調査レポート
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景気動向調査
 平成13年6月  (平成13年6月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕6月の特色
◆ 景況悪化業種が拡大
◆ 低価格、低収益が強まる
  〔 2 〕6月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転1ポイント、悪化46ポイントでDI値はマイナス45ポイントとなり、前月のマイナス36ポイントに対し、9ポイントの悪化となっている。

 例年6月は、夏物商品、ボーナス需要のプラス要因、観光シーズンに対する反動等のマイナス要因の季節要因があるが、近年は季節要因の影響が小さく、概ね前月並の景況感で推移する傾向にある。当月も、季節要因による影響が弱い。

 景況感が、3ヶ月連続のマイナス30ポイント台に続き更に悪化し、マイナス45ポイントになり、底を割った動向になっている。

 製造業、商業、サービス業、建設業の全般に需要の減少が見られ、長期間続いている需要低迷、低価格が一段と進み、景気動向は調整から悪化に移っている。

 取引先の倒産、業界内の廃業発生の情報とともに、これらの今後の増加に対する危惧の意見が多くなっている。
 また、輸入品増加の勢いが依然続き、繊維、木工、陶磁器を中心に、国内メーカーへの影響が一段と強まっており、企業経営は深刻な局面に入っている。

 景況感悪化業種が特に多いのは、繊維・同製品、窯業・土石、機械・金属、商店街、サービス業、建設業である。

 景況感が前月比好転したのは、広告美術である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、売上は前月比、前年同月比とも減少傾向となっている。需要低迷、低価格による収益悪化、業況悪化が続いている。

繊維・同製品は、アパレル関係を中心に前月比売上が減少になっている。アパレル関係では夏物衣料のシーズンに当たるが、春物不振の影響から夏物へのシフトが悪い。また、需要低調の中で輸入品の増加、低価格志向が産地の業況を一段と厳しくしている。

木材・木製品は、前月比売上が、家具、高級木材では減少、その他は低調横這いで推移した。前年同月比売上は、集成材、プレカットを除き、全て減少となっている。高級材関係では住宅着工数の減少、住宅のプレハブ化等により木材需要の減少が強まっている。また、家具では需要の減少に加え、輸入品の増加により業況が悪化している。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、需要動向が業種によって分かれている。紙は前月比、前年同月比ともに増加、プラスチックは前月比増加、前年同月比減少、紙加工品は前月比、前年同月比ともに減少となっている。需要増となった紙においても景況感の改善は見られなず、総合すると低調横這いとなっている。


窯業・土石は、陶磁器関係、建設資材関係ともに売上、受注が前月比減少となり景況感も大幅に悪化となっている。窯業原料が唯一前月比売上が増加となっているが、前年同月比では横這いであり依然厳しい業況が続いている。消費需要の低迷、輸入品の増加、公共工事、建設需要の減少により、先行きの業況悪化が強く懸念されている。収益状況、資金繰り悪化が大きく、企業経営が一段と深刻な局面にあることを窺わせている。

機械・金属は、前月に引き続き、売上、受注ともに前月比減少となった。また、前年同月比売上も6割の回答が減少となった。懸念されていた需要動向が、下降局面に入っていることが確実となっている。売上不振、低価格、販売条件悪化による収益状況悪化の傾向が強く、鋳物業界では雇用調整助成金の受給を検討するなど、今後、企業経営が益々厳しくなることが懸念される。その中で、航空機関係は、取引条件は厳しいが、受注量は堅調となっている。


各種物産品は、観光物産は、売上が前月比、前年同月比ともに減少となっている。ギフトは中元需要で前月比は9%の増加であるが、前年同月比は20%を超える減少となり、前月に続き厳しい業況が続いている。

卸売業では、陶磁器卸では前月に引き続き需要減少、消費需要の低迷、輸入品との競合等、マイナス要因が多く業況の悪化が続いている。飛騨地区総合卸は、特に変化が出ていない。


小売業は、前月比概ね横這いの低調な業況で推移している。その中でメガネ販売は、季節要因に前月比売上増、前年同月比も増加となり好転したが、一時的な動きと見られている。

商店街は、前月比、前年同月比とも売上が、横這い2、減少3で一段と厳しい業況となっている。ボーナス需要、中元セールによる売上増加の動きも弱く、不況感が強い。

サービス業は、前月比売上動向が多様に分かれた。業種区分による特色は無く、全くの混在の形となっている。このため、総合すると、前月低調横這いの推移となっている。需要動向の低迷の中、販売価格の下降、収益状況、資金繰り悪化の業種が多く、また、景況感の悪化も大きく、業況下降が顕著になっている。

建設業は、公共工事の発注時期の遅れも見られ、また、民需の動きも見られず、前月比の売上、受注は減少又は横這いで推移している。その中で、電気工事が前月比、前年同月比ともに売上増加となっている。先行きについても、需要回復の期待は極めて弱く、特に、公共工事の単価引下げ、発注量の減少は、今後、業界に深刻な影響を与えるものと危惧されている。受注不足による受注競争の激化、受注単価の下降が一段と強まり、業況悪化が続いている。

運輸業は、動向がわかれ、岐阜地区は前月横這い、県域は前月比、前年同月比ともに売上が増加となっている。県域は売上が増加しているが、景況感等業況の改善には至っていない。
  主な調査項目での動向
売上動向は、増加19ポイント、減少38ポイントでDI値はマイナス19ポイントとなり、前月のマイナス39ポイントに対し、20ポイントの大幅な改善となっている。この要因には、3月の需要ピーク時に対し、4月、5月と連続して大幅な減少で推移するなど大きく後退し、当月は後退した低い水準に対する比較としての改善となった。
 季節要因には、夏物需要、営業日数の増加、ボーナス支給等のプラス要因があげられるが、近年、このプラス要因の動きが弱く、本年も、大半が前月比売上増加の効果が出ていない。
 殆ど全ての業種が需要の低迷、減少となり、売上動向は下降局面に入っている、
 前月比売上増加業種は紙、一方、減少業種が多いのは食料品、繊維・同製品、窯業・土石、機械・金属、商店街である。

受注動向は、増加14ポイント、減少34ポイントで、DI値はマイナス20ポイントとなり、前月のマイナス34ポイントに対し、14ポイントの改善となっている。概ね売上動向と同様、大幅な下降となった前月に対する比較として改善したものであり、依然厳しい受注状況が続いている。低迷が続いている中、前月比、前年同月比とも増加となっているのは、合成繊維系織物、家庭紙、航空機関系だけで、他は低調横這い又は減少となっている。減少業種が多いのは、窯業・土石である。

販売価格の動向は、上昇3ポイント、下降24ポイントでDI値はマイナス21ポイントとなり、前月のマイナス25ポイントに対し、4ポイントの改善となっている。しかし、3ヶ月連続でマイナス20ポイント台が続き、価格低下の強い傾向が続き、大きな経営圧迫要因となっている。すでに限界といえる低価格状態であるため、一部に売上高が増加している業種があるが、それらの業種の中でも収益が改善しない業種が多く、深刻な状況といえる。
 下降業種が多いのは、サービス業、建設業である。上昇したのは、米穀、航空機関係である。

収益状況の動向は、好転5ポイント、悪化40ポイントで、DI値はマイナス35ポイントとなり、前月の37ポイントに対し、2ポイントの改善である。
 前月同様、一部に季節要因等で売上が増加している業種があるが、収益の改善は見られない業種が多く、売上低迷に加え低価格の影響が大きく、容易に収益が改善しない状況が続いている。
 悪化業種が特に多いのは、食料品、商店街、サービス業である。次いで、窯業・土石、機械・金属、建設業で多い。好転したのは、米穀販売、合成繊維系織物、特殊紙、メガネ販売である。
   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヵ月の景気動向予想を景況感DI値で見ると、好転予想0ポイント、悪化予想63ポイントで、DI値はマイナス63ポイントとなり、当月実績のマイナス45ポイントに対し、18ポイントの大幅な悪化予想となっている。

 当月実績との比較で「悪化」が17ポイント増加、悪化業種の大幅な拡大となっており、向こう3ヶ月は、更に厳しい景況となる予想となっている。

 業種区分別に当月実績と比較すると、殆どの業種で、「悪化」が増え、例年この時期に公共工事発注の本格化、夏期休暇の観光、中元等のプラスの季節要因が見られるが、本年はこれらの季節要因への期待があまり見られず、逆に夏期休暇による営業日数の減少、食料品の不需要期等によるマイナス要因が強く働き、一層の景況感後退の傾向にある。
 悪化予想業種が多いのは、繊維・同製品、機械・金属、商店街、サービス業、建設業である。


売上動向予想は、増加予想6ポイント、減少予想49ポイントでDI値はマイナス43ポイントとなり、当月実績のマイナス19ポイントに対し、24ポイントの減少予想となっている。
 マイナス値増加の要因には食料品、商店街等の消費需要関連業種での売上減少が主な原因となっている。
 景気動向としての需要減少に季節要因が加わり、全体的に売上減少又は弱含みの予想となっている。
 増加予想となっているのは、航空機関係である。減少業種割合が特に大きいのは、繊維・同製品、木材・木製品、商店街、サービス業である。

収益動向予想は、好転予想1ポイント、悪化予想51ポイントで、DI値はマイナス50ポイントとなり、当月実績のマイナス35ポイントに対し、15ポイントの悪化予想となっている。
 悪化予想は最悪値で、悪化業種は消費財、生産財を問わず広範囲に及び、極めて深刻な状況になることが予想される。
 好転予想となっているのは、観光需要を期待する飛騨地区総合卸だけである。悪化予想が特に多いのは食料品、繊維・同製品、木材・木製品、商店街、サービス業である。
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