調査レポート
景況動向調査
各種調査
もどる
景気動向調査
 平成14年8月  (平成14年8月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕8月の特色
◆ 景況感停滞・先行き不透明感強まる
◆ 収益低迷状態続く
  〔 2 〕8月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転1ポイント、悪化57ポイントでDI値はマイナス56ポイントとなり、前月のマイナス60ポイントに対し、4ポイントの改善となっている。

 景況感DI値は、4月以降の概ね横這いの緩やかな改善傾向の後、6月以降一進一退で推移し、当月は改善の動きとなっている。

 改善の要因は、業種別の景況感DI値が、木材・木製品、窯業・土石、鉄鋼・金属、商店街、建設業で前月水準よりもマイナス幅が縮小し、これが全体のマイナス幅の縮小となったことによる。しかし、景況感DI値の水準は依然として低く、企業経営は厳しさを増しているものと推測される。

 販売価格動向は6ポイントの改善の動きとなっているが、収益動向のDI値は横這い傾向でマイナス56ポイントと依然大きなマイナスの水準である。また、低調な個人消費、公共工事の削減(単価引下げ)、取引先からの低価格要請、短納期等、取引の環境は変わらず依然厳しい。さらに、環境対策への対応、原材料の上昇、取引先関連の倒産等により企業マインドは一段と冷え、業界からは、景気の先行きに対する不安感、経営難の指摘が多く出ている。

 前年同月比業況悪化業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、窯業・土石、機械・金属、卸売、建設業である。

 前年同月比業況好転業種は、若干の好転とした米菓である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、前年同月比売上は、動向が分かれ食肉、米菓で増加、味噌・醤油、豆腐、菓子、製麺で低調横這い、酒造で減少となった。売上増加となった業種においても収益に改善傾向は無く、依然厳しい業況が続いている。

繊維・同製品は、織物等川上業種では、前年同月比売上は、ニット工業の低調横這いを除き減少傾向。アパレル関連は、例年より少し早く秋物へシフトしたメンズアパレルで増加、婦人・子供服、縫製で減少となった。需要の低迷、海外製品との競合、低価格指向など業況は一段と悪化している。

木材・木製品は、前年同月比売上は、動向が分かれ製材で増加、集成材で低調横這い、銘木、美濃地区家具、飛騨地区家具、東濃ひのきで減少となった。一部の業種に受注増加の傾向が見られたが、収益回復には至らず、依然厳しい業況が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、前年同月比売上は、動向が分かれ家庭紙、プラスチックで増加、特殊紙で低調横這い、紙加工品で減少となった。紙加工品、プラスチックにおいて原材料の値上げが実施され、今後の収益悪化が懸念されている。

窯業・土石の陶磁器等では、前年同月比売上は、全般に低調横這い、又は減少傾向となっている。建設資材の土石では、減少傾向となった。建設資材では、建設需要の減少による影響が強い。

機械・金属は、全般的に前年同月比売上は、低調横這い、又は減少傾向である。航空機関連は、米国の同時多発テロの影響等により、民需で前年同月比売上が大幅な減少となった。全般に販売価格、収益状況、景況感の悪化傾向が強い。


各種物産品は、前年同月比売上は、観光物産、ギフト共に減少となり、需要の減少傾向が強い。

卸売業は、前年同月比売上は、飛騨地区総合卸売、岐阜地区総合卸売、陶磁器産地卸全てで減少傾向となっている。

小売業は、前年同月比売上は、低調横這い、又は減少傾向で推移している。その中で、9月末での閉店の決った岐阜地区共同店舗だけが特別セールで増加となった。全般には、消費需要の低迷が続き、苦しい状況が続いている。

商店街は、前年同月比売上は、岐阜市、大垣市、多治見市、恵那市で低調横這い、高山市で減少となった。多くの商店街で低調横這いの回答であったが、低調な前年との比較での横這いであり商店街の不振は極めて深刻である。

サービス業は、全般的に前年同月比売上は、低調横這い、又は減少傾向である。その中で、宿泊人員が伸びた長良川畔旅館では、好調に推移した。

建設業は、全般的に前年同月比売上は、低調横這い、又は減少傾向である。公共工事の単価引下げ、発注量の減少、また、民需の低迷により、業況悪化が続いている。公共工事の早期発注、発注増の強い要望が出ている。

運輸業は、前年同月比売上は減少傾向で推移している。
  主な調査項目での動向
売上動向は、増加9ポイント、減少53ポイントでDI値はマイナス44ポイントとなり、前月のマイナス45ポイントに対し、1ポイントのプラスとなっている。
 全般に変化が小さい中、前月の動向と比較し、繊維・同製品、各種物産品に悪化傾向、サービス業に改善傾向が出ている。需要低迷の中で、取引先からの低価格要請等により販売価格は低水準で推移し、売上動向の低迷が続いている。
 売上増加となったのは、食肉、米菓、メンズアパレル、製材、家庭紙、プラスチック、共同店舗(岐阜)、長良川畔旅館である。
 減少業種が特に多いのは、繊維・同製品、木材・木製品、窯業・土石、機械・金属、各種物産品、卸売、小売業、サービス業、建設業、運輸業である。

販売価格の動向は、上昇1ポイント、下降41ポイントでDI値はマイナス40ポイントとなり、前月のマイナス46ポイントに対し、6ポイントの改善の動きとなっているが、依然、強い低価格状態であるため、収益、景況の改善には至らず、業界、企業は深刻な状況といえる。
 販売価格の上昇したところは、生花販売のみである。
 下降業種が特に多いのは、機械・金属、建設業となっている。

収益状況の動向は、上昇0ポイント、下降56ポイントでDI値はマイナス56ポイントとなり、4ヶ月連続のマイナス50ポイント台であり極めて強い悪化が続いている。
 収益状況の悪化業種が特に多いのは、繊維・同製品、木材・木製品、窯業・土石、機械・金属、各種物産品、卸売、サービス業、建設業、運輸業である。

資金繰りの動向は、好転1ポイント、悪化31ポイントでDI値はマイナス30ポイントとなり、前月のマイナス41ポイントに対し、11ポイントの大きな改善傾向となったが、改善の動きは、長良川畔旅館のみと弱く、「悪化」が「不変」に改善したことが要因である。
 また、昨年8月から長期に亘り悪化傾向が続いており、その悪化した昨年と比較しての「不変」の増加であるため、依然、厳しい状況が窺われる。
[景況グラフを開く]

▲ページ上へもどる