調査レポート
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景気動向調査
 平成13年10月  (平成13年10月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕10月の特色
◆ 景況悪化続き、不況感強まる
◆ 消費低迷続く
  〔 2 〕10月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転4ポイント、悪化50ポイントでDI値はマイナス46ポイントとなり、前月のマイナス47ポイントに対し、1ポイントの改善となっている。

 例年、10月の景況感は、季節要因等で大きく好転した前月に比べ、若干後退する傾向にある。これに対し、当月は、DI値では1ポイントと若干の改善になったが、依然マイナス46ポイントの大きな悪化傾向が続いている。

 収益、資金繰りの動向についても、前月比DI値は若干の改善を見ているが、低価格、売上不振により依然、厳しい状況が続いている。

 また、公共工事に動きが出てきた地域があるが、全般に前年同月比では減少しており、個人消費は依然として低迷し、先行き不透明感が強い。

 米国の同時多発テロ、牛海綿状脳症(狂牛病)の影響、公共工事の低調など、マイナス要因が多い状況にある。

 景況感が前月比好転したのは、米菓、集成材、自動車タイヤ整備であるが、これは季節要因の売上増によるものである。

 景況感悪化業種が全般(運輸を除く)に出ているが、特に多いのは、繊維・同製品、機械・金属、小売業、サービス業である。

  主な業種区分の業況概況
食料品は、業種により動向が分かれた、味噌・醤油、米菓、酒造で前月比売上増加、豆腐、菓子で横ばい、食肉、米穀で減少となった。特に、食肉では、牛海綿状脳症(狂牛病)の安全宣言は出たが、牛肉の販売額が前月比40〜50%減少するなど、消費者の信頼を得るには不十分であり、信頼回復へ向け更なる行政の対応を要望している。

繊維・同製品の織物等川上業種では、前月比、前年同月比ともに横這い、減少傾向になっている。アパレル関係では、前月比増加の紳士服を除き横這い、または減少傾向と低調に推移している。

木材・木製品は、前月比売上は、製材、銘木、木工家具で増加、その他は、横這い、減少傾向で推移した。前年同月比では銘木の増加を除き、横這い、または減少傾向である。比較的堅調であったプレカットの加工量に減少傾向が見られるなど、先行きの不透明感が強まる。


紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、前月比売上が増加した家庭紙を除き横這い、または減少傾向であり、依然、需要低迷が続いている。

窯業・土石の陶磁器等では、横這い、または減少傾向となり、建設資材の土石においては増加傾向となっている。陶磁器業界の繁忙期にも係わらず、景況感の改善がみられない厳しい状態となっている。

機械・金属は、前月比売上は、全般に減少または横這い傾向となった。その中で、機械・工具販売は、前月比で売上と受注が増加し、航空機関連においても、前年同月比売上、受注が増加するなど安定した状態である。航空機関連は、米国の同時多発テロの影響で、下半期以降の落ち込みが懸念されている。


各種物産品は、前月比売上は、観光物産、ギフトともに増加となったが、前年同月比では、観光物産が増加、ギフトが減少となっている。


卸売業では、陶磁器卸は需要低迷に加え、輸出の減少、海外製品の輸入拡大等により、前月比、前年同月比ともに売上等が減少。飛騨地区総合卸は前月比、前年同月比とも横這いとなっている。


小売業は、前月比売上は、家電で悪化、その他は横這いで推移した。また、消費需要は低迷が続いている。


商店街は、恵那商店街の増加、高山商店街の横這いを除き、前月比売上は減少傾向となっている。また、前年同月比では全ての商店街が減少となるなど商店街の不況感は依然強い。

サービス業では、前月比売上は、自動車車体整備、クリーニング、広告美術で増加となり、その他は、横這いまたは減少となった。前年同月比売上では、自動車車体整備の増加を除き減少傾向となり、依然業況は悪化傾向にある。

建設業は、公共工事発注のピークを迎え、受注も前月比増加傾向にあるが、前年同月比では2割程減少と依然厳しい状況である。また、発注量の減少に伴う企業間競争は一段と厳しくなっている。業界からは工事施工の平準化と発注増の要望が出ている。

運輸業は、動向がわかれ、岐阜地区は前月横這い、県域は減少となっている。
  主な調査項目での動向
売上動向は、増加24ポイント、減少27ポイントでDI値はマイナス3ポイントとなり、前月のマイナス12ポイントに対し、9ポイントの改善となっている。この要因には、食料品等の秋需要と各種物産品の前月比売上増加があげられる。
 例年10月は、前月に続き季節要因を強く受け増加となる時期である。当月も食料品等で売上が増加した。しかし、残暑のため、衣料品の秋冬物が不振に終り、また織物等川上業種の春物受注も低調であり、売上の回復には至っていない。売上増加業種が多いのは食料品、木材・木製品、各種物産品である。一方、減少業種が特に多いのは商店街である。

受注動向は、増加26ポイント、減少31ポイントで、DI値はマイナス5ポイントとなり、前月のマイナス14ポイントに対し、9ポイントの改善となっている。全体的に売上動向と同様の傾向であるが、売上は伸びていないが、窯業・土石の受注動向が改善している。
 受注増加業種が特に多いのは、食料品、窯業・土石、各種物産品である。一方、減少業種が特に多いのは紙・紙加工品、機械・金属、商店街である。

販売価格の動向は、上昇3ポイント、下降31ポイントでDI値はマイナス28ポイントとなり、前月のマイナス20ポイントに対し、8ポイントの悪化となっている。7ヶ月連続のマイナス20ポイント台であり、厳しい下降動向となっている。
 販売価格の上昇業種は、銘木、恵那商店街。下降業種が特に多いのは、機械・金属である。

収益状況の動向は、上昇1ポイント、下降37ポイントでDI値はマイナス36ポイントとなり、前月のマイナス31ポイントに対し、5ポイントの悪化となっている。
 依然、マイナス30ポイント台で推移しており、収益確保の難しい状況となっている。
 収益好転業種は、米菓。悪化業種が特に多いのは、商店街で5商店街の内4商店街が悪化となっている。次いで、繊維・同製品、サービス業があげられる。

資金繰りの動向は、上昇6ポイント、下降37ポイントでDI値はマイナス31ポイントとなり、前月のマイナス38ポイントに対し、7ポイントの改善となっている。
 依然マイナス30ポイント台で推移しており、収益確保の難しい状況となっている。
 収益好転業種は、米穀、銘木、砕石、観光物産、広告美術。悪化業種が特に多いのは、紙・紙加工品、機械・金属、商店街である。
   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヶ月の景気動向予想を景況感DI値で見ると、好転予想4ポイント、悪化予想70ポイントで、DI値はマイナス66ポイントとなり、当月実績のマイナス46ポイントに対し、20ポイントの大きな、悪化予想となっている。当月実績との比較では、単に「悪化」が20ポイント増加であり、悪化業種の大幅な拡大となっており、向こう3ヶ月は、景況が一段と悪化する予想となっている。

 例年10月の向こう3ヶ月は、季節要因として消費需要の減少により景況感が下降する傾向にあるが、今回は季節要因以上の下降予想となっている。

 米国の同時多発テロ、狂牛病問題の影響が懸念され、公共工事も先行き不透明のマイナス要因が強く、一方、明るい材料を見い出せない状況にある。

 好転予想業種は、米菓、銘木、自動車タイヤ整備である。悪化予想業種が多いのは、繊維・同製品、木材・木製品、窯業・土石、機械・金属、卸売、商店街、サービス業、建設業である。


売上動向予想は、増加予想10ポイント、減少予想44ポイントでDI値はマイナス34ポイントとなり、当月実績のマイナス3ポイントに対し、31ポイントと大幅な悪化予想となっている。
 業種別に見た場合、当月実績に比べ改善予想となっているのは、味噌・醤油、米菓、銘木、集成材、飛騨地区総合卸売、恵那商店街、自動車タイヤ整備、広告美術である。悪化予想業種が特に大きいのは、繊維・同製品、機械・金属、商店街、サービス業である。

収益動向予想は、好転予想8ポイント、悪化予想49ポイントで、DI値はマイナス41ポイントとなり、当月実績のマイナス31ポイントに対し、10ポイントの大幅な悪化予想となっている。業種別に当月実績と比較すると、殆どの業種区分で変化は少ないが、繊維・同製品が他の業種に較べ悪化予想が大きくなっている。
 好転予想業種は、米菓、銘木、木工家具、総合卸売、自動車タイヤ整備、広告美術である。悪化予想業種が特に多いのは、繊維・同製品、機械・金属、商店街、サービス業、建設業である。
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