調査レポート
景況動向調査
各種調査
もどる
景気動向調査
 平成15年6月  (平成15年6月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕6月の特色
◆ 景況感停滞
◆ 先行き不安感変らず
  〔 2 〕6月の概況
  当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転4ポイント、悪化59ポイントでDI値は前月と同数値のマイナス55ポイントとなり、依然、大きな悪化傾向が続いている。

 景況感DI値は、昨年12月以降マイナス60ポイント前後で推移している。これに対し、前月にマイナス55ポイントに改善し、当月この数値を維持しているが、業況好転業種は極く一部であり、全般的に先行き不透明感が強く、今後の推移は依然警戒が必要である。

 売上高、販売価格、収益状況など主要指標については、前月のマイナス幅縮小の動きとは反対に、今月は全ての指標が悪化となり、DI値は、売上高マイナス48ポイント、販売価格マイナス35ポイント、収益状況マイナス57ポイントとなった。特に、売上高、収益状況については前月と比べ10ポイント以上の強いマイナス幅拡大の動きとなり、厳しい動向となっている。

 全体的には、個人消費の低迷、公共工事の減少・民需の停滞、企業間競争の激化、海外製品との競合など厳しい経済環境が続き、中小企業の景況は依然として厳しい状況である。

 コメントの中には、同業者の廃業、原材料費等の上昇を価格に転嫁できないため収益状況も厳しいなどの指摘に加え、公共工事発注の早期化の要望等、厳しい業況の意見が多い。

 前年同月比業況悪化業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、木材・木製品、紙・紙加工品、窯業・土石、建設業である。前年同月比業況好転業種は、金型、機械・工具販売、広告美術である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、前年同月比売上は、減少又は低調横這いで減少傾向が強い。収益状況については低調横這いの製麺を除き全ての業種で悪化、景況感については全業種で悪化となるなど、依然厳しい業況が続いている。

繊維・同製品は、前年同月比売上は、織物等川上業種、アパレル関連ともに減少又は低調横這いで減少傾向が強い。その中でニット工業は増加となった。全体では、収益状況、景況感に悪化傾向が強く業界は非常に厳しい状況が続いている。

木材・木製品は、前年同月比売上は増加となった製材を除き、他は全て減少となった。東濃ひのきにおいては、前月に続き主要指標の全てが悪化と厳しい状況。業界は依然厳しい業況悪化の動きが続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、前年同月比売上は動向が分かれ、家庭紙で増加、印刷で低調横這い、特殊紙、紙加工品、プラスチックで減少となった。全般に収益、景況感の回復感は弱く、全般的に低迷状態が続いている。

窯業・土石の陶磁器等では、前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いで依然厳しい状況が続いている。石灰については売上が4ヶ月連続で増加傾向となった。建設資材の土石では、全業種で減少となった。また、砂利においては、主要指標が全て悪化となるなど厳しい状況となった。

機械・金属は、前年同月比売上は動向が分かれ、鋳物、金型、輸送用機器で増加、刃物等金属製品(内需)、メッキ、工業団地(県金属、可児)、電気機械器具で低調横這い、刃物等金属製品(輸出)で減少となった。刃物等金属製品(輸出)については、前月に続き主要指標の全てが悪化となり強い業況悪化の動きとなっている。業界全般では、景況感の回復感は無く厳しい状況にあるが、金型は4ヶ月売上増加と自動車関連を中心に堅調に推移している。

各種物産品は、前年同月比売上は減少となった。依然、強い業況悪化の動きが続いている。

卸売業は、前年同月比売上は、総合卸売(飛騨・岐阜地区)、機械・工具販売で低調横這い、陶磁器産地卸で減少となり、消費需要低迷が続き、依然業況は低調に推移している。

小売業は、前年同月比売上は、減少又は低調横這いで推移している。その中で、中古自動車販売は増加となった。

商店街は、前年同月比売上は、全商店街で減少となった。商店街は、引続き、消費需要の低迷、来街者の減少となり、厳しい業況が続いている。

サービス業は、前年同月比売上は、低調横這いとなった自動車タイヤ整備、情報サービス、飲食業を除き、全般的に減少となり、強い景況悪化の動きとなっている。


建設業は、全般的に前年同月比売上は、減少傾向が強い。土木(岐阜地区、飛騨地区)、羽島地区土木・建築、木製建具で主要指標の全てが悪化となった。業界は、公共工事受注の減少、民需の低迷により、低水準の受注状況が続いている。前月に続き公共工事の早期発注の強い要望が出ている。

運輸業は、前年同月比売上、収益について、県域、軽運送共に減少となるなど厳しい業況となっている。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加11ポイント、減少58ポイントでDI値はマイナス47ポイントとなり、前月のマイナス37ポイントに対し、10ポイントの大幅な減少となっている。
 DI値は、2月以降、一進一退の状況が続いていたが、今回は大幅な減少となり、再びマイナス40ポイント台となるなど大きな減少の動きとなった。
 前年同月比売上増加となったのは、ニット工業、製材、家庭紙、石灰、鋳物、金型、輸送用機器、中古自動車販売、広告美術である。
 減少業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、木材・木製品、紙・紙加工品、窯業・土石、商店街、建設業、運輸業である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇3ポイント、下降37ポイントでDI値はマイナス34ポイントとなり、前月と同数値で強い低価格化の状態が続いている。
 販売価格が上昇した業種は2業種だけであり、依然、販売価格の改善傾向は弱く、深刻な低価格販売、受注競争の激しさが続いていることが窺われる。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、家庭紙、機械・工具販売である。
 下降業種が特に多いのは、小売業、建設業である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転2ポイント、悪化58ポイントでDI値はマイナス56ポイントとなり、前月のマイナス46ポイントに対し、10ポイントの大幅な悪化の動きとなっている。
 売上動向と同様に、DI値は不安定な動きをしている。また、DI値の水準は、依然強いマイナスの値であり、極めて強い悪化が続いている。
 好転となったのは、製材、広告美術のみである。
 悪化業種が特に多いのは、木材・木製品、紙・紙加工品、窯業・土石、商店街、建設業、運輸業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転2ポイント、悪化34ポイントでDI値はマイナス32ポイントとなり、前月と同数値で依然、厳しい状況である。特に、建設業で悪化傾向が強い。
[景況グラフを開く]

▲ページ上へもどる