調査レポート
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景気動向調査
 平成13年9月  (平成13年9月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕9月の特色
◆ 景況悪化状態続く
◆ 先行き不透明感強まる
  〔 2 〕9月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転1ポイント、悪化48ポイントでDI値はマイナス47ポイントとなり、前月のマイナス53ポイントに対し、6ポイントの改善となっている。

 例年9月は、季節要因として、衣料品、食料品の消費需要、公共工事の需要等の増加がある。また、前月の夏期休暇による稼働日数の減少の反動等の要因で、前月比売上が増加し、景況感も改善する。

 これに対し、当月は、DI値では6ポイントの改善になったものの、依然マイナス47ポイントの大きな悪化傾向となっている。

 この要因には、残暑による衣料品、食料品等季節要因の伸び悩み、公共工事発注の遅れ、全般的に低価格競争の激化あるいは低価格輸入品との競合による受注(販売)価格の低下があげられる。

 収益状況、資金繰り状況においても、前月比水面下の若干の改善はあるが、売上の頭打ちと価格の低下により、厳しい状況で推移し、さらに、コメントの中には同業者の廃業、取引先関係の倒産による信用不安、企業マインドの低下を指摘する意見が増えており、景況は一段と厳しくなっている。

 最近のDI値は、2ヶ月連続のマイナス40ポイント台、先月はマイナス50ポイント台、そして、当月マイナス47ポイントであり、強い悪化傾向が続いている。

 景況感が前月好転したのは、米菓であるが、これは季節要因の売上増によるものである。

 景況感悪化業種が特に多いのは、機械・金属、サービス業である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、秋需要に入り、例年は前月比売上が増加する傾向にあるが、今回は売上動向が増加4、減少3と分かれた。特に、食肉では、牛肉の販売額が前月比20%減少するなど、牛海綿状脳症(狂牛病)の風評被害が大きく、行政の早期適切な対応を要望している。

繊維・同製品のは、売上はアパレル関係は、秋冬物納品等で紳士服、婦人子供服で前月比増加となるが、前年同月比では減少、横這いである。また、海外製品との競合等による低価格で業況は一段と厳しくなっている。織物等川上業種は前月比横這い、あるいは減少傾向になっている。

木材・木製品は、前月比売上は、製材では増加、その他は横這いで推移した。前年同月比売上は、集成材は横這い、その他は減少となっている。季節要因で売上、受注が増加した業種もあるが、低価格化など厳しい経営環境が続いている。


紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、需要動向は全般に低調で売上減少若しくは横這いで推移している。紙加工品、プラスチックは売上が前年割れとなり、紙、印刷に較べ下降度合が大きい。

窯業・土石の陶磁器等ではタイル、窯業原料では増加傾向となり、その他の業種は、前月比売上は横這いとなった。建設資材の土石においては、公共工事施工等、季節要因により、全て前月比売上増になっているが、前年同月比では減少となっている。全般に厳しい業況が続いている中で、タイルは概ね順調な業況で推移している。

機械・金属は、前月比売上は、全般に減少または横這い傾向となった。
例年9月は、夏期休暇のある前月に対し、売上が増加するが、本年はこの動きが弱い。その中で、県金属工業団地、航空機関係は前月比売上、前年同月比売上とも増加となった。

各種物産品は、動向が大きく分かれ、観光物産は前月比売上は減少し、反対にギフトは増加した。前年同月比売上は、どちらも減少傾向である。


卸売業では、陶磁器卸は需要低迷や販売価格の下落により、前月比、前年同月比ともに売上等が悪化、また、取引先の倒産が発生するなど厳しい業況である。飛騨地区総合卸は前月比、前年同月比とも横這いとなっている。


小売業は、前月比売上動向が、夏期休暇等の反動によりメガネ販売で増加、家電機器販売、中古自動車販売で減少し、その他は横這いと分かれている。家電機器販売では夏季のエアコン需要の反動と情報家電の不振が要因である。


商店街は、前月比売上は、婦人洋品が好調であった恵那を除き、減少、横這いで推移している。また、前年同月比でも減少の商店街が多く依然商店街の不況感は強い。

サービス業は、季節要因により前月比、前年同月比売上ともに全般に横這い、減少傾向で推移し、前月に続き、業況悪化傾向が強い。残暑の影響等により秋の観光需要も低調であった。

建設業は、公共工事の発注は活発化しつつあるが、売上増加に貢献するには至っていない。また、発注量も、前年より少なく、売上は、前月比横這い傾向、前年同月比減少傾向で推移している。業界から、公共工事の早期発注、発注増の強い要望が出ている。

運輸業は、売上は、前月比、前年同月比とも横這いで推移している。

  主な調査項目での動向
売上動向は、増加23ポイント、減少35ポイントでDI値はマイナス12ポイントとなり、前月のマイナス40ポイントに対し、28ポイントの大幅な改善となっている。この要因には、7月、8月と連続して大幅な減少で推移したが、当月は、その後退した低い水準に対する比較としての改善となった。
 例年9月は、前月の夏期休暇による減少傾向に対する反動、衣料品の秋冬物需要、建築資材の需要、公共工事の本格化等の季節要因により、売上増加が大きく出る時期である。
 季節要因により、アパレル関連、建築資材等で前月比売上増加が出ているが、残暑の影響による秋冬物需要の遅れや、公共工事発注の遅れ等があり、季節要因による効果が出ていない。
 売上増加業種が多いのは食料品、窯業・土石である。一方、減少業種が特に多いのは紙・紙加工品、機械・金属、商店街、サービス業である。

受注動向は、増加18ポイント、減少32ポイントで、DI値はマイナス14ポイントとなり、前月のマイナス49ポイントに対し、35ポイントの大幅な改善となっている。概ね売上動向と同様、大幅な下降となった前月に対する比較によるものであり、依然厳しい受注状況が続いている。受注増加業種が特に多いのは、食料品。一方、減少業種が特に多いのは紙・紙加工品、機械・金属、サービス業である。

販売価格の動向は、上昇4ポイント、下降24ポイントでDI値はマイナス20ポイントとなり、前月の27ポイントに対し、7ポイントの改善となっている。しかし、6ヶ月連続のマイナス20ポイント台であり、売上の低迷と重なり、業況は深刻な状況となっている。依然、需要低迷、海外製品との競合が要因となっている。
 販売価格の好転業種は、食肉、銘木、恵那商店街。悪化業種が特に多いのはサービス業である。

収益状況の動向は、上昇4ポイント、下降42ポイントでDI値はマイナス38ポイントとなり、前月のマイナス51ポイントに対し、13ポイントの大幅な改善となっている。しかし、依然マイナス30ポイント台で推移しており、深刻な局面が続いている。
 収益好転業種は、米穀、銘木、砕石。悪化業種が特に多いのは紙・紙加工品、サービス業、建設業である。

   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヵ月の景気動向予想を景況感DI値で見ると、好転予想3ポイント、悪化予想63ポイントで、DI値はマイナス60ポイントとなり、当月実績のマイナス48ポイントに対し、12ポイントの大幅な悪化予想となっている。

 当月実績との比較でも、「悪化」が15ポイント増加、悪化業種の拡大となっており、向こう3ヶ月は、更に厳しい景況となる予想となっている。

 業種区分別に当月実績と比較すると、一部のごく少数の業種に季節需要による改善予想は出ているが、殆どの業種は「悪化」のままである。残暑の影響により、低調に推移した秋需のズレ込みの期待も小さく、厳しい景況悪化の予想となっている。

 加えて、米国テロ事件の影響を懸念する声が、航空機を中心に出てきている。

 好転予想業種は、豆腐、飛騨地区家具、自動車タイヤ整備である。悪化予想業種が多いのは、繊維・同製品、紙・紙加工品、機械・金属、商店街、サービス業、建設業である。


売上動向予想は、増加予想14ポイント、減少予想40ポイントでDI値はマイナス26ポイントとなり、当月実績のマイナス12ポイントに対し、14ポイントの大幅な悪化予想となっている。
 業種別に見た場合、当月実績に較べ改善予想となっているのは需要月となる木材・木製品、プラスチック、サービス業である。
 悪化予想業種が多いのは、繊維・同製品、紙・紙加工品、機械・金属、商店街、サービス業、建設業である。

収益動向予想は、好転予想4ポイント、悪化予想42ポイントで、DI値はマイナス38ポイントとなり、当月実績のマイナス37ポイントと概ね同数値で横這いで、厳しい動向予想となっている。
 業種別に当月実績と比較すると、殆どの業種区分で変化は少ないが、繊維・同製品が他の業種に較べ悪化予想が大きくなっている。
 好転予想業種は、米菓、飛騨地区家具、自動車タイヤ整備である。悪化予想業種が特に多いのは、繊維・同製品、サービス業である。
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