調査レポート
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景気動向調査
 平成13年4月  (平成13年4月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕4月の特色
◆ 景況悪化、前月に続き拡大
◆ 低価格化、収益悪化が再び拡大
  〔 2 〕4月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転1ポイント、悪化39ポイントでDI値はマイナス38ポイントとなり、前月のマイナス32ポイントに対し、6ポイントの悪化となっている。

 例年4月は、需要の年間ピークとなる3月との対比で、売上、受注の減少により景況感が悪化する傾向にあるが、今回も季節要因により景況感が悪化している。

 マイナス要因は、建設関連の公共工事端境期、機械・金属等の決算調整の反動があげられ、プラス要因には観光需要があげられている。

 景況悪化の要因には、さらに低価格化があげられる。当月、再び販売価格の下降傾向が強まり、収益を生まない売上の傾向が益々強まっている。

 プラスチック等売上増加となっている業種においても収益の改善はなく、反対に悪化している業種もあり、先行不透明の現在の不況の深刻さを浮彫にしている。

 前月まで比較的堅調であった機械関係、木材で下降傾向が見られ、業況悪化業種が拡大し、当月は不況色が強まるとともに、引き続く消費需要の低迷に加え、生産財需要も減少し、また、販売価格の一層の下降、輸入品との競合のため、環境が益々厳しくなっている。

 景況感悪化業種が特に多いのは、繊維・同製品、機械・金属、商店街、建設業である。

 景況感が前月比好転したのは、航空機関係である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、概ね前月比、前年同月比とも売上が横這いとなっている。しかし、スーパー等の低価格化等による低価格、低収益が厳しく、苦しい業況が続き、また、先行も改善の兆しが全く見られない状況である。

繊維・同製品は、前月比売上がアパレルを中心に減少になっている。また、前年同月比でも、大半の業種が減少となっている。前月と同様、需要の低迷、低価格、輸入品との競合が業況悪化、企業経営を圧迫している。

木材・木製品は、前月比売上が減少、横這いの二つに分かれた。前年同月比は住宅建築用は横這いであるが、家具、銘木は減少となっている。住宅建築の減税措置の効果は弱く、実需不足感が強い。特に、輸入品が増大している家具業界は深刻度を強めている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、前月比売上が増加、減少に分かれている。前年同月比は、概ね横這いとなっている。需要量が増加しているプラスチックでも、販売価格の下降のため収益、業況の改善が見られず、前年同月比では収益、景況感が悪化している。全般的には依然低迷が続いている。

窯業・土石の陶磁器関係では、前月横這い、低迷が続いている。中国からの輸入の影響が大きく、輸入抑制のために県レベルでの国への働きかけの要望が出るなど、産地の業況が一段と厳しくなっている、タイル等の他の窯業は前月横這い、石灰は季節要因で前月比出荷が減少している。建設資材の土石は、前月の年度末需要期の反動で前月比売上減少となっている、また、前年同月比で売上減少の業種が多く、依然厳しい業況が続いている。


機械・金属は、年度末需要の反動もあり、前月比売上が減少している。前年同月比でも半分の業種が売上減少となっていおり、また、景況感の悪化業種も多く、今後の推移が懸念される。特に、販売価格の下降、収益の悪化の傾向が強まっていることが大きな懸念材料である。


各種物産品は、前月比売上が増加となっている。しかし、前年同月比は、観光物産は増加、ギフトは減少に分かれた。特にギフトでは、長期の業況悪化であり、厳しい局面となっている。

卸売業では、陶磁器卸は前月比、前年同月比ともに売上等が悪化、飛騨地区総合卸は前月比、前年同月比ともに横這いとなっている。陶磁器卸は、取引先である専門店の廃業等の小売業界の変化、競合に注視している。


小売業は、前月比売上が概ね横這いで推移している。しかし、前年同月比では、一部に減少の業種が見られる。依然消費需要の低迷が続き、低調な業況で推移している。

商店街は、当月に入学、就職の季節需要が大きく出た多治見を除き、前月比横這い又は悪化で推移している。特に、前年同月比では全ての商店街で業況が悪化し、景況感も悪化、極めて深刻な状況になってきている。

サービス業は、前月比売上が増加となっている。しかし、前年同月比では、減少業種も少なくなく、このため、景況感の改善は見られない、低調な業況となっている。

建設業は、年度初めの公共工事端境期のため、売上、受注とも、前月比減少となっている。また、民需も依然低迷が続いている。このため、収益状況の悪化となり、景況感が悪化している。
公共工事の早期発注の要望が多い。

運輸業は、岐阜地域は前月横這い、県域は、前月比売上減少となっている。県域の先月までの業況回復基調が当月は一服した形となっている。
  主な調査項目での動向
売上動向は、増加17ポイント、減少36ポイントでDI値はマイナス19ポイントとなり、前月のプラス23ポイントに対し、42ポイントの極めて大きな下降となっている。
 主な要因は季節要因で、公共工事端境期による建設需要の減少、年度末決算調整の反動があげられる。一方、プラスの季節要因もあり、各種物産品、サービス業で売上が増えている。
 例年、3月の需要動向のピークに対し、4月は下降しているが、今回はその落差が例年に較べ大きい。また、前年同月比売上も過半の回答が減少としており、この減少の動向は、季節要因だけではなく、景気動向による需要の減少であることを推測させる。また、販売価格の低迷、下降も顕著で、これが、売上高を抑える要因にもなっている。依然、需要低迷、低価格シフトで厳しい需要動向が続いている。
 売上増加業種割合が多いのはサービス業、各種物産品である。減少業種が多いのは繊維・同製品、窯業・土石、機械・金属、建設業である。

受注動向は、増加12ポイント、減少38ポイントで、DI値はマイナス26ポイントとなり、前月のプラス10ポイントに対し、36ポイントの極めて大きな下降となっている。売上動向に較べ、下降傾向が小さくなっているが、概ね、同様な傾向となっている。その中で、業種別の動きを見ると、窯業・土石で「減少回答」が若干多く、サービス業で「増加回答」が若干少ないことが、売上動向との差になっている。
 受注増加業種が多いのは各種物産品、サービス業であり、一方減少業種が多いのは繊維・同製品、窯業・土石、機械・金属、建設業である。

販売価格の動向は、上昇1ポイント、下降26ポイントでDI値はマイナス25ポイントとなり、前月のマイナス11ポイントに対し、14ポイントの大幅な下降となっている。本年1月のマイナス21ポイントを超え、極めて厳しい動向である。すでに、各業種で限界とも言える低価格になっており、これをさらに下回ることは、極めて深刻な状況と言える。一部に売上が増えている業種があるが、収益、景況の改善には及ばず、他業種への需要回復効果も表れず、今後の景気動向にとって大きな不安材料となっている。
 下降業種が特に多いのは、木材・木製品、窯業・土石、機械・金属、建築業である。上昇したのは染色整理業であるが、前年同月比では下降している。

収益状況の動向は、好転2ポイント、悪化37ポイントで、DI値はマイナス35ポイントとなり、前月の20ポイントに対し、15ポイントの大幅な下降である。
 前月、前々月がマイナス20ポイントであったのに対し、再びマイナス30ポイント台の厳しい段階に戻った。
 悪化業種は、紙・印刷・プラスチック、小売業、サービス業では少ないが、他は概ね同様の割合で出ている。好転したのは、観光物産、高山旅館である。
   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヵ月の景気動向予想を景況感DI値で見ると、好転予想0ポイント、悪化予想44ポイントで、DI値はマイナス44ポイントとなり、当月実績のマイナス38ポイントに対し、6ポイントの悪化となっている。例年、向こう3カ月(5月、6月、7月)は、4月に較べ弱含みで動く傾向にあり、その意味では、今回も例年並みの動向が予想されている。

 しかし、すでに未曾有の長期不況で、中小企業の各業種は極めて厳しい状況にあり、例年の季節変動による需要減少、景況後退も深刻な影響を与えるものと予想され、厳しい予想となっている。

 悪化予想業種が特に多いのは、繊維・同製品、木材・木製品、窯業・土石、機械・金属、建設業である。

売上動向予想は、増加予想8ポイント、減少予想31ポイントでDI値はマイナス23ポイントとなり、当月実績のマイナス19ポイントに対し、4ポイントの下降となっている。
 向こう3カ月には、5月の大型連休による営業日数減少の季節要因により、例年、売上動向が4月に対し弱含みで推移する傾向にある。今回の予想が季節要因による下降とも考えられるが、当月実績の景況下降を勘案すると、景況動向の下降の影響も推測され、今後の推移が懸念される。 当月横這い予想は食料品、小売業、サービス業、運輸業である。減少業種が特に多いのは、木材・木製品、窯業・土石、商店街、建設業である。

収益動向予想は、好転予想0ポイント、悪化予想40ポイントで、DI値はマイナス40ポイントとなり、当月実績のマイナス35ポイントに対し、5ポイントの悪化予想となっている。
 当月実績が、前月(3月)、前々月(2月)に対し、大きく下降し、今回の予想はさらにこれを上回る悪化の予想となっており、厳しい状況が予想される。
 景況予想が特に多いのは、木材・木製品、機械・金属、建設業、次いで繊維・同製品、窯業・土石、商店街となっている。
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