調査レポート
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景気動向調査
 平成14年1月  (平成14年1月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕1月の特色
◆ 引続き景況感悪化
◆ 収益悪化拡大
◆ 資金繰り悪化傾向
  〔 2 〕1月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転1ポイント、悪化59ポイントでDI値はマイナス58ポイントとなり、前月のマイナス39ポイントに対し、19ポイントの大幅な悪化となっている。

 例年1月は、年末需要の反動、年始休暇による実働日数減少等のマイナス要因により売上、需要等が減少し、景況感も大きく悪化する傾向にある。

 景況感の減少幅は、例年並みであるが、既に大きく下がった状態からの減少であり、昨年8月のマイナス53ポイント以来のマイナス50ポイント台となるなど、非常に厳しい状態と言える。

 収益状況、資金繰りも悪化傾向が強まっており、また、景気動向の先行き見通しが不透明な状況が続き、企業経営は益々厳しい状況が続いている。

 また、景況感悪化は、低調横這いの木材・木製品、紙・紙加工品を除き、全般の業種に見られ、先行き見通しが全く立たない状況になっている。

 景況感が前月比好転したのは、自動車タイヤ整備販売であるが、これは季節要因によるものである。景況感悪化業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、機械・金属、商店街、サービス業、建設業である。
  主な業種区分の業況概況

食料品は、年末の需要増の反動、年始の降雪の影響等で前月比売上は豆腐、菓子の横這いを除き、全て減少、前年同月比売上は、全て減少となっている。また、景況感の悪化傾向も強く、依然業況悪化が続いている。


繊維・同製品は、織物等川上業種では、前月比売上は全般に横這い、又は減少となっている。一方、アパレル関連では、全て減少となっている。前年同月比売上は織物等川上業種、アパレル関連共に減少傾向となった。業界は需要低迷に加え、特に海外製品との競合、販売価格下降による収益悪化が大きな問題となっている。

木材・木製品は、前月比売上は、銘木、集成材で横這い、その他は減少。前年同月比では、横這いの銘木を除いて全て減少となっている。持家建築需要の低迷による需要不振、低価格化等により業界の先行き不安は強い。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、前月比売上は、特殊紙、紙加工品で横這い、その他は減少となった。前年同月比売上は、全般に横這い傾向となった。

窯業・土石の陶磁器等では、売上は、前月比、前年同月比共に低調横這い、または減少傾向となった。依然、需要低迷、低価格、海外製品との競合で厳しい状況が続いている。中国からの製品輸入の影響が長期化する中、業界からは、中国メーカによる国産品模倣問題を解決するための施策等への要望が出ている。建設資材の土石では、前月比売上は全て減少。前年同月比売上は動向が分かれ、生コンクリートで増加、砂利で若干減少、砕石で大幅減少となった。稼働日減少の季節要因はあるが、以前は、工事繁忙期による売上の増加が見られたが、近年は、建設不況によりその盛り上がりを欠き、厳しい業況が続いている。

機械・金属は、前月比売上、前年同月比売上は、共に全般に減少傾向である。また、販売価格、収益状況、資金繰りの悪化が強く、企業経営の厳しさが増している。その中で、航空機関連は、防衛庁の機種変更に係る関連需要で、順調に推移している。しかし、受注単価等の条件は厳しく、景況感の改善に結び付いていない。

各種物産品は、売上は、前月比、前年同月比共に観光物産、ギフトどちらも減少傾向となっている。


卸売業では、陶磁器卸は、前月比、前年同月比共に売上等が減少。飛騨地区総合卸では前月比売上は横這い、前年同月比は減少となっている。


小売業は、売上は前月比、前年同月比共に、全般に減少または、横這いで推移している。消費低迷に加え、年始の降雪等があり、一段と低調に推移した。


商店街は、前月比売上は、横這いの大垣市を除き全ての商店街が減少。前年同月比では、全ての商店街で3ヶ月連続の減少。中心市街地の廃業も多く発生するなど、依然商店街の不況感は強い。


サービス業は、前月比売上は、動向が分かれ自動車車体整備で増加、その他は減少となった。前年同月比では、自動車車体整備、自動車タイヤ整備販売、長良川温泉旅館で増加、その他は減少となった。売上増加は季節要因によるものであり、景況は依然厳しい状況である。そんな中、下呂温泉旅館で宿泊数に若干の改善がみられた。

建設業は、羽島地区土木・建築、建築板金で前月比売上が増加となった他は、前月比、前年同月比共に横這いまたは、減少で推移した。官民共に発注減少が続き、また発注条件も厳しくなっており、業況は依然厳しい。

運輸業は、前月比売上は、岐阜地区で横這い、県域は減少。前年同月比売上は、共に横這いとなっている。

  主な調査項目での動向
売上動向は、増加4ポイント、減少69ポイントでDI値はマイナス65ポイントとなり、前月の0ポイントに対し、65ポイントの大幅な悪化となっている。
 悪化要因は、年末需要の反動、年始休暇による実働日数減少、需要の冬枯れの季節要因によるもので、例年と同じである。特に今回は、年始の大雪など降雪日が多かったこと、また公共工事発注の減少等があり前年同月比でも大きく減少している。全ての業種区分で売上減少業種が大半を占める厳しい状況。
 売上増加業種は、自動車車体整備、羽島地区土木・建築、建築板金である。
 減少業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、木材・木製品、窯業・土石、機械・金属、各種物産品、小売業、商店街、サービス業である。

受注動向
は、増加4ポイント、減少60ポイントで、DI値はマイナス56ポイントとなり、前月のマイナス9ポイントに対し、47ポイントの大幅な悪化となっている。
 全体的に売上動向と同様の傾向になっている。
 受注増加業種は、染色、自動車車体整備、羽島地区土木・建築。一方、減少業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、窯業・土石、機械・金属、各種物産品、商店街、サービス業である。

販売価格の動向は、上昇0ポイント、下降24ポイントでDI値はマイナス24ポイントとなり、前月と同数値で、10ヶ月連続のマイナス20ポイント台であり、依然厳しい下降動向となっている。
 下降業種が特に多いのは、機械・金属、商店街である。

収益状況の動向は、上昇1ポイント、下降53ポイントでDI値はマイナス52ポイントとなり、前月のマイナス24ポイントに対し、28ポイントの大幅な悪化となっている。過半の業種が悪化であり、極めて深刻な状況にある。
 収益好転業種は、冬用タイヤ需要が集中した自動車タイヤ整備販売だけである。悪化業種が特に多いのは、食料品、窯業・土石、機械・金属、各種物産品、サービス業である。

資金繰りの動向は、前月にマイナス24ポイントに改善。当月は、大きく悪化し、マイナス35ポイントとなっている。5ヶ月マイナス30ポイント以上の後、大きな悪化水準が続き、企業経営の厳しい状況が窺える。
   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヵ月の景気動向予想を景況感DI値で見ると、好転予想0ポイント、悪化予想59ポイントで、DI値はマイナス59ポイントとなり、当月実績のマイナス58ポイントに対し、1ポイントの悪化の予想となっている。

 業種別に当月実績と比較すると、改善予想も無く、概ね同様の傾向で低調な予想となっている。

 例年向こう3ヶ月(2月、3月、4月)のうち3月は最も大きな需要が見込まれるが、予想は当月と同様な低いレベルとなっており、先行きの不透明感と景況の後退予想は極めて深刻である。

 悪化予想業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、機械・金属、サービス業、建設業である。


売上動向予想は、増加予想8ポイント、減少予想38ポイントでDI値はマイナス30ポイントとなり、当月実績のマイナス65ポイントに対し、35ポイントの大幅な改善予想となっている。
 当月実績と比較すると減少傾向から横這い予想になったものが多いことが要因である。その中で、窯業・土石、小売、サービス業が、他の業種に較べ改善予想が大きくなっている。
 減少予想業種が特に多いのは、食料品、機械・金属、商店街、サービス業である。

収益動向予想は、好転予想2ポイント、悪化予想49ポイントで、DI値はマイナス47ポイントとなり、当月実績のマイナス52ポイントに対し、5ポイントの改善予想となっている。
 好転予想業種は、飛騨地区家具である。
 悪化予想業種が特に大きいのは、食料品、機械・金属、各種物産品、サービス業、建設業である。
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