はマイナス24ポイントとなり、当月実績のマイナス21ポイントに対し、3ポイントのマイナス増となっている。
 マイナス要因には食料品、商店街等の売上減少等、季節要因による影響は小さく、紙・紙加工品、鉄鋼・金属の悪化予想が要因としてあげられる。
 全体的に、当月実績並みの厳しい収益状況が続くものと予想され、その中で機械関係の好転が注目される。
 好転予想となっているのは、合成繊維織物、集成材、可児工業団地、金型、機械工具販売、自動車車体整備である。
 悪化予想が多いのは食料品、繊維・同製品、紙・紙加工品、鉄鋼・金属、商店街である。
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