調査レポート
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景気動向調査
 平成15年11月  (平成15年11月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕11月の特色
◆ 景況感再び悪化
◆ 金型、機械に動き
◆ 温暖気候が冬物需要を打撃
  〔 2 〕11月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転6ポイント、悪化52ポイントでDI値はマイナス46ポイントとなり、前月のマイナス37ポイントに対し、9ポイントの大幅な悪化となっている。

 景況感DI値は、4月以降改善傾向と持ち直しの動きであった。しかし、当月は、前月の2ポイント悪化に続き、大幅な悪化となり、再びマイナス40ポイント台となるなど景況悪化の動きとなっている。

 悪化の要因は、機械金属、小売業で、マイナス回答が前月回答よりも増加したことがあげられる。

 他の主要な動向についても、景況感DI値と同様に、前月のDI値に対し悪化の動きとなっている。それぞれ前月に対し、売上高14ポイント減少、販売価格3ポイント下降、収益状況16ポイントの悪化(マイナス幅拡大)の動きとなり、個別のDI値は、売上高マイナス28ポイント、販売価格マイナス31ポイント、収益状況マイナス46ポイントとなった。

 金型、機械工具の設備投資関連等、一部業種に出ている需要回復の動きには変わりはないが、全体的には、需要低迷、企業間競争激化、低価格販売、収益悪化が続いており、依然、中小企業は厳しい環境にある。また、コメントの中には、例年より温暖な気候となったことによる冬物需要の不振、原材料高製品安による収益悪化、先行き不安など企業マインドは一段と低下しており、企業の経営環境の悪化が懸念される。

 前年同月比業況悪化業種が特に多いのは、食料品、窯業・土石、建設業である。

 前年同月比業況好転業種は、製材、金型、電気機械器具、機械・工具販売、長良川畔旅館である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、前年同月比売上は、動向が分かれ味噌・醤油で増加、豆腐、菓子、製麺で低調横這い、食肉、米菓、酒造で減少となった。収益状況については、低調横這いの味噌・醤油を除き全ての業種で悪化、景況感については、全ての業種で悪化となるなど、依然厳しい業況が続いている。

繊維・同製品は、織物等川上業種では、前年同月比売上は、ニット工業、合成繊維織物で低調横這い、撚糸、毛織物で減少となった。アパレル関連では全業種で悪化となった。全体では、収益、景況感の悪化傾向が続き、業界は依然厳しい状況。特に、アパレル関連では、温暖気候の影響で冬物の出荷が遅く、秋物も不振となるなど厳しい状況となっている。

木材・木製品は、前年同月比売上は製材で増加、集成材、家具(飛騨地区)、東濃ひのきで低調横這い、銘木で悪化となった。住宅産業の低迷の中、業界は依然厳しい業況が続いている。製材においては、プレカット需要を中心に堅調に推移している。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、前年同月比売上は、減少となった印刷を除き、全て低調横這いとなった。全般的に、収益、景況感の回復感は弱く低迷状態が続いている。

窯業・土石の陶磁器等では、前年同月比売上は低調横這いで依然厳しい状況が続いている。石灰は、需要先の鉄鋼業界の好調等で、引き続き堅調に推移している。建設資材の土石では、全業種で減少となった。砂利においては、前月に続き、主要指標が全て悪化となるなど厳しい状況となった。全体では、堅調な石灰を除き収益状況の回復は無く、景況感は8業種中7業種で悪化となるなど、依然厳しい状況が続いている。

機械・金属は、前年同月比売上は動向が分かれ、鋳物、県金属工業団地、金型、電気機械器具で増加、刃物等金属製品(内需)、メッキ、可児工業団地で低調横這い、刃物等金属製品(輸出)、輸送用機器で減少となった。一部に景況感の改善傾向が出ているが、業界全般では、景況感の回復感は弱く厳しい状況にある。その中で、金型は9ヶ月連続で売上増加となるなど、自動車関連を中心に堅調に推移している。また、刃物等金属製品(輸出)、輸送用機器においては、主要指標が全て悪化と厳しい状況。

各種物産品は、前年同月比売上は、観光物産で低調横這い、ギフトで減少となった。ギフトにおいては、3ヶ月連続で主要指標が全て悪化となるなど厳しい状況が続いている。

卸売業は、機械・工具販売で増加、総合卸売(飛騨、岐阜)、陶磁器産地卸で低調横這いとなった。消費需要低迷が続く中、全体的に低迷が続いている。その中で、機械・工具販売では業績回復の動きとなっている。

小売業は、全般に低調横這い又は減少で、減少傾向が強い。例年より温暖な気候による冬物需要への影響に加え、消費需要の不振が続き苦しい業況となっている。

商店街は、大垣市、高山市で低調横這い、岐阜市、多治見市、恵那市で減少となった。岐阜市においては主要指標が全て悪化となるなど、厳しい業況悪化の動きとなっている。商店街は、温暖な気候による冬物需要への影響、来街者減少により厳しい業況が続いている。

サービス業は、前年同月比売上は動向が分かれ、長良川畔旅館、理容・美容業で増加、自動車車体整備、広告美術、情報サービス、映像制作、ビルメンテナンスで低調横這い、自動車タイヤ整備、下呂温泉旅館、高山旅館、クリーニング、飲食業で減少となった。全体的に需要停滞の中、景況は依然厳しい状況である。

建設業は、前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いで、低調横這い傾向が強い。前月に続き、土木(岐阜地区、飛騨地区)で、主要指標の全てが悪化と厳しい状態となった。業界は、公共工事の最盛期を迎え、一部に前年並の売上を確保したところもあるが、全般には、低調な公共工事発注と業者間での受注競争激化などにより、低水準の受注状況が続いている。

運輸業は、前年同月比売上について、軽運送で増加、県域で低調横這いとなった。軽運送は、選挙関係の印刷物などの運送需要により、売上、収益ともに増加となった。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加13ポイント、減少41ポイントでDI値はマイナス28ポイントとなり、前月のマイナス14ポイントに対し、14ポイントの大幅な悪化の動きとなっている。
 DI値は、前月まで4ヶ月連続での改善の動きであったが、今回は反対に大幅な悪化となり、再びマイナス20ポイント台となるなど大きな減少の動きとなった。前月の動向と比較し、繊維・同製品、木材・木製品、小売業、サービス業に悪化傾向が出ている。
 前年同月比売上増加となったのは、味噌・醤油、製材、石灰、鋳物、県金属工業団地、金型、電気機械器具、機械・工具販売、長良川畔旅館、理容・美容業、軽運送である。
 減少業種が特に多いのは、繊維・同製品、小売業である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇5ポイント、下降36ポイントでDI値はマイナス31ポイントとなり、前月のマイナス28ポイントに対し、3ポイントの下降の動きとなっている。
 販売価格の上昇した業種は4業種と前月と同数であるが、小売業、建設業に下降傾向が増えたことによる下降である。DI値は、マイナス30ポイント台であり、依然深刻な低価格販売、受注競争の激しさが窺われる。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、食肉、東濃ひのき、紙加工品、理容・美容業である。
 下降業種が特に多いのは、建設業である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転6ポイント、悪化52ポイントでDI値はマイナス46ポイントとなり、前月のマイナス30ポイントに対し、16ポイントの大幅な悪化の動きとなっている。
 売上動向と同様に、DI値は不安定な動きをしている。また、DI値の水準は、強いマイナスの値であり、極めて強い悪化傾向が続いている。
 収益状況が好転となったのは、製材、電気機械器具、機械・工具販売、長良川畔旅館、軽運送である。
 収益状況の悪化業種が特に多いのは、建設業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転3ポイント、悪化35ポイントでDI値はマイナス32ポイントとなり、前月のマイナス30ポイントに対し、2ポイントの悪化増と厳しくなっている。
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