調査レポート
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景気動向調査
 平成14年5月  (平成14年5月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕5月の特色
◆ 景気底入れ模様・強い先行き不安
◆ 低価格・需要低迷が続く
  〔 2 〕5月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転4ポイント、悪化56ポイントでDI値はマイナス52ポイントとなり、前月のマイナス53ポイントに対し、1ポイントの改善となっている。

 DI値は、この1月を最低として、その後4ヶ月改善を続け、また、前月は12ポイントの大幅な改善があったが、当月は、概ね横這いの緩やかな改善となり、上げ止まり数値となっている。

 しかし、マイナス52ポイントは依然大きな悪化傾向であり、企業経営は一段と厳しさを増しているものと推測される。

 ワールドカップ開催による特需は家電機器販売に限られ、景況への影響は殆ど見られなかった。また、夏物の動きも低調に推移した。全般的には個人消費の低迷、公共工事の減少、厳しい業者間の価格競争等により、売上減少、販売価格下降、収益状況の悪化が依然大きく、厳しい業況が続いている。

 全国的には景況は底を打ったと言われているが、県内の中小企業の実態は、底打ち感は見られず、また、先行きに対する不安感も依然として強い。

 前年同月比業況悪化業種が特に多いのは、繊維・同製品、窯業・土石、機械・金属、建設業である。

 前年同月比好転業種は、食肉、家電機器販売、生花販売である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、食肉の消費がBSE発生以前の状態に回復し、前年同月比売上増加となったが、他は、全般に低調横這い、又は減少傾向となった。取引先小売店の特売の増加により、低価格販売競争が激しく、業況は依然として厳しい。

繊維・同製品は、織物等川上業種では、前年同月比売上は全般に低調横這い、又は減少傾向となっている。アパレル関連は、全般に減少傾向となった。アパレル関連の一部には、受注量の減少が続き短期休業を余儀なくされる企業が増加するなど、非常に厳しい状況になっている。

木材・木製品は、前年同月比売上は、全般に減少傾向となった。住宅建築の低迷が続き、受注競争が激化している。また、銘木、美濃地区家具、飛騨地区家具、東濃ひのきでは、主要指標の全てが悪化となり、苦しい業況悪化の動きとなり、また、業界の先行き不安が強い。


紙・紙加工品、印刷、プラスチックででは、前年同月比売上は、プラスチックの増加を除き、全般に低調横這い、又は減少傾向となった。需要低下に加え、販売価格低下も続き厳しい状況。


窯業・土石の陶磁器等、建設資材ともに前年同月比売上は、全般に低調横這い、又は減少傾向となった。陶磁器等では消費需要低迷、輸入品との競合により、一部の業種に生産調整の為に連休の長期化が出るなど、依然厳しい状況。建設資材では建設需要(民需、官需)の減少の影響を受け、需要減少が続いている。


機械・金属は、全般的に前年同月比売上は、低調横這い、又は減少傾向である。その中で、刃物等金属製品(内需)は、増加傾向となっている。順調に推移していた航空機関連も米国の同時多発テロの影響で、民需に減少が出てきた。全般に販売価格、収益状況、景況感の悪化傾向が強い。


各種物産品は、前年同月比売上は、観光物産、ギフトどちらも減少となり、需要の減少傾向が見られる。

卸売業は、飛騨地区総合卸売、岐阜地区総合卸売で前年同月比売上は低調横這い、陶磁器で減少となっている。


小売業は、前年同月比売上は、低調横這い、又は減少で推移している。その中で、ワールドカップ効果の出た家電機器販売、母の日ギフトが堅調であった生花販売は順調であった。全般には、消費低迷が続き、苦しい状況。


商店街は、前月比売上は、大垣市、恵那市、高山市で低調横這い、岐阜市、多治見市で減少。ゴールデンウィークによる影響は、商店街により異なるが、全般的に売上は低調に推移した。

サービス業は、前年同月比売上は、動向が分かれ自動車車体整備、長良川畔旅館で増加、自動車タイヤ整備、情報サービス業で減少、その他は低調横這いとなった。売上が増加しても、販売価格は上昇せず、収益の改善は弱く、景況は依然厳しい状況である。

建設業は、全般的に前年同月比売上は減少傾向である。また、年度初めの公共工事端境期、民需の低迷による低水準の受注状況であるため、公共工事の早期発注の強い要望が出ている。

運輸業は、前年同月比売上は、減少傾向で推移している。
  主な調査項目での動向
売上動向は、増加8ポイント、減少48ポイントでDI値はマイナス40ポイントとなり、前月のマイナス53ポイントに対し、13ポイントの大幅な改善となっている。
 業種別に見ると、全般に変化が小さく、小売業、サービス業の「減少」が「横這い」に改善したことが大きな要因となっている。
 しかし、DI値マイナス40ポイントの大きな減少傾向であり、依然低調な需要動向が続き、先行きも不透明となっている。
 売上増加業種は、食肉、プラスチック、刃物等金属製品(内需)、家電機器販売、生花販売、自動車車体整備、長良川畔旅館である。
 減少業種が特に多いのは、繊維・同製品、木材・木製品、窯業・土石、機械・金属、建設業、運輸業である。


販売価格の動向は、上昇0ポイント、下降45ポイントでDI値はマイナス45ポイントとなり、前月のマイナス51ポイントに対し、6ポイントの改善の動きとなっているが、依然、深刻な低価格販売、受注の競争の激しさが窺われ、一部には採算割れ受注が行われているとのことである。
 下降業種が特に多いのは、木材・木製品、機械・金属、建設業となっている。

収益状況の動向は、上昇3ポイント、下降58ポイントでDI値はマイナス55ポイントとなり、前月のマイナス60ポイントに対し、5ポイントの改善となっている。しかし、半数を超える回答が悪化であり、深刻な状況が続いている。
 好転業種は、食肉、長良川畔旅館である。
 悪化業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、木材・木製品、窯業・土石、機械・金属、建設業、運輸業である。

資金繰りの動向は、好転1ポイント、悪化41ポイントでDI値はマイナス40ポイントとなり、前月のマイナス39ポイントに対し、1ポイントの悪化、概ね横這いの大きな悪化傾向となっている。
 昨年8月から長期に亘りマイナス50ポイント以上の大きな悪化傾向が続いていたが、ここ3ヶ月はマイナス40ポイント台前半で推移し、緩やかな改善傾向となっている。
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