調査レポート
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景気動向調査
 平成12年12月  (平成12年12月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕12月の特色
◆ 年末需要が低調。
◆ 機械関係の需要回復が一服。
◆ 低価格シフトが続く。
  〔 2 〕12月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転4ポイント、悪化24ポイントでDI値はマイナス20ポイントになり、前月のマイナス25ポイントに対し、1ポイントの改善となっている。

 例年12月は、年末需要、公共工事の繁忙等のプラス要因、観光需要の減少等のマイナス要因の両面があり、その内プラス要因が弱くなって来ており、結果、近年は以前に較べ売上の減少、景況感の後退となっている。

 今回も、概ね、この季節変動が表われ、売上の伸び悩み、景況感の停滞気配となっている。特に年末の消費需要については、食料品では明らかに増加となっているが、衣料品等の不振の業種が少なくないため、総合すると低調な推移となっている。

 前月比動向を業種別に見ると、若干の変化は見られるが、概ね前月と同様の動きとなっている。

 当月の概況は、前月に引き続き、消費需要の低迷、低価格、輸入品との競合で景況感が悪化し、また、売上が回復して来ている業種においても低価格のため景況感の回復には至っていない状況となっている。大きな課題として、輸入品の増加と石油系材料の値上がりがあがっていたが、その内の輸入品増加については益々国内業界を圧迫し、重大な問題となっている。これに対し、石油系材料の値上がりは安定化したが、需要先の値引き要請が強く、収益改善の効果にいたっていない業種が多い。このような状況下、県内中小企業は依然厳しい経営が続いている。

 前月比、景況感の好転業種は機械・工具販売、自動車タイヤ整備販売、飲食業である。

 景況感悪化業種が多いのは繊維・同製品、小売業、商店街、次いでサービス業、建設業である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、年末需要による売上増加が見られ、前月比売上は増加となっている。一方、前年同月比では、売上増加が2業種に対し、減少業種は3業種であり、総合すると低迷が続いている。今月は、販売価格の下降傾向が強いなかで、収益状況の改善が見られることがこれまでの状況と異なる傾向となっている。

繊維・同製品は、織物等川上業種で前月に売上増加が見られたが、当月は反対に前月比減少となっている。川下のアパレル等は不振が続き、全体が低迷となっている。販売価格、収益状況、景況感の悪化傾向が強く、業況が一段と厳しくなっている。

木材・木製品は、業種によって動向が若干異なっているが、総合すると、前月比若干の売上減少の傾向となっている。その中で、飛騨地区家具は季節要因により売上増加となっている。建築用木材は、前月に続き、横這い若しくは減少の傾向となっている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックの中の消費関連需要では、年末需要で前月比売上は増加の動きが見られるが、前年同月比では横這い又は減少となっており、業況は低迷が続いている。その中でプラスチックは、需要増加が続き、需要動向は好調に推移しているが、製品安原料高で収益の改善が進んでいない。

窯業・土石の陶磁器関係は、概ね前月横這いの厳しい業況となっている。低価格、輸入品増加のマイナス要因が依然大きく、一方プラス要因は無いため、今後は、一段と厳しい状況で推移するものと予想される。
 モザイクタイルでは、受注の動きが量の面では好調であるが、価格の面では厳しく、収益、景況感の改善が出ていない。
 建設資材関係は、前月同様、前月比売上は増加となっているが、前年同月比では減少となっている業種が多い。売上増加は季節要因によるもので、業況は依然として低迷が続いている。
 石灰では前月比売上は減少であるが、前年同月比では増加し、鉄鋼用がプラス、化学工業用がマイナスの動きとなっている。主要燃料の値下がりがあり、コストの改善となったが、需要先から、コスト改善を超える値下げ要請があり、依然厳しい業況となっている。

機械・金属の機械関係は、前月の動きに較べると、若干下がってはいるが、依然、売上、受注の増加の動きが続いている。前年同月比でも、プラスとする業種が半数ほどとなり、拡大してきている。停滞感が強いのは鋳物、金型、金属製品である。

各種物産品では、動向が大きく開き、観光物産は前月比、前年同月比ともに売上増加となり、一方、ギフトは前月比、前年同月比ともに売上減少となっている。季節要因が大きな要因である。

卸売業は、陶磁器卸は前月比悪化、飛騨地区総合卸は、年末需要で前月比売上が増加となっている。業況としては、陶磁器卸は悪化が続き、飛騨地区総合卸は横這いとなっている。

小売業では、年末需要の動きが小さく、6業種の内4業種が前月横這いの売上となっている。前月比売上が増加となっているのは眼鏡販売、石油販売である。低価格の問題が大きくなっている。


商店街は、年末需要の動きも小さく、前月比売上では増加1、横這い2、減少2となり、年末需要の低さが如実に表われている。イベントの効果については意見が分かれ、効果が上がっていないとの意見が若干多い。大型店等との競合等の商店街固有の問題に消費需要の低迷が重なり、深刻な状況となっている。

サービス業は、前月比動向で季節要因による動きが強く出ている。増加業種は自動車関連サービス、飲食業で、一方、減少業種は旅館、クリーニング等である。また、比較的堅調に推移していた情報関連サービスが需要減少の動きが見られる。業種により動向が大きく異なる中で、これらを総合すると、マイナスの動きが若干強い。

建設業では、公共工事繁忙期、年末の工事等の季節要因による売上増加が見られるが、民需のウエイトの大きい業種では、逆に減少の業種が多い。このため、総合すると、若干の増加傾向となっている。
 前年同月比では、景況感が横這いと悪化が同数となっており、また、前月比の収益状況、資金繰りの悪化傾向も強く、業況は依然厳しい状況が続いている。公共工事、民需の受注不足、また、受注競争による低価格化が依然続き、公共工事の発注増加の要望等、景気対策の要望が出ている。

運輸業は、岐阜地区貨物運送では前月比、前年同月比ともに横這い、業況変化がないが、県域貨物運送では前月比売上は減少したが、前年同月比では業況が好転している。
  主な調査項目での動向
売上動向は、増加31ポイント、減少28ポイントで、DI値はプラス3ポイントとなり、前月のマイナス3ポイントに対し、6ポイントの上昇となっている。
 要因には、季節要因があげられ、主に消費関連、建設関連での売上増加が寄与している。しかし、それらの業種においては、需要量が伸びず、また、低価格となっており、増加の動きは低水準での推移となっている。需要低迷、過当競争で全体的に売上動向が弱いなかで、機械関係が引き続き堅調な動きを続けていることが、唯一の明るい材料となっている。また、繊維・同製品、陶磁器、家具で輸入品の増加が益々大きな問題になっており、輸入制限等の施策要望が出ている。
 売上増加業種が多いのは食料品、窯業・土石、小売業である。
 減少業種が多いのは繊維・同製品、商店街、サービス業である。


受注動向は、増加23ポイント、減少29ポイントで、DI値はマイナス6ポイントとなり、前月のプラス2ポイントに対し、8ポイントの下降となっている。
 売上動向との対比では、大半の業種が同様の動向となっているが、窯業・土石、商店街、サービス業、建設業では下降の動きが出ている。また、前月の動向との対比では、機械・金属が「増加」から「横這い」に、繊維・同製品は下降しており、これらが前月比下降の要因となっている。
季節需要については、食料品だけで明らかに動きが見られるが、衣料品、流通業種では弱い動きとなっている。
 受注増加業種が多いのは食料品、小売業である。
 受注減少業種が多いのは繊維・同製品、商店街、サービス業である。


販売価格の動向は、上昇3ポイント、下降19ポイントで、DI値はマイナス16ポイントとなり、前月のマイナス15ポイントに対し、1ポイントのマイナス増加となっている。
 前月との対比を業種別に見ると、他に較べ、食料品、繊維・同製品で下降傾向が強い。他は若干の動きはあるが、概ね前月と同様の動きで、下降業種がそれぞれの業種区分に小数分散している。
 前月に引き続き、低価格品の輸入増加、消費需要の低迷、低価格化による消費関連の低価格化が見られ、また、受注増加の動きがある機械関係、木材等においても受注競争、需要先のコスト抑制等で低価格横這い傾向にあり、落ち込んだ価格の回復の動きは見られていない。
 下降業種が多いのは食料品、繊維・同製品である。


収益状況の動向は、好転13ポイント、悪化30ポイントで、DI値はマイナス17ポイントとなり、前月マイナス14ポイントに対し、3ポイントの悪化となっている。また、当月は、前月の動向に較べ、「好転」が5ポイント増加、「悪化」が8ポイント増加となっており、業種間格差が多くの業種に拡がっている。DI値はマイナス20ポイント台が長期間続いた後、連続3ヶ月10ポイント台が続き、底打ちの動きになっている。しかし、依然、売上不足、価格低迷の状況が続いており、これらのマイナス要因を配慮すると、今後の推移にはまだ不安が大きい。
 DI値がプラスになっているのは食料品だけである。
 悪化業種が特に多いのは繊維・同製品、建設業、商店街である。
   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヵ月の景気動向予想を景況感DI値で見ると、好転予想1ポイント、悪化予想42ポイントで、DI値はマイナス41ポイントとなり、当月実績のマイナス20ポイントに対し、21ポイントの大幅な悪化予想になっている。
 向こう3ヶ月は平成13年1月、2月、3月で、その内1月は年間最低、3月は最高の季節要因があるが、今回の予想は1月、2月の低迷が大きく出た予想となっていると考えられる。
 業種別に当月実績と比較すると、食料品、サービス業、建設業で「悪化」に大きく変化している。季節要因の影響が大きいが、建設業は例年は、公共工事繁忙による堅調推移となるが、今回は反対の動きとなっている。これは公共工事の減少、民需の低迷によるものと推測される。
 向こう3ヶ月の予想では、機械・金属、運輸業、小売業、木材・木製品で当月実績横這いの予想、他は、大きく悪化する予想となっている。「横這い」予想の業種にあっても、運輸業、小売業、木材・木製品は、すでに低迷、低調な業況にあり、これらを総合すると、業況は一段と悪化することが予想される。
 好転予想業種は機械・工具販売である。
 悪化予想業種が特に多いのは繊維・同製品、サービス業、商店街、次いで食料品、建設業、窯業・土石である。

売上動向予想は、増加予想9ポイント、減少予想37ポイントで、DI値はマイナス28ポイントとなり、当月実績のプラス3ポイントに対し、31ポイントの大幅なマイナス増加となっている。 業種別に売上動向予想を当月実績と比較すると、食料品、(紙・紙加工品、印刷、プラスチック)、窯業・土石、小売業、サービス業で後退が大きい。消費需要関係業種での減少の動きであり、季節要因が大きい。需要低迷の中で、マイナスの季節要因が大きく影響する予想となっている。
 売上増加予想が当月実績並みとなっているのは機械関係、小売業、建設業、運輸業となっている。
 売上減少予想業種が多いのは食料品、サービス業、窯業・土石である。


収益動向予想は、好転予想4ポイント、悪化予想38ポイントで、DI値はマイナス34ポイントとなり、当月実績のマイナス17ポイントに対し、17ポイントの大幅な悪化予想となっている。
 これを業種別に動向予想を見ると、悪化業種割合の大きい業種区分、小さい業種区分、多様に分かれて、評価がし難い状況になっている。
 悪化予想業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、サービス業、建設業、窯業・土石である。
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