調査レポート
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景気動向調査
 平成15年10月  (平成15年10月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕10月の特色
◆ 景況感停滞
◆ 先行き不安感が依然強い
  〔 2 〕10月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転8ポイント、悪化45ポイントでDI値はマイナス37ポイントとなり、前月のマイナス35ポイントに対し、2ポイントの悪化となっている。

 景況感DI値は、4月以降連続して改善傾向と持ち直しの動きであったが、当月は5ヶ月ぶりに悪化の動きとなった。

 悪化の要因は、食料品で前月水準よりもマイナス回答が増加したことがあげられる。

 他の主要な動向は、景況感DI値とは逆に、前月のDI値に対し改善の動きとなるなど、景況は複雑に推移している。売上高3ポイント、販売価格2ポイント改善(マイナス幅縮小)の動きがあり、売上高マイナス14ポイント、販売価格マイナス28ポイントとなった。

 また、収益状況については、マイナス30ポイントと、前月のDI値に対し11ポイントの大幅な改善となった。しかし、前月より好転した業種は木材・木製品、卸売業の2業種だけであり、全体としては悪化が9ポイント減少しており、改善の要因は好転でなく、悪化から不変への変化による要因が大きい。

 中小企業の足元では、業況の停滞感が依然根強い。コメントの中には、景気の先行きについて期待する意見の一方、公共事業の縮小や、消費の低迷、競争激化、先行き不安など企業マインドの低下を指摘する厳しい見方の意見が多い。

 前年同月比業況悪化業種が特に多いのは、食料品、窯業・土石、建設業である。

 前年同月比業況好転業種は、製材、鋳物、金型、電気機械器具、機械・工具販売、生花販売、広告美術である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、前年同月比売上は、低調横這い又は減少で低調横這い傾向が強い。しかし、収益状況については、低調横這いの味噌・醤油を除き全ての業種で悪化、景況感についても、低調横這いの菓子を除き全ての業種で悪化となるなど、依然厳しい業況が続いている。

繊維・同製品は、織物等川上業種では、前年同月比売上は動向が分かれニット工業で増加、合成繊維織物で低調横這い、撚糸、毛織物で減少となった。アパレル関連では紳士服で増加、既製服縫製で減少となった。売上増加となった業種においても景況感の回復が見られない状況となるなど、業界は依然厳しい状況。

木材・木製品は、前年同月比売上は製材、銘木、家具(飛騨地区)で増加、集成材、東濃ひのきで低調横這いとなった。イベント効果により売上が増加となった業種もあるが、住宅産業の低迷の中、業界は依然厳しい業況が続いている。製材においては、プレカット需要を中心に堅調に推移いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、前年同月比売上は低調横這いとなった。全般的に、収益、景況感の回復感は弱く低迷状態が続いている。

窯業・土石の陶磁器等では、前年同月比売上は、全般に低調横這い又は減少で、低調横這い傾向が強い。石灰については、需要先の鉄鋼業界の好調等で堅調に推移している。建設資材の土石では、全業種で減少となった。また、砂利においては、主要指標が全て悪化となるなど厳しい状況となった。全体では、堅調な石灰を除き収益状況の回復は無く、景況感は8業種中6業種で悪化となるなど業況は依然厳しい状況が続いている。

機械・金属は、前年同月比売上は動向が分かれ、鋳物、可児工業団地、金型、電気機械器具で増加、刃物等金属製品(内需)、県金属工業団地で低調横這い、刃物等金属製品(輸出)、メッキ、輸送用機器で減少となった。一部に景況感の改善傾向が出ているが、業界全般では、景況感の回復感は弱く厳しい状況にある。金型は8ヶ月連続で売上増加となるなど、自動車関連を中心に堅調に推移している。

各種物産品は、前年同月比売上は、観光物産で低調横這い、ギフトで減少となった。ギフトにおいては、前月に続き主要指標が全て悪化となるなど厳しい状況となった。

卸売業は、陶磁器産地卸、機械・工具販売で増加、総合卸売(飛騨、岐阜)で減少となった。消費需要低迷が続く中、全体的に低迷が続いている。その中で、機械・工具販売において業績回復の動きがでている。

小売業は、動向が分かれ中古自動車販売、生花販売で増加、青果、水産物、石油製品販売で低調横這い、家電機器販売、メガネ販売、共同店舗(東濃、飛騨)で減少となっている。個人消費の低迷が続き、業界は苦しい状況が続いている。

商店街は、大垣市、高山市で低調横這い、岐阜市、多治見市、恵那市で減少となった。商店街は、来街者の減少が止まらず厳しい業況が続いている。

サービス業は、前年同月比売上は動向が分かれ、自動車車体整備、長良川畔旅館、広告美術、理容・美容業で増加、自動車タイヤ整備、高山旅館、情報サービス、映像制作、飲食業、ビルメンテナンスで低調横這い、下呂温泉旅館、クリーニングで減少となった。

建設業は、前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いで減少傾向が強い。前月に続き、土木(岐阜地区、飛騨地区)、土木・建築(羽島地区)で、主要指標の全てが悪化と厳しい状態となった。業界は、低調な公共工事や、業者間での受注競争激化などにより、低水準の受注状況が続いている。引続き公共工事の早期発注の強い要望が出ている。

運輸業は、前年同月比売上について、軽運送で増加、県域で低調横這いとなった。売上が増加となった軽運送についても、収益、景況感等が悪化となるなど業況の改善には至っていない。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加23ポイント、減少37ポイントでDI値はマイナス14ポイントとなり、前月のマイナス17ポイントに対し、3ポイントの改善となっている。
 売上動向のDI値は、前月に続き2ヶ月連続での改善の動きとなった。前月の動向と比較し、木材・木製品、サービス業に改善傾向が出ている。
 前年同月比売上増加となったのは、ニット工業、紳士服、製材、銘木、家具(飛騨地区)、石灰、鋳物、可児工業団地、金型、電気機械器具、陶磁器卸、機械・工具販売、中古自動車販売、生花販売、自動車体整備、長良川畔旅館、広告美術、理容・美容業、軽運送である。
 減少業種が特に多いのは、建設業である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇5ポイント、下降33ポイントでDI値はマイナス28ポイントとなり、前月のマイナス30ポイントに対し、2ポイントの改善の動きとなっている。
 販売価格の上昇した業種は前月より1業種増加し、4業種となったが、依然、販売価格の改善傾向は弱く、深刻な低価格販売、激しい受注競争が続いていることが窺われる。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、東濃ひのき、紙加工品、生コンクリート、生花販売である。
 下降業種が特に多いのは、各種物産品製造である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転8ポイント、悪化38ポイントでDI値はマイナス30ポイントとなり、前月のマイナス41ポイントに対し、11ポイントの大幅な改善の動きとなっている。
 収益状況が好転となったのは、製材、銘木、石灰、可児工業団地、機械・工具販売、長良川畔旅館、広告美術である。
 収益状況の悪化業種が特に多いのは、食料品、各種物産品製造、建設業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転3ポイント、悪化33ポイントでDI値はマイナス30ポイントとなり、前月のマイナス31ポイントに対し、1ポイントの改善ではあるが依然厳しい状況である。特に建設業で悪化傾向が強い。
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