調査レポート
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景気動向調査
 平成14年9月  (平成14年9月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕9月の特色
◆ 景況感悪化幅縮小・依然厳しい状況
◆ 先行き不安感が依然強い
◆ 資金繰り悪化傾向
  〔 2 〕9月の概況
 当月の景気動向を景況感DI値で見ると、好転1ポイント、悪化51ポイントでDI値はマイナス50ポイントとなり、前月のマイナス56ポイントに対し、6ポイントの改善となっている。

 景況感DI値は、4月以降の概ね横這いの緩やかな改善傾向の後、6月以降一進一退で推移し、当月は先月に引き続き改善の動きとなっている。数値の動きは、底打ちとなっている。

 改善の要因は、業種別の景況感DI値が、卸売業、小売業、商店街、建設業、運輸業の非製造業で前月水準よりもマイナス幅が縮小し、これが全体のマイナス幅の縮小となったことによるものである。しかし、景況感DI値マイナス50ポイント台の水準は依然として低く、厳しい経営環境が続いている。

 中小企業の景況は、個人消費の低迷、公共工事・民需停滞の中、取引先からの低価格、短納期、小ロット要請等が強まり、取引条件は厳しく、また、輸入品との低価格競合が続き、販売価格は低水準で推移し、収益動向も若干の改善傾向ではあるが依然厳しく、さらに資金繰りも悪化するなど、厳しい状況が続いている。

  コメントの中には同業者の廃業、取引先関係の倒産による信用不安、企業マインドの低下を指摘する意見が増えており、景況の実感は一段と厳しくなっている。

  前年同月比業況悪化業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、木材・木製品、窯業・土石、機械・金属、建設業である。

  前年同月比業況好転業種は、若干の好転とした米菓のみである。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、前年同月比売上は、動向が分かれ米菓で増加、味噌・醤油、豆腐、食肉、菓子で低調横這い、酒造、製麺で減少となった。依然、販売価格、収益の悪化傾向は強く厳しい業況が続いている

繊維・同製品は、織物等川上業種では、前年同月比売上は、全ての業種で減少傾向。アパレル関連は、動向が分かれメンズアパレルで増加、婦人・子供服で低調横這い、縫製で減少となった。婦人・子供服では、素材商社の倒産の影響が業界に影を落としている。

木材・木製品は、前年同月比売上は、動向が分かれ銘木で増加、製材、集成材、美濃地区家具で低調横這い、飛騨地区家具、東濃ひのきで減少となった。住宅建築需要の低迷による需要不振、低価格化等により業界の先行き不安は強く、依然厳しい業況が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、前年同月比売上は、家庭紙、プラスチックで増加、特殊紙、紙加工品で低調横這いとなった。需要低下に加え、販売価格低下も続き厳しい状況。

窯業・土石の陶磁器等では、前年同月比売上は、全般に低調横這い、又は減少傾向となっている。建設資材の土石では、減少傾向となった。建設資材では、建設不況の影響による需要低迷で、厳しい状況が続いている。

機械・金属は、全般的に前年同月比売上は、低調横這い、又は減少傾向である。その中で、航空機関連は増加傾向となっている。増加傾向となった航空機関連についても、米国の同時多発テロの影響等により、民需が大幅な減少となるなど、今後の推移が懸念される。全般に景況感の悪化傾向が強い。


各種物産品は、前年同月比売上は、観光物産で増加、ギフトで減少傾向となっている。ギフトについては、主要指標の全てが悪化となるなど、厳しい業況悪化の動きとなっている。

卸売業は、前年同月比売上は、岐阜地区総合卸売、陶磁器産地卸で低調横這い、飛騨地区総合卸売で減少傾向となっている。

小売業は、前年同月比売上は、動向が分かれ中古自動車販売、共同店舗(岐阜、飛騨)、生花販売で増加、水産物、石油製品販売で低調横這い、青果、家電機器販売、メガネ販売で減少となっている。家電機器販売では、組合員の中に、メーカーより取引額の減少のため、取引口座抹消の要求が出ているなど厳しい状況が続いている。

商店街は、前年同月比売上は、多治見市で減少、その他の商店街は低調横這いとなった。一部の商店街に、秋需要の動きも出てきているが収益の回復には至っていない。また、多治見市においては、主要指標の全てが悪化となるなど、商店街の不振は極めて深刻である。

サービス業は、全般的に前年同月比売上は、低調横這い、又は減少傾向である。その中で、前月に続き、宿泊人員の増加となった長良川畔旅館、全国和牛能力共進会岐阜県大会の開催等により宿泊客が増加した高山旅館では、好調に推移した。

建設業は、全般的に前年同月比売上は、低調横這い、又は減少傾向である。公共工事発注が始まったが、全体を潤すまでは至らず、依然厳しい業況が続いている。民間需要も住宅建築着工数の減少により更に悪化している。

運輸業は、前年同月比売上は動向がわかれ、軽運送で増加、県域で減少傾向推移となった。
  主な調査項目での動向
売上動向は、増加16ポイント、減少44ポイントでDI値はマイナス28ポイントとなり、前月のマイナス44ポイントに対し、16ポイントの大幅な改善となっている。前月の動向と比較し、小売業に改善傾向、食料品に悪化傾向が出ている。
 売上動向のDI値は、平成12年12月以来20カ月ぶりにマイナス20ポイント台と大きな改善の動きとなった。しかし、販売価格は依然、低価格状態であり、低価格の中での売上高横這いとなり、需要は底深い低迷である。
 売上増加となったのは、米菓、メンズアパレル、銘木、家庭紙、プラスチック、輸送用機器、各種物産品(観光)、中古自動車販売、共同店舗(岐阜、飛騨)、生花販売、長良川畔旅館、高山旅館、軽運送である。小売業は、増加、減少の2極に分かれ、若干増加業種が多い。
 減少業種が特に多いのは、繊維・同製品、窯業・土石、サービス業、建設業である。

販売価格の動向は、上昇0ポイント、下降41ポイントでDI値はマイナス41ポイントとなり、前月のマイナス40ポイントに対し、1ポイントのマイナス、概ね横這いであり依然、強い低価格化の状態が続いている。
 下降業種が特に多いのは、食料品、窯業・土石、機械・金属、建設業となっている。

収益状況の動向は、上昇1ポイント、下降51ポイントでDI値はマイナス50ポイントとなり、5ヶ月連続のマイナス50ポイント台であり極めて強い悪化が続いている。
 収益状況が好転となったのは、各種物産品(観光)のみである。
 収益状況の悪化業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、窯業・土石、機械・金属、サービス業、建設業である。

資金繰りの動向は、好転4ポイント、悪化40ポイントでDI値はマイナス36ポイントとなり、前月のマイナス30ポイントに対し、6ポイントの悪化となった。前月の動向と比較し、窯業・土石、機械・金属に悪化傾向が出ている。前月は、大きな改善傾向となったが、今回は、再び悪化の動きとなった。
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