調査レポート
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景気動向調査
 平成13年2月  (平成13年2月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕2月の特色
◆ 停滞感強まる。
◆ 低価格、需要の低価格品シフトの傾向が一段と強まる。
  〔 2 〕2月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転0ポイント、悪化28ポイントで、DI値は、マイナス28ポイントとなり、前月のマイナス45ポイントに対し、17ポイントの大幅な改善となっている。

 改善の主な要因には、季節要因があげられ、前月(1月)の前月比DI値が季節要因による大幅な下降であり、当月は、その下降した状況に対する対比で、下降が緩和している。

 例年2月は、季節要因として消費需要の低調、営業日数の減少のマイナス要因、公共工事施工の繁忙、年度末調整のための生産等のプラス要因があげられるが、近年は、マイナス要因は強く、プラス要因は弱くなっている。今回においても同様の傾向が見られ、全般的に動きが小さく、業況は低迷のまま横這い推移となっている。

 業種別に景況感の動向を見ると、悪化の度合いの中で、業種間の動向に大きな差が出ている。悪化傾向が強く出ている業種が、全体の景況を引き下げるなど、今後の推移が懸念されるところである。依然、消費需要の低迷、低価格と低価格品シフト、輸入品との競合が景況感に大きく影響しており、景況は極めて厳しい状況にあるものと考えられる。最近では、取引先の倒産への信用不安が増大しているとの見方があり、需要減少、長期不振に加え、取引先信用不安も企業マインドを冷やす要素となってきている。

 景況感悪化業種が特に多いのは繊維・同製品、商店街、サービス業、建設業である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、前月、季節要因で前月比大幅な売上減少となっていたが、当月は、前月比売上が増加した業種もあるが、総合すると横這いの推移となっている。また、前年同月比も概ね横這いであり、業況は底を這う低迷となっている。依然、低価格化指向が強く、厳しい収益状況のため苦しい経営が続いている。

繊維・同製品は、織物等の川上業種は低調横這い、アパレル等川下業種では、一部に春物出荷で前月比売上の増加が見られるが、減少業種もあり、総合すると、概ね前月横這いの推移となっている。季節の影響も冬物の消化が悪く、春物への影響の懸念もあり、マイナス面が見られる。長期にわたる低価格、低収益による企業の体力消耗が懸念されている。

木材・木製品は、一部に季節要因による前月比売上の増加の業種があるが、全体的に前月比横這いで、厳しい業況となっている。木材の市況では、高級材は、雪による出材減少にも関わらず値は上がらない等全体的に低調となっている。家具では、安価な輸入品による影響が益々大きく、国産品価格も引き下げ、国内メーカーを圧迫している。また、取引先業界の倒産が多く、業界の信用不安を大きくしている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックは、前月(1月)の前月比売上の減少の関係で、前月比売上が増加した企業が多い。しかし、前年同月比では横這い、または減少であり、依然厳しい業況が続いている。取引条件、販売価格が厳しく、苦しい企業経営が続いている。特にプラスチックでは、売上が増加しているが、販売価格の下降のため収益が改善しない状況にある。

窯業・土石の陶磁器関係では、季節需要で売上が下がる1月に横這い推移で厳しい業況となっている。低価格、輸入品の増加が業況を悪化させている。他の窯業も、前月比横這い、又は悪化で低迷が続いているが、タイルでは、受注量は確保されているが低価格のため収益改善がなく、景況感も改善していない状況である。
 建設・資材関係は、季節要因、前月の降雪による出荷減少の反動のため、前月比大幅な売上増加となっている。しかし、前年同月比は横這い、又は減少であり、業況は依然厳しい状況が続いている。公共工事の発注増加の要望が出ている。

機械・金属は、売上動向が多様に分かれている。概略的には、金属製品が低迷、機械関係が上昇傾向となっている。しかし、増加回答の中には、3月決算に対応する調整を理由とするなど、景気動向による需要の増加とは見られないものもあり、今後の推移には不安要因がある。これらを総合すると、他産業に較べれば良い状況にあるが、価格が厳しいなど不安材料も多く、不安定な業況となっている。

各種物産品は、前月比売上が観光物産で減少、ギフトでは増加と分かれ、一方、前年同月比売上は、両方とも減少となっている。比較的堅調であった観光物産の悪化が懸念される。
 卸売業では、陶磁器卸は前年同様、前月比悪化。飛騨地区総合卸は横這いとなっている。前年同月比は両方とも売上減少となっている。陶磁器卸は引き続き、需要の変化、減少の構造的要因による業況悪化が続いている。

卸売業は、一部に前月比売上の増加があるが、それらの業種は前月の降雪による来客減少の反動、家電品の駆け込み需要による売上増加である。全般的に前月横這いで、季節要因による不振を持つ1月に対して横這いであるため、消費低迷の底が深く、厳しい業況となっている。

小売業は、特殊要因のある家電販売を除き、概ね前月横這いで推移している。本年3月は、入学、卒業、就職等の季節要因で、1年の中で最も需要が大きい月となっていたが、本年はその動きが極めて弱く、また、通常の消費需要の低迷も加わり、冷えた市況となっている。

商店街は、前月比、前年同月比ともに売上減少。特に、前年同月比は全ての商店街が減少となっている。消費低迷に加え、量販店等との競合等で極めて厳しい状況にあり、依然廃業の発生が出ている。収益、資金繰りの悪化が多く、今後の推移が懸念される。

サービス業は、前月比売上減少が多い。一部に季節要因がプラスに働く業種があるが、大半がマイナスに働き、売上減少は季節要因が大きい。前年同月比も半数の回答が減少としており、季節要因に業況悪化が加わっており、依然厳しい状況が続いている。低価格化、収益悪化の傾向が強いことも大きな懸念材料である。

建設業は、公共工事の繁忙期にあたり、例年、前月比売上が増加する月であるが、今回は前月比横這いとなっている。発注量の減少、単価の下降、受注条件の悪化等により、例年の前月比業況改善が出ていないものと推測される。また、民需も依然として低迷が続き、業界は極めて厳しい状況にある。

運輸業は、回答が分かれ、岐阜地域は前月比、前年同月比とも売上減少、県域は増加となっている。業況としては、岐阜地域は横這い、県域は改善となっている。
  主な調査項目での動向
売上動向は、増加30ポイント、減少30ポイントで、DI値は±0ポイントとなり、前月のマイナス65ポイントに対し、大幅な改善の数値になっている。
 しかし、前月は季節要因による大幅な前月比減少であり、これに対し、「横這い」ということは、需要が低迷していることであり、「好転」の要素はない。
 例年2月は、消費需要動向の低調、営業日数の減少等のマイナス要因、年度末の生産調整、公共工事施工の繁忙等のプラス要因がある。近年、公共工事施工の影響が弱まり、前月比改善が弱くなってきているが、今回はDI値が±0ポイントであり、近年においては改善の数値になっている。依然、低価格、海外製品との競合、同業者間競合等により、売上高が低迷している。特に、一部の業種においては、売上数量は増えても、売上高が増えない、厳しい価格になっているなど、販売価格、受注単価が低いことが重要な問題になっている。
 売上増加業種割合が多いのは木材・木製品、紙・紙加工品・印刷・プラスチック、窯業・土石、小売業である。
 反対に、減少業種が多いのは商店街、サービス業である。

受注動向は、増加23ポイント、減少26ポイントで、DI値はマイナス3ポイントとなり、前月のマイナス51ポイントに較べ、48ポイントの大幅な改善の数値である。
 売上動向と同様、季節要因の影響が大きく、前月の季節要因による大幅な減少に対して、概ね「横這い」で推移したことになる。業種別に見た場合も、全般的に売上動向と類似した傾向になっている。大きく異なった動向になっているのは建設業で、売上動向は若干の減少傾向に対し、受注動向は若干の増加傾向になっている。
 全般的に、受注動向の低調が続いている中で、一部の業種で受注量の安定、あるいは増加となっているが、単価が厳しく、業況の回復感は見られていない。
 業種区分毎に受注動向を見ると、増加、減少とも全般的に分散した状況にあり、その中で、減少傾向が強いのはサービス業、増加傾向になっているのは建設業である。

販売価格の動向は、上昇1ポイント、下降17ポイントで、DI値はマイナス16ポイントとなり、前月のマイナス21ポイントに対し、5ポイントの大幅な改善となっている。
 過去3ヶ月を含めて見た場合、前月のマイナス21ポイントが突出した数値であり、当月はその前の11月、12月水準の数値に戻った形となっている。
 各業界では、すでに限界に達する低価格になってきており、その中で、更に価格が下降することは極めて厳しく、当月も厳しい状況で推移している。
 販売価格の下降は、概ね全般的に見られ、受注量が出てきた業種においても、上昇は見られず、上昇の動きは全く見られない状況である。

収益状況の動向は、好転9ポイント、悪化29ポイントで、DI値はマイナス20ポイントとなり、前月マイナス47ポイントに対し、27ポイントの大幅な改善である。
 主な要因には、売上動向等と同様、季節要因があげられるが、業種区分毎にこれを見ると、売上動向等との状況と大きく異なり、業種毎の個別の原因も影響しているものと推測される。
 全体の数値としては、前月(1月)の数値は季節要因による突出した数値であり、当月は12月(マイナス17ポイント)、11月(8マイナス14ポイント)に近い数値に戻っている。
 個別業種区分で、DI値がプラス値になっているのは食料品、小売業、運輸業である。また、悪化業種割合が特に大きいのは繊維・同製品、機械・金属、商店街、サービス業、建設業である。
 業種間の格差が拡大している。
   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヵ月の景気動向予想を景況感DI値で見ると、好転予想7ポイント、悪化予想35ポイントで、DI値はマイナス28ポイントとなり、当月実績と同数値、横這いの予想となっている。
 しかし、内容は異なり、当月実績では「好転」が0ポイントであったが、3ヶ月予想は「好転」、「悪化」ともに7ポイント増えている。このため、3ヶ月予想は、業種間の景況格差が拡大する予想になっている。
 向こう3ヶ月は、3月、4月、5月であり、季節要因としては、3月の入学、就職の季節需要、観光需要の増大がプラス要因である。反対に、公共工事関係の4月、5月の端境期がマイナス要因である。例年、これらを総合し、改善予想となる傾向にあるが、今回は、その傾向が弱い。
 好転業種はソーイング、機械・工具販売、家電販売、恵那商店街、高山旅館、飲食業である。
 DI値がプラスになっているのは小売業、サービス業である。
 悪化予想業種が特に多いのは繊維・同製品、窯業・土石、建設業である。

売上動向予想は、増加予想20ポイント、減少予想24ポイントで、DI値はマイナス4ポイントとなり、当月実績の±0ポイントに対し、4ポイントの悪化予想となっている。季節要因を配慮したとき、若干の改善が期待されるところであるが、今回の予想は、若干の減少であり、需要動向の低さ、企業マインドの低さを窺わせている。
 増加予想業種が多いのは紙・紙加工品、機械関係、小売業である。
 反対に、減少業種が多いのは繊維・同製品、商店街、建設業である。

収益動向予想は、好転予想8ポイント、悪化予想27ポイントで、DI値はマイナス19ポイントとなり、当月実績のマイナス20ポイントに概ね横這いの予想となっている。季節要因による売上増加期待が弱いことと同じく、収益改善の期待も弱い。依然、厳しい企業経営が続くものと予想される。
 好転予想になっているのは飛騨地区家具、家庭紙、機械・工具販売、ギフト、高山旅館、クリーニング業である。
 悪化予想業種割合が多いのは繊維・同製品、建設業、窯業・土石である。

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