調査レポート
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景気動向調査
 平成13年7月  (平成13年7月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕7月の特色
◆ 景況悪化拡大
◆ 低価格の影響拡大
  〔 2 〕7月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転0ポイント、悪化46ポイントでDI値はマイナス46ポイントとなり、前月のマイナス45ポイントに対し、1ポイントの悪化となっている。

 例年7月の一般的な需要動向は6月に類似している。異なった点の主なものに公共工事の発注が本格的に動き出すことが上げられ、このため7月は、6月に較べ景況感が若干改善する傾向がある。しかし、本年は、公共工事発注の遅れがあり受注が進んでいない状況もあり、景況は前月並みの悪化が続いている。

 本年3月より3ヶ月連続のマイナス30ポイント台が続いた後、先月のマイナス45ポイント、当月マイナス46ポイントと続き、景気後退が鮮明になった。

 また、景況悪化は、低調横這いの小売業、運送業を除き、全般の業種に見られ、先行き見通しが全く立たない状況になっている。

 売上が増えても利益を出せないほどの低価格、円高でも止まらない海外製品、取引先業界における倒産の増大による信用不安等々、マイナス要因が一段と強まっている。

 景況感悪化業種が特に多いのは、窯業・土石、機械・金属、商店街である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、需要の不振に加え、猛暑による需要減少が出て、前月比売上減少となっている。また、依然、消費者の低価格志向、販売価格の下降が見られ、収益悪化傾向が強い。業況が一段と厳しくなっている。

繊維・同製品の織物等川上業種は前月横這い、前年割れの業況で推移、その中で、合繊織物は前年を上回る業況で推移した。アパレル等繊維製品は、需要の低迷、海外製品との競合等による販売価格低下で一段と業況が悪化している。

木材・木製品は、前月比売上が製材、家具では減少、その他は横這いで推移した。前年同月比売上は、横這いの集成材を除き、全て減少となっている。家具では、関係業種の大型倒産も発生し影響が懸念される。


紙・紙加工品、印刷、プラスチックは、需要減少の傾向が強く、前月横這い若しくは悪化の業況で推移している。特にプラスチックでは、納入先のスーパー等の倒産の増大の影響、また、産業資材関係の受注の減少が懸念されている。


窯業・土石の陶磁器等では、前月横這い、低迷が続いている。需要の低迷、中国製品の輸入増加等の影響が大きく、輸入に対する制限を求める要望が強い。石灰等のその他の窯業は前月比売上減少の傾向が強く、低調に推移。建設資材の土石も、需要の低迷が続き、前月比売上は若干の減少傾向で推移し、業況が一段と悪化している。

機械・金属は、前月比売上は減少傾向となった。景況感も6割の業種で悪化となっており、業況が大きく後退している。鋳物業界は、検討中であった雇用調整助成金を申請するなど、今後の業界の先行きが懸念される。
 その中で、機械・工具販売は、前月比、前年同月比共に売上増加となり、また、収益も改善し好転している。


各種物産品は、前月比売上は、観光物産は増加、ギフトは横這いとなった。しかし、前年同月比売上ではどちらも減少となっており、依然厳しい業況が続いている。


卸売業では、陶磁器卸は需要低迷や、小売販売額の落ち込み等により、前月比、前年同月比ともに主要項目が全て悪化。飛騨地区総合卸は、売上は前月比では増加、前年同月比で減少となっている。


小売業は、前月比売上が概ね横這いで推移している。しかし、前年同月比では、一部の業種で減少がみられる。メガネ販売では、需要月であるが低価格のため売上が伸びていない。

商店街は、婦人洋品が好調であった恵那を除き、前月比横這いで推移している。しかし、前年同月比では岐阜、高山を除く商店街で減少となるなど、業況は悪化し、極めて深刻な状況である。

サービス業は、前月比、前年同月比ともに売上が減少となっている。景況感も悪化し、業況が大きく後退している。

建設業は、前月に続き、低調な公共工事発注や民間需要の低迷のため、売上、受注が少なく、前月比の売上は減少又は横這いで推移している。公共工事の早期発注、景気対策の要望が多い。

運輸業は、岐阜地区、県域とも前月、前年同月比売上が横這いで推移している。
  主な調査項目での動向
売上動向は、増加6ポイント、減少43ポイントでDI値はマイナス37ポイントとなり、前月のマイナス19ポイントに対し、18ポイントの大幅な減少となっている。
 例年7月は、公共工事発注があり改善の傾向が出る。しかし、今年は公共工事の発注に遅れがあり受注が進んでいない。減少要因は、長引く景気低迷よる消費需要の低下、輸入品との競合と消費者の低価格志向による低価格化、景気の後退が上げられる。
 また、猛暑に対し、夏物需要が大きく出て来ることが期待されたが、家電ではエアコンは増加したが、パソコン等その他の製品の低迷のため、全体では横這いとなった。また、衣料品等、その他の商品でも盛り上がりを欠き、売上増加の動きに勢いを欠いている。
 前月比売上増加業種は食肉、織物染色、機械・工具販売、観光物産品、恵那商店街。一方、減少業種が特に多いのは繊維・同製品、サービス業である。

受注動向は、増加7ポイント、減少39ポイントで、DI値はマイナス32ポイントとなり、前月のマイナス20ポイントに対し、12ポイントの減少となっている。
 全体的に売上動向と同様の傾向である。減少の動きとして突出しているのは、先月3業種が増加傾向にあったサービス業で、減少業種が大幅に増えたことがあげられる。
 受注増加業種は、靴下、機械・工具販売、観光物産品、恵那商店街、飛騨地区土木。一方、減少業種が特に多いのは食料品、サービス業である。

販売価格の動向は、上昇3ポイント、下降30ポイントで、DI値はマイナス27ポイントとなり、前月のマイナス21ポイントに対し、6ポイントの下降となっている。4ヶ月連続のマイナス20ポイント台が続き、業界、企業は深刻な状況といえる。
 下降業種が多いのは繊維・同製品、窯業・土石、建設業である。上昇したのは、食肉、織物染色業である。

収益状況の動向は、上昇1ポイント、下降39ポイントで、DI値はマイナス38ポイントとなり、前月のマイナス35ポイントに対し、3ポイントの悪化となっている。
 収益に対する低価格の影響は強く、前月比売上増加となった5業種の内で、収益が改善しているのは、機械・工具販売業のみであり、容易に収益が回復しない状況が続いている。
 4月から連続4ヶ月マイナス30ポイント台が続き、極めて深刻な局面になってきている。
 悪化業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、窯業・土石、サービス業、建設業である。

   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヵ月の景気動向予想を景況感DI値で見ると、好転予想1ポイント、悪化予想63ポイントで、DI値はマイナス62ポイントとなり、当月実績のマイナス46ポイントに対し、16ポイントの悪化予想となっている。

 当月との比較で「悪化」が16ポイント増加となり、前月に続き悪化業種の大幅な拡大となっており、向こう3ヶ月は、景況の悪化状態が続く予想となっている。

 景況感は、先月に続き殆どの業種で、「悪化」状態のままである。例年この時期に公共工事発注・施工、秋冬物の消費需要等のプラスの季節要因に起因する好転予想が見られる業種が出てくるが、本年はこれもあまり見られず、景況の後退予想となっている。

 好転予想業種は、機械・工具販売である。

 悪化予想業種が多いのは、食料品、繊維・同製品、機械・金属、商店街、サービス業、建設業である。

売上動向予想は、増加予想4ポイント、減少予想46ポイントでDI値はマイナス42ポイントとなり、当月実績のマイナス37ポイントに対し、5ポイントの減少予想となっている。
 向こう3ヶ月には、9月、10月が含まれており、これらの月は例年衣料品等の秋冬物需要、公共工事発注・施工、食料品の需要等のプラス要因が強く働くが、本年は逆に減少傾向予想になるなど、依然、消費低迷、建設関係の先行不透明感が強く、今後の推移が懸念される。
 当月増加予想となっているのは、米菓、靴下、集成材である。減少業種割合が特に大きいのは、繊維・同製品、木材・木製品、機械・金属、商店街、サービス業、建設業である。

収益動向予想は、好転予想0ポイント、悪化予想52ポイントで、DI値はマイナス52ポイントとなり、当月実績のマイナス38ポイントに対し、14ポイントの大幅な悪化予想となっている。
 業種別に当月実績値と比較すると、殆どの業種区分で変化は小さいが、繊維・同製品、サービス業が他に較べ悪化予想割合が大きくなっている。また、建設業においては公共工事発注が本格的に動いても、発注単価の下降のため収益の上昇はあまり見込めず、収益悪化状態が依然続くものと予想される。
 悪化予想業種が特に多いのは、繊維・同製品、木材・木製品、機械・金属、商店街、サービス業、建設業である。
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