調査レポート
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景気動向調査
 平成13年11月  (平成13年11月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕11月の特色
◆ 景況悪化続く
◆ 先行き不安増加
  〔 2 〕11月の概況
  当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転2ポイント、悪化50ポイントでDI値はマイナス48ポイントとなり、前月のマイナス46ポイントに対し、2ポイントの悪化となっている。

 例年11月は、衣料、観光需要等の季節要因が大きい10月に対し、季節需要が減少する業種が多く、売上減少など業況が後退する傾向がある。

 今回は、10月が高い気温のため季節要因が弱く、また、当月に入って、気温が平年並に近付いたことにより、一部の業種で季節需要の戻りが見られたが、全般としては低調であり景況感DI値は前月比若干の悪化となっている。

 また、販売価格、収益状況等、他の指標についても前月並みの悪化、あるいは前月に較べ悪化が大きくなっており、業況悪化が拡大している。

 依然、需要低迷による競争激化、価格低下、また、輸入品との競争激化が続き、加えて、流通業界の経営破綻等の影響、取引先への信用不安等により企業マインドが一段と低下しており、企業の経営環境が益々悪化している。

 業界からは、経済政策として、輸入品対策、金融対策、雇用対策等、多様な要望が出ているが、その中で公共工事発注の増加等の景気回復策への期待の声が大きい。

 景況感が前月比好転したのは、米菓、銘木であるが、米菓は季節要因、銘木はイベント開催による売上増によるものである。

 景況感悪化業種が全般(運輸を除く)に出ているが、特に多いのは、機械・金属、各種物産品、小売業、サービス業である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、前月に続き業種により動向が分かれた。米菓、酒造で前月比売上増加、味噌・醤油、豆腐、菓子で横這い、食肉、米穀で減少となっている。しかし、前年同月比では、全般に減少または、横這いとなっている。低価格、低収益の厳しい状況が続いており景況感は改善していない。

繊維・同製品は、織物等川上業種では、前月比売上増加となった染色を除き、全般に前月比、前年同月比ともに横這い、または減少傾向となっている。アパレル関係では、春物受注の本格化等により、靴下、婦人・子供服で前月比売上は増加したが、前年同月比では横這い、または減少傾向と低調に推移している。特に、温暖気候の影響で冬物の出荷が遅く、秋物も不振、また、低価格、低収益が強まり、業況が厳しくなっている。

木材・木製品は、前月比売上は、銘木、家具で増加、その他は、横這いで推移した。前年同月比では、全般的に減少傾向となった。比較的堅調であったプレカットも見積物件が減少に転じている。また、業界全般で企業間の競争も激化するなど、先行き不透明感が強まっている。


紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、全般に前月比売上が横這い、または減少傾向となっている。その中で、プラスチックは、前月比売上は増加となったが、前年同月比売上では、主要取引先のスーパー、ホームセンターの販売不振等による生活用品の落ち込み、また、企業の設備投資縮小による産業資材の需要低下等依然、需要低迷が続いている。
窯業・土石の陶磁器等では、前月比売上は、全般に横這い、または減少傾向となっている。その中で、陶磁器(工業)は若干の増加となった。しかし、前年同月比売上は減少。建設資材の土石では、前月比売上は全般に増加傾向となっている。その中で、採石は減少となった。しかし、前年同月比では、生コンコンクリートの増加を除き、全般に横這いまたは減少で推移している。

機械・金属は、前月比売上は、全般に横這い、または減少となっている。また、前年同月比では、売上、受注とも減少となり非常に厳しい状況である。その中で、順調に推移している航空機関連も米国の同時多発テロの影響による今後の落ち込みを懸念している。

各種物産品は、動向が大きく分かれ、観光物産は、前月比売上減少。ギフトは反対に増加した。前年同月比売上は、どちらも減少傾向となっている。


卸売業では、陶磁器卸は、取引先倒産の影響等のため、前月比、前年同月比ともに売上等が減少。飛騨地区総合卸は前月比、前年同月比とも横這いとなっている。


小売業は、前月比売上動向が、青果、家電機器販売、メガネ販売で減少、その他は横這いと分かれている。家電機器販売では、夏季のエアコン需要の反動と情報家電の不振が要因である。


商店街は、前月比売上は、横這い、または減少傾向。前年同月比では、前月に続き、全ての商店街で減少となり、依然商店街の不況感は強い。

サービス業は、前年同月比売上は、横這い、または減少となっている。その中で、下呂温泉旅館、広告美術は増加傾向となった。下呂温泉旅館では、平成2年から続いていた減少傾向に若干の歯止めがかかりつつある。

建設業は、公共工事の繁忙期であるが、売上増加業種が少なく、また、依然民需も低調であり、業況は低迷状態が続いている。業界からは、公共工事の早期発注の要望が強い。

運輸業は、動向が分かれ、岐阜地区は横這い、県域は減少となっている。
  主な調査項目での動向
売上動向は、増加23ポイント、減少37ポイントでDI値はマイナス14ポイントとなり、前月のマイナス3ポイントに対し、11ポイントの大幅な悪化となっている。
 業種別に見ると、全般に変化が小さく、商店街、サービス業等の「横這い」が「減少」に悪化したことが大きな要因となっている。
 減少業種が特に多いのは商店街、サービス業である。

受注動向は、増加17ポイント、減少37ポイントで、DI値はマイナス20ポイントとなり、前月のマイナス5ポイントに対し、15ポイントの大幅な悪化となっている。
 全体的に売上動向と同様の傾向であるが、繊維・同製品に受注動向の悪化傾向が強い。

販売価格の動向は、上昇1ポイント、下降29ポイントでDI値はマイナス28ポイントとなり、前月と同数値で極めて強い下降の動きとなっている。8ヶ月連続のマイナス20ポイント台であり、依然厳しい下降動向となっている。
 販売価格の上昇業種は、銘木だけである。下降業種が特に多いのは、機械・金属で10回答のうち7回答が下降になっている。次いでサービス業、小売業となっている。

収益状況の動向は、上昇1ポイント、下降37ポイントでDI値はマイナス36ポイントとなり、前月のマイナス31ポイントに対し、5ポイントの悪化となっている。
 依然、マイナス30ポイント台で推移しており、収益確保の難しい状況となっている。
 収益好転業種は、米菓。悪化業種が特に多いのは、商店街で5商店街の内4商店街が悪化となっている。次いで、繊維・同製品、サービス業があげられる。

資金繰りの動向は、この4ヶ月、マイナス30ポイント以上の弱い悪化傾向が続き、当月もマイナス36ポイントとなっている。特に、繊維・同製品、機械・金属、商店街、サービス業では、今回分の5割前後が前月比売上となり、企業経営の厳しい状況が窺見える。
   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヵ月の景気動向予想を景況感DI値で見ると、好転予想2ポイント、悪化予想68ポイントで、DI値はマイナス66ポイントとなり、当月実績のマイナス48ポイントに対し、18ポイントの極めて大幅な悪化予想となっている。

 例年向こう3ヶ月(12月、1月、2月)の需要は冬枯れによる低調、また、年末年始の休日により営業日数が減少する業種が多く、売上減少、景気後退の傾向にある。

 今回は、このマイナスの季節要因が強く働くことが予想され、また、当月実績との比較でも、「悪化」が18ポイント増加となり、悪化業種の大幅な拡大となっており、特に、繊維・同製品では、全業種が悪化予想となるなど、向こう3ヶ月は景況の悪化状態が続く予想となっている。

 好転予想業種は、米菓、飲食であり、季節要因による。悪化予想業種が特に多いのは、繊維・同製品、木材・木製品、窯業・土石、機械・金属、各種物産品、商店街、サービス業、建設業である。


売上動向予想は、増加予想6ポイント、減少予想48ポイントでDI値はマイナス42ポイントとなり、当月実績のマイナス14ポイントに対し、28ポイントの大幅な悪化予想となっている。
 業種別に見た場合、当月に対して増加予想となっているのは、菓子、米菓、飛騨地区総合卸売、恵那商店街、飲食である。悪化予想業種が特に大きいのは機械・金属、各種物産品、商店街、サービス業である。

収益動向予想は、好転予想4ポイント、悪化予想54ポイントで、DI値はマイナス50ポイントとなり、当月実績のマイナス36ポイントに対し、14ポイントの大幅な悪化予想となっている。業種別に当月実績と比較すると、殆どの業種区分で変化は小さいが、繊維・同製品、建設が他の業種に較べ悪化予想が大きくなっている。
 好転予想業種は、米菓、飛騨地区総合卸売、飲食である。悪化予想業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、機械・金属、各種物産品、商店街、サービス業、建設業、運輸業である。
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