調査レポート
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景気動向調査
 平成14年7月  (平成14年7月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕7月の特色
◆ 景況再び悪化
◆ 依然需要不振、先行き不透明
◆ 夏季需要は低調
  〔 2 〕7月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感のDI値で見ると、好転1ポイント、悪化61ポイントでDI値はマイナス60ポイントとなり、前月のマイナス52ポイントに対し、8ポイントの悪化となっている。
 景況感DI値は、2月以降連続しての改善後、前月、概ね横這いと緩やかな改善傾向であったが、当月は、8ポイント減少となり、再び景況悪化の動きとなっている。

 業種別のDI値を見ると、窯業・土石、機械・金属、商店街等8業種で前月水準よりもマイナス幅が拡大したため、全体でも、マイナス幅の拡大となった。繊維・同製品、紙・紙加工品等5業種ではマイナス幅の縮小が見られたものの、DI値の水準は依然として低く、また、先行きの不透明感や消費意欲の低迷等厳しい状態であり、先行きは改善が期待出来る状況ではない。

 売上高、販売価格動向は、前月より5ポイント、7ポイントの下降となっている。また、収益動向は、機械・金属業種の一部また、中元需要による米菓で収益改善の動きはあるものの、全体的にはDI値マイナス55ポイントと依然大きなマイナス水準であり、同業者間での価格競争、原材料の値上り、販売価格の低迷等引続き厳しい業況が続いている。
 また、建設関連において、大日本土木鰍フ経営破綻の影響も出ており、長期にわたる実需不足の中、業界不安の声が大きくなっている。

 これらを総合すると、一部には、季節要因等により一時的に需要が増えた業種があるが、全体的には、引続き需要低迷、競争激化、販売価格下降、収益悪化が続き景況は厳しさを増している。

 前年同月比業況悪化業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、木材・木製品、窯業・土石、機械・金属、商店街、サービス業、建設業である。

 前年同月比業況好転業種は、若干の好転とした米菓である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、前年同月比売上は、米菓の増加を除き、全般に低調横這い、又は減少傾向となった。低価格、低収益の厳しい状況が続いており景況感は悪化している。

繊維・同製品は、前年同月比売上は、織物等川上業種、アパレル関連ともに低調横這い、又は減少傾向となっている。アパレル関連は、需要の低迷、海外製品との競合等による販売価格の低迷等で業況悪化が続いている。

木材・木製品は、前年同月比売上は、動向が分かれ製材、集成材で増加、飛騨地区家具で低調横這い、銘木、美濃地区家具、東濃ひのきで減少となった。3業種(銘木、美濃地区家具、東濃ひのき)は、主要指標の全てが悪化となるなど、厳しい業況悪化の動きとなっている。売上増加業種においても、一時的な動きの見方となっており、全般に低迷が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、前年同月比売上は、プラスチックの増加を除き、全般に低調横這い、又は減少傾向となった。売上が増加したプラスチックにおいても原材料の値上げが実施され、今後の収益悪化が懸念される。

窯業・土石の陶磁器等では、前年同月比売上は、全業種で減少となり、益々業況悪化となっている。タイルでは、生産調整を行う企業が、例年より目立ち、陶磁器工業では廃業者の増加など非常に厳しい状況となっている。建設資材の土石では、動向が分かれ砕石で増加、砂利で低調横這い、生コンクリートで減少となったが、依然建設不況の影響による需要低迷で、厳しい状況が続いている。

機械・金属は、全般的に前年同月比売上は、低調横這い、又は減少傾向である。その中で、刃物等金属製品(内需)、可児工業団地は増加。収益に改善の動きが出ているが、景況感の改善には至っていない。依然、海外企業との競合、需要低迷等、厳しい状況となっている。



各種物産品は、前年同月比売上は、観光物産で増加、ギフトで減少傾向となっている。

卸売業は、前年同月比売上は、飛騨地区総合卸売、陶磁器産地卸で低調横這い、岐阜地区総合卸売で減少傾向となっている。

小売業は、前年同月比売上は、低調横這い、又は減少傾向で推移している。メガネ販売では、需要月にも関わらず低迷状態が続いている。全般において、消費低迷が続き、苦しい業況となっている。

商店街は、前年同月比売上は、岐阜市、大垣市、多治見市で低調横這い、恵那市、高山市で減少。景況感も低調横這いの大垣市を除き、全ての商店街で悪化となるなど、商店街の不振は極めて深刻な状況である。

サービス業は、全般的に前年同月比売上は、低調横這い、又は減少傾向である。その中で、下呂温泉旅館では、近年の宿泊人員の下降傾向に、若干の歯止め気配が出ていることが、唯一好材料となっている。

建設業は、全般的に前年同月比売上は減少傾向である。低調な公共工事発注や民間需要の低迷のため、受注が少なく、売上は減少又は横這いで推移している。業界から、大日本土木鰍フ経営破綻による影響の指摘が多く出ている。

運輸業は、前年同月比売上は減少傾向で、業況が悪化している。
  主な調査項目での動向
売上動向は、増加10ポイント、減少55ポイントでDI値はマイナス45ポイントとなり、前月のマイナス40ポイントに対し、5ポイントのマイナスとなっている。
 需要低迷、海外製品等との競合、販売価格下降が根強く続き、売上動向の低迷が続いている。
 前月の動向と比較し、繊維・同製品、木材・木製品に改善傾向、窯業・土石に悪化傾向が出ている。
 売上増加業種は、米菓、製材、集成材、プラスチック、砕石、刃物等金属製品(内需)、可児工業団地、各種物産品(観光)である。
 減少業種が特に多いのは、食料品、木材・木製品、窯業・土石、機械・金属、小売業、サービス業、建設業である。

販売価格の動向は、上昇0ポイント、下降46ポイントでDI値はマイナス46ポイントとなり、前月のマイナス39ポイントに対し、7ポイントの悪化の動きとなっている。
 前月まで2ヶ月連続の改善の動きであったが、今回は、反対に悪化の動きとなった。
 下降業種が特に多いのは、木材・木製品、機械・金属、建設業となっている。


収益状況の動向は、上昇5ポイント、下降60ポイントでDI値はマイナス55ポイントとなり、3ヶ月連続のマイナス50ポイント台であり極めて強い悪化が続いている。
 好転業種は、米菓、プラスチック、可児工業団地、各種物産品(観光)である。
 悪化業種が特に多いのは、繊維・同製品、窯業・土石、建設業である。

資金繰りの動向は、好転0ポイント、悪化41ポイントでDI値はマイナス41ポイントとなり、前月と同数値の横這い傾向となっている。昨年8月から長期に亘りマイナス50ポイント以上の大きな悪化傾向が続いた後、直近5ヶ月はマイナス40ポイント台前半で推移し、改善傾向が停滞し、厳しい状況が続いている。
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