調査レポート
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景気動向調査
 平成13年8月  (平成13年8月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕8月の特色
◆ 景況悪化下げ止まらず
◆ 収益悪化が拡大
  〔 2 〕8月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転0ポイント、悪化53ポイントでDI値はマイナス53ポイントとなり、前月のマイナス46ポイントに対し、7ポイントの悪化となっている。

 例年8月は、マイナス要因として夏期休暇、消費需要の減退、プラス要因として公共工事、秋冬物出荷の本格化があげられ、総合すると若干のマイナスとなる。

 しかし、本年は、プラス要因の影響は弱く、また、個人消費が低調に推移する中、低価格商品への消費者指向、また、公共工事発注の遅れや、減少により業者間での受注競争が激しく収益があがらない等、景況はマイナス50ポイント台になるなど大きく悪化している。

 本年3月より3ヶ月連続のマイナス30ポイント台が続いた後、2ヶ月連続のマイナス40ポイント台に下降、当月はマイナス53ポイントとなり景況はさらに悪化しており、下げ止まり感は無い。また、低調横這いのプラスチック、航空機関係、運送業を除き、景況悪化が全般の業種に見られ、先行き不透明な状況が続いている。

 景況感悪化業種が特に多いのは、サービス業である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、商品により売上動向が異なるが、前月比では食肉、米菓、米穀の増加により、売上増となっている。しかし、前年同月比では食肉を除き減少傾向にあり、また、収益悪化傾向も強く、依然業況悪化が続いている。

繊維・同製品は、売上は織物等川上業種は前月比横這い、減少傾向になっている。アパレル関係では、秋冬物の納品等により靴下、メンズアパレルで前月比売上増加となるが、前年同月比では減少している。需要の低迷、海外製品との競合、低価格志向など業況は一段と悪化している。

木材・木製品は、前月比売上が製材、家具では減少、その他は横這いで推移した。前年同月比売上は、横這いの集成材を除き、全て減少となっている。家具では、関係業種の大型倒産も発生し影響が懸念される。


紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、需要減少傾向が強く、全般的に売上減少若しくは横這いで推移している。特にプラスチックで、メーカの設備投資縮小に伴う産業用資材の受注減少が見られる。今後一層厳しい景気動向を推測させる。

窯業・土石は、陶磁器関係、建設資材関係ともに売上、受注が減少傾向である。特に窯業は、輸出陶磁器、耐火煉瓦、石灰については主要項目が全て悪化するなど、業況は一段と悪化している。建設資材の土石においても、前月比、前年同月比ともに売上減少となり、建設不況が大きく影響し、厳しい業況となっている。

機械・金属は、前月に続き売上、受注ともに前月比、前年同月比とも減少傾向となった。他業種に較べ減少傾向が強い。鋳物業界では、雇用調整助成金の指定業種となるなど、厳しい経営状況が続き、先行きが懸念される。その中で、航空機関係は受注、売上ともに安定している。


各種物産品は、動向が大きく分かれ、観光物産は前月比、前年同月比ともに売上は増加し、業況が好転、ギフトは反対の動きで悪化となっている。


卸売業では、陶磁器卸は需要低迷や、小売販売額の落ち込み等により、前月比、前年同月比ともに主要項目が全て悪化。飛騨地区総合卸は、売上は前月比では増加、前年同月比で減少となっている。


小売業は、前月比売上動向が家電、メガネ販売で悪化、中古自動車販売で増加し、その他は横這いと分かれた。消費需要低迷が続き、依然業況は低調に推移している。

商店街は、前月比売上は、高山の横這いを除き、全商店街で減少し、また前年同月比でも減少の商店街が多く、商店街の業況悪化は極めて深刻な状況になってきている。

サービス業は、前月比売上動向が横這い4、減少6で前月に続き減少傾向である。前年同月比でも7割が減少となっており、一段と需要動向が冷え込んでいる。また、宿泊料金等、販売価格の下降が一段と強まり、需要減少と重なり、企業経営は一段と厳しくなってきている。

建設業は、前月に引き続き低調な公共工事や、業者間での受注競争激化などにより売上減少、単価下降、収益悪化の典型的な不況の状況にあり、今後の推移が憂慮されるところである。前月比売上増加があったのは、電気工事で、季節要因によるものであり、前年同月比では減少している。公共工事の早期発注、発注増の強い要望が出ている。

運輸業は、動向がわかれ、岐阜地区は前月横這い、県域は減少となっている。
  主な調査項目での動向
売上動向は、増加12ポイント、減少52ポイントでDI値はマイナス40ポイントとなり、前月のマイナス37ポイントに対し、3ポイントの下降となっている。
 例年8月は、プラス要因として公共工事、アパレルの秋冬物出荷の本格化、マイナス要因として夏期休暇があげられる。季節要因により紳士服や電気工事業などで前月比売上増加があり、増加ポイントは前月の2倍に増えたが、減少ポイントが、需要低迷、単価下降等により、これを上回る増加となり、総合して3ポイントの下降となった。減少業種が特に多いのは窯業・土石、機械・金属、商店街、サービス業、建設業である。

受注動向は、増加6ポイント、減少55ポイントで、DI値はマイナス49ポイントとなり、前月のマイナス32ポイントに対し、17ポイントの大幅な減少となっている。全体的に売上動向と同様の傾向であるが、食料品、アパレル等季節要因による売上増加のある業種は、受注動向が低い。
 受注増加業種は、米穀、航空機関連、観光物産品、飛騨地区建設、羽島地区建設。一方、減少業種が特に多いのは窯業・土石、機械・金属、商店街、サービス業、建設業である。

販売価格の動向は、上昇1ポイント、下降28ポイントで、DI値はマイナス27ポイントとなり、前月と同数で5ヶ月連続のマイナス20ポイント台であり、業界、企業は深刻な状況といえる。販売価格の好転業種は食肉であるが、これは卸売価格の上昇によるもので、収益は改善していない。悪化業種が特に多いのは、サービス業、建設業である。

収益状況の動向は、上昇4ポイント、下降55ポイントでDI値はマイナス51ポイントとなり、前月のマイナス38ポイントに対し、13ポイントの大幅な悪化となっている。
 4月からの4ヶ月連続でのマイナス30ポイント台に続いての大幅な悪化であり、収益回復の困難な、深刻な状況が続いている。
 好転業種は、機械・工具販売、観光物産、総合卸売。悪化業種が特に多いのは、窯業・土石、鉄鋼・金属、商店街、サービス業、建設業である。


   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヵ月の景気動向予想を景況感DI値で見ると、好転予想1ポイント、悪化予想66ポイントで、DI値はマイナス65ポイントとなり、当月実績のマイナス53ポイントに対し、12ポイントの悪化予想となっている。

 当月実績との比較でも、「悪化」が13ポイント増加、悪化業種の拡大となっており、向こう3ヶ月は、更に厳しい景況となる予想となっている。

 例年この時期は、観光、公共工事等のプラス要因が見られるが、本年はこれらの季節要因への期待もみられず、景況感は、殆どの業種で「悪化」状態のままである。先行きの不透明感が続き景況は後退予想となっている。

 好転予想業種は、菓子である。悪化予想業種が多いのは、繊維・同製品、紙・紙加工品、機械・金属、商店街、サービス業、建設業である。


売上動向予想は、増加予想8ポイント、減少予想44ポイントでDI値はマイナス36ポイントとなり、当月実績のマイナス40ポイントに対し、4ポイントの改善予想となっている。
 向こう3ヶ月のプラス要因に、夏期休暇要因への反動、秋需要等があげられるが、増加予想の回答は増えておらず、今回の改善は「減少」予想回答から「不変」予想回答への移動によるものである。全体的に依然、消費需要関係、建設関係での需要停滞など不況要因が強く、先行き不透明、今後の推移が懸念される。
 当月増加予想となっているのは、菓子、集成材、砂利、航空機関連、ギフト、総合卸売、下呂温泉旅館である。減少業種割合が特に大きいのは、繊維・同製品、商店街、サービス業、建設業である。

収益動向予想は、好転予想4ポイント、悪化予想52ポイントで、DI値はマイナス48ポイントとなり、当月実績のマイナス51ポイントに対し、3ポイントの改善予想となっている。
 業種別に当月実績値と比較すると、窯業・土石で改善が見られ、サービス業で悪化が大きくなっている。
 好転予想業種は、菓子、砂利、飛騨地区総合卸売である。悪化予想業種が特に多いのは、機械・金属、商店街、サービス業、建設業である。
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