調査レポート
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景気動向調査
 平成14年2月  (平成14年2月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕2月の特色
◆ 景況感停滞
◆ 先行き不安感が依然強い
◆ 低価格・需要低迷続く
  〔 2 〕2月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転0ポイント、悪化54ポイントでDI値はマイナス54ポイントとなり、前月のマイナス58ポイントに対し、4ポイントの改善となっている。

 例年2月は、プラス要因として、年度末の生産調整、公共工事施工の繁忙、マイナス要因として、消費需要の低迷があげられる。総合すると、前月(1月)の実働日数減少等のマイナスの季節要因に対する反動もあり、前月比売上が増加し、景況感も改善する傾向にある。

 これに対し当月は、プラス要因の影響は弱く、DI値では4ポイントの改善になったものの、依然マイナス54ポイントと大きな悪化傾向である。

 また、売上、受注、収益動向は、悪化傾向の大きかった前月からの反動で、前月に較べ大きく改善しているが、依然DI値はマイナスであり、好転の動きは見られない。

 これらの動きを総合すると、水面下で季節要因による若干の改善の動きがあったことになる。

 しかし、前年同月比の動向は、全般的にマイナスの指標が多く、実質的な景況動向は厳しさを増している。

 依然、需要の低迷、低価格化、海外商品との競合が大きく、またこれに加え、取引先の倒産等の影響が、実害、マインド両面で大きくなっている。

 このようにな厳しい局面の中で、紙加工、鋳物、金型から底打ち的な気配などの報告、また、輸送用機器の順調な業況の報告だけが、明るい話題である。

 景況感悪化業種が特に多いのは、繊維・同製品、機械・金属、商店街、サービス業、建設業である。
  主な業種区分の業況概況

食料品は、前月比売上は、動向が分かれ味噌・醤油、米菓、酒造、米穀で増加、豆腐、食肉、菓子は減少となった。前月比売上は、前月が季節要因による大幅な売上減少となったものに対する比較である。前年同月比では、米穀の増加、酒造の低調横這いを除き全て減少となり、依然需要は低迷、一部下降である。また、収益状況、景況感も依然悪化している。

繊維・同製品は、織物等川上業種では、前月比売上は全般に低調横這い、又は減少となっている。一方、アパレル関連では、メンズアパレルを除き全て減少となっている。前年同月比売上は、織物等川上業種、アパレル関連共に減少傾向となった。前年同月比の景況感は全て悪化するなど、業界は需要低迷に加え、特に海外製品との競合、販売価格下降による収益悪化が続いている。

木材・木製品は、前月比売上は、動向が分かれ製材、集成材、飛騨地区家具で増加、美濃地区家具、東濃ひのきで低調横這い、銘木で減少となった。前年同月比売上は、集成材の低調横這いを除いて全て減少。季節要因で売上、受注が増加した業種もあるが、前年同月比では減少傾向となっている。住宅建築数の低迷による需要不振など厳しい経営環境が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、前月比売上は、動向が分かれ家庭紙、特殊紙、印刷では増加、紙加工品は低調横這い、プラスチックは減少となった。前年同月比売上は、全般に低調横這い、又は減少傾向となった。

窯業・土石の陶磁器等では、全般的に売上は、前月比、前年同月比共に低調横這い、又は減少傾向となった。依然、需要低迷、低価格、海外製品との競合で厳しい状況が続いている。建設資材の土石では、前月のマイナスの季節要因に対する反動のため、前月比売上は全て増加となった。しかし、前年同月比売上は低調横這い、又は減少であり、業況は依然厳しい状況が続いている。

機械・金属は、前月比売上は、全般に低調横這い、又は減少傾向である。前年同月比では、全般に売上、受注とも減少となり非常に厳しい状況である。その中で、航空機関連は順調に推移している。

各種物産品は、前月比売上は、ギフトで増加、観光物産で低調横這い。前年同月比売上は、どちらも減少となっている。


卸売業では、陶磁器卸は、前月比、前年同月比共に売上等が悪化、底が見えない需要不振、業況悪化となっている。飛騨地区総合卸では前月比売上は減少、前年同月比は低調横這いとなっている。


小売業は、前月比売上は、メガネ販売、生花販売で増加、その他は低調横這いで推移。前年同月比売上は、低調横這い、又は減少で推移している。消費需要の不振が続いている。


商店街は、前月比売上は、岐阜市の低調横這いを除き全て減少。前年同月比では、全ての商店街で4ヶ月連続の減少。商店街の売上減少が続いており、不況感は根強い。また、中心商店街の閉店の増加等による衰退も、業況悪化を強めている。

サービス業は、前月比売上は、動向が分かれ自動車車体整備で増加、その他は低調横這い、又は減少となった。前年同月比では、全般に低調横這い、又は減少となった。他に較べ収益悪化傾向が最も強いなど、業況悪化傾向が、他産業に較べ強い。

建設業は、岐阜地区土木、羽島地区土木・建築、電気工事で前月比売上が増加となった。他は、前月比、前年同月比共に低調横這い又は、減少で推移した。前月比増加となった業種においても、増加は季節要因によるものであり、前年同月比は減少している。地域差はあるが、公共工事の繁忙期にも係わらず売上、受注共に低迷が続いている。

運輸業は、前月比売上は、県域では増加、岐阜地区で低調横這い。前年同月比売上は、共に低調横這いとなっている。低調横這いの業況が続いている。

  主な調査項目での動向
売上動向は、増加29ポイント、減少34ポイントでDI値はマイナス5ポイントとなり、前月のマイナス65ポイントに対し、60ポイントの大幅な改善となっている。
 しかし、前月は季節要因による大幅な売上減少となったため、その比較としての増加である。
 例年2月は、通常月に較べ、消費需要の低迷、営業日数の減少等のマイナス要因、年度末の生産調整、公共工事施工の繁忙等のプラス要因がある。今回は、公共工事の発注減少等によりプラス要因が弱く、一方マイナス要因は例年通り現れ、前年同月比は減少となっている。
 売上増加業種が特に多いのは、食料品、木材・木製品、紙・紙加工品である。
 減少業種が特に多いのは、繊維・同製品、卸売、サービス業である。

受注動向
は、増加23ポイント、減少37ポイントで、DI値はマイナス14ポイントとなり、前月のマイナス56ポイントに対し、42ポイントの大幅な改善となっている。
 売上動向と同じく、季節要因が大きく、前月の季節要因による大幅な受注減少に対しての反動であるが、依然DI値は、マイナス14と厳しい状況にある。
 受注増加業種は、食料品、紙・紙加工品。
 減少業種が特に多いのは、繊維・同製品、卸売、サービス業、建設業である。

販売価格の動向は、上昇0ポイント、下降22ポイントでDI値はマイナス22ポイントとなり、前月のマイナス24ポイントに対し、2ポイントの改善となっている。
 11ヶ月連続のマイナス20ポイント台であり、依然厳しい下降動向となっている。
 下降業種が特に多いのは、卸売である。

収益状況の動向は、上昇7ポイント、下降39ポイントでDI値はマイナス32ポイントとなり、前月のマイナス52ポイントに対し、20ポイントの大幅な改善となっている。しかし、好転のあった業種は、季節要因が大きく、売上、受注動向と同様に、前月の季節要因による大幅な悪化に対しての反動が出たものであり、実質的には改善がなかったものと推測される。
 収益好転業種は、米菓、米穀、生コンクリート、砕石、機械・工具販売、メガネ販売である。
 悪化業種が特に多いのは、食料品、窯業・土石、機械・金属、各種物産品、サービス業である。

資金繰りの動向は、前月のマイナス35ポイントから9ポイント改善し、当月は、マイナス26ポイントとなっている。5ヶ月マイナス20ポイント以上の後、前月マイナス35ポイント大きな悪化となり、また、当月マイナス26ポイントと長期に亘り大きな悪化傾向が続いており、企業経営の厳しい状況が窺える。
   〔 3 〕向こう3カ月の動向
 向こう3ヵ月の景気動向予想を景況感DI値で見ると、好転予想0ポイント、悪化予想54ポイントで、DI値はマイナス54ポイントとなり、当月実績と同数値で低調横這いの予想となっている。業種別に当月実績と比較すると、改善予想も無く、概ね同様の傾向で低調な予想となっている。

 例年向こう3ヶ月(3月、4月、5月)のうち、3月は引越しや入社(入学)といった季節要因、観光需要増加等のプラス季節要因。4、5月の公共工事端境期によるマイナス要因がある。例年、これらを総合し改善予想となる傾向にあるが、今回はプラス季節要因も弱く、予想は当月と同様な低いレベルとなっており、先行きの不透明感と景況の後退予想は極めて深刻である。

 悪化予想業種が特に多いのは、繊維・同製品、機械・金属、各種物産品、建設業である。


売上動向予想は、増加予想11ポイント、減少予想33ポイントでDI値はマイナス22ポイントとなり、当月実績のマイナス5ポイントに対し、17ポイントの大きな悪化予想となっている。
 例年の傾向では、若干の改善が期待できるところだが、今回の予想は大きな悪化であり、需要の低迷、低価格競争等により企業マインドの低さを感じさせる。
 増加予想業種は、美濃地区家具、飛騨地区家具、印刷、プラスチック、メガネ販売、恵那市商店街、広告美術、各務原市建築である。
 減少予想業種が特に多いのは、木材・木製品である。

収益動向予想は、好転予想4ポイント、悪化予想45ポイントで、DI値はマイナス41ポイントとなり、当月実績のマイナス32ポイントに対し、9ポイントの悪化予想となっている。
 売上増加の期待が弱いことと同じく、収益改善の期待も弱く、厳しい企業経営が続くものと予想される。
 好転予想業種は、飛騨地区家具、メガネ販売、恵那市商店街である。
 悪化予想業種が特に多いのは、木材・木製品、機械・金属、各種物産品、建設業である。
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