調査レポート
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景気動向調査
 平成15年12月  (平成15年12月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕12月の特色
◆ 景況感悪化が縮小
◆ 先行き不安感が依然強い
◆ 原料高製品安で収益圧迫
  〔 2 〕12月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転6ポイント、悪化46ポイントでDI値はマイナス40ポイントとなり、前月のマイナス46ポイントに対し、6ポイントの改善となっている。

 景況感DI値は、2ヶ月連続下降の後の改善の動きとなった。

 改善の要因は、業種別の景況感DI値が、紙・紙加工品、サービス業等で前月水準よりもマイナス回答が減少したことによるものである。しかし、景況感DI値の水準は依然として低く、全体として企業経営は、厳しさを増しているものと推測される。

 他の主要な動向についても、景況感DI値と同様に、水面下ではあるが、前月のDI値に対し改善の動きとなり、4ヶ月振りに主要動向の全てが改善となった。売上高9ポイント、販売価格7ポイント、収益動向10ポイントの改善(マイナス幅縮小)の動きとなり、売上高マイナス19ポイント、販売価格マイナス24ポイント、収益動向マイナス36ポイントとなった。

 金型、機械工具の設備投資関連、運送業等の一部業種に出ている需要回復の動きには変わりはないが、全体的には、個人消費の低迷、企業間競争激化、低価格販売、収益悪化など厳しい経済環境が続いており、中小企業の足元では景況の停滞感が根強い厳しい状況にある。

 また、国産農産物などの原材料が値上がり基調にあるが、製品価格へ転嫁できないため収益率も低く、受注量の増加がそのまま収益の改善に繋がらない状況が続いている。

 前年同月比業況悪化業種が特に多いのは、食料品、窯業・土石、建設業である。

 前年同月比業況好転業種は、石灰、金型、機械・工具販売、大垣市商店街、長良川畔旅館である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、前年同月比売上は、動向が分れ食肉で増加、味噌・醤油、豆腐で低調横這い、菓子、米菓、酒造、製麺で減少となった。景況感、収益状況について、低調横這いの食肉を除き全ての業種で悪化となるなど、依然厳しい業況が続いている。

繊維・同製品は、織物等川上業種では、前年同月比売上は、ニット工業、合成繊維織物で増加、撚糸、毛織物で減少となった。アパレル関連では減少又は低調横這いで減少傾向が強い。売上増加となった業種においても景況感の回復が見られない状況で、業界は依然厳しい状況。

木材・木製品は、前年同月比売上は銘木で増加、製材、集成材、家具(飛騨地区)、東濃ひのきで低調横這いとなった。住宅産業の低迷の中、業界は依然厳しい業況が続いている。製材においても、堅調が続いていたプレカット需要に一服感が出ている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックは、前年同月比売上は動向が分れ、特殊紙、紙加工品で増加、家庭紙、印刷で低調横這い、プラスチックで減少となった。売上増加業種においても収益、景況感の回復感は弱く、低迷状態が続いている。

窯業・土石の陶磁器等では、前年同月比売上は低調横這いで依然厳しい状況が続いている。石灰は、需要先の鉄鋼業界の好調等で引き続き、堅調に推移している。建設資材の土石では、生コンクリートで低調横這い、砂利、採石で減少となった。砂利においては、3ヶ月連続で主要指標が全て悪化となるなど厳しい状況となった。全体では、堅調な石灰を除き収益状況の回復は無く、景況感は8業種中7業種で悪化となるなど、依然厳しい状況が続いている。

機械・金属は、前年同月比売上は動向が分れ、金型、電気機械器具、輸送用機器で増加、鋳物、刃物等金属製品(内需)、メッキ、県金属工業団地、可児工業団地で低調横這い、刃物等金属製品(輸出)で減少となった。一部に景況感の改善傾向が出ているが、業界全般では、景況感の回復感は弱く厳しい状況にある。その中で、金型は10ヶ月連続で売上増加となるなど、自動車関連を中心に堅調に推移している。また、刃物等金属製品(輸出)においては、2ヶ月連続で主要指標が全て悪化と厳しい状況。

各種物産品は、前年同月比売上は減少となった。ギフトにおいては、4ヶ月連続で主要指標が全て悪化となるなど厳しい状況が続いている。

卸売業は、機械・工具販売で増加、総合卸売(飛騨、岐阜)で低調横這い、陶磁器産地卸で減少となった。消費需要低迷が続く中、全体的に低迷が続いている。その中で、機械・工具販売では業績回復の動きが続いている。

小売業は、前年同月比売上は、全般に低調横這い又は減少で低調横這い傾向が強い。その中で、家電機器販売は増加となった。全般に消費需要の不振が続き苦しい業況となっている。

商店街は、全般に減少となった。その中で、少し明るさが見られる大垣市は増加となっている。しかし、岐阜市、多治見市においては、主要指標の全てが悪化となるなど、商店街全体の不況感は依然強い。また、暖冬による冬物需要への影響、来街者減少により厳しい業況が続いている。

サービス業は、前年同月比売上は動向が分かれ、長良川畔旅館で増加、自動車タイヤ整備、下呂温泉旅館、広告美術、情報サービス業、映像制作、飲食業、ビルメンテナンスで低調横這い、自動車車体整備、高山旅館、クリーニング、理容・美容で減少となった。全体的に需要停滞の中、景況は依然厳しい状況である。

建設業は、前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いで、減少傾向が強い。土木(岐阜地区、飛騨地区)で、前月に続き、主要指標の全てが悪化と厳しい状態となった。公共工事の最盛期を迎え、一部に受注量に若干の増加傾向が見られるが、全般には、低水準の受注状況が続き厳しい状況。

運輸業は、前年同月比売上について、軽運送、県域ともに増加となった。軽運送は、前月に続き、売上、収益ともに増加となった。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加20ポイント、減少39ポイントでDI値はマイナス19ポイントとなり、前月のマイナス28ポイントに対し、9ポイントの大幅な改善となっている。
 DI値は、前月の大幅な減少に対して、今回は、大幅な改善となり再びマイナス10ポイント台となるなど大きな改善の動きとなった。前月の動向と比較し、繊維・同製品、紙・紙加工品、小売業に改善傾向が出ている。
 前年同月比売上増加となったのは、食肉、ニット工業、合成繊維織物、銘木、特殊紙、紙加工品、石灰、金型、電気機械器具、輸送用機器、機械・工具販売、家電機器販売、大垣市商店街、長良川畔旅館、木製建具、貨物運送、軽運送である。
 減少業種が特に多いのは、商店街である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇7ポイント、下降31ポイントでDI値はマイナス24ポイントとなり、前月のマイナス31ポイントに対し、7ポイントの改善の動きとなっている。
 販売価格の上昇した業種は前月より2業種増加し、6業種となったが、依然、DI値の水準は低く、深刻な低価格販売、激しい受注競争が続いていることが窺われる。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、食肉、銘木、東濃ひのき、紙加工品、陶磁器(輸出)、生コンクリートである。

収益状況の動向は、前年同月比で好転8ポイント、悪化44ポイントでDI値はマイナス36ポイントとなり、前月のマイナス46ポイントに対し、10ポイントの大幅な改善の動きとなっている。
 DI値は、売上動向と同様に不安定な動きをしている。また、DI値の水準は、改善は見られたものの、依然強いマイナスの値であり、極めて強い悪化傾向が続いている。
 収益状況が好転となったのは、食肉、合成繊維織物、銘木、特殊紙、機械・工具販売、長良川畔旅館、軽運送である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転4ポイント、悪化31ポイントでDI値はマイナス27ポイントとなり、前月のマイナス32ポイントに対し、5ポイントの改善ではあるが、依然、厳しい状況である。特に、食料品、商店街で悪化傾向が強い。
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