調査レポート
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景気動向調査
 平成16年5月  (平成16年5月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕5月の特色
◆ 景況感悪化幅拡大
◆ 先行き不安感強まる
  〔 2 〕5月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転5ポイント、悪化35ポイントでDI値はマイナス30ポイントとなり、前月のマイナス19ポイントに対し、11ポイントの大幅な悪化となっている。

 景況感DI値は、昨年11月以降改善傾向が続く持ち直しの動きであったが、当月は 大幅な悪化となり、再びマイナス30ポイント台となるなど景況悪化の動きとなっている。

 悪化の要因は、食料品、小売業で、マイナス回答が前月回答よりも増加したことがあげられる。

 他の主要な動向についても、景況感DI値と同様に悪化の動きとなった。それぞれ前月の動向に対し、売上高19ポイント、販売価格4ポイント、収益状況9ポイントの悪化(マイナス幅拡大)の動きとなり、個別のDI値は、売上高マイナス17ポイント、販売価格マイナス23ポイント、収益状況マイナス31ポイントとなった。

 金型、機械関係に出ている需要回復の動きは変わらないが、全体的には、需要低迷、企業間競争激化、低価格販売、収益悪化など厳しい経済環境が続くなど、中小企業の足元では、景況の停滞感が根強く、また、依然としてDI値はマイナスの水準であり業種間、企業間の格差も大きい。

 景気の先行きについても、回復を期待する声がある一方、依然として消費の低迷や、公共事業の縮小、原料高製品安により利益を確保できないなど、先行きに対する不透明感を訴える声が多く出ている。

 前年同月比業況悪化業種が特に多いのは、繊維・同製品、窯業・土石、建設業である。

 前年同月比業況好転業種は、食肉、金型、電気機械器具、機械・工具販売、長良川畔旅館である。
  主な業種区分の業況概況
食料品は、前年同月比売上は、動向が分れ食肉、米菓で増加、豆腐で低調横這い、菓子、寒天、製麺で減少となった。収益状況については、全ての業種で悪化、景況感も悪化傾向が強く、依然、厳しい業況になっている。

繊維・同製品は、前年同月比売上は、織物等川上業種、アパレル関連共に減少又は低調横這いで、低調横這い傾向が強い。全体では、収益状況、景況感ともに回復はなく、業界は非常に厳しい状況が続いている。

木材・木製品は、動向が分かれ製材、銘木で増加、集成材、家具(飛騨地区)で低調横這い、東濃ひのきで減少となった。東濃ひのきについては、4ヶ月連続で主要指標が全て悪化となるなど厳しい状況が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、前年同月比売上は低調横這い又は減少となった。収益状況、景況感の回復感は弱く、全般的に低迷状態が続いている。

窯業・土石の陶磁器等では、全般に低調横這い又は減少で、低調横這い傾向が強い。建設資材の土石では、砕石で増加、生コンクリート、砂利で減少となった。全体では、収益状況、景況感に悪化傾向が強く、依然厳しい状況が続いている。

機械・金属は、前年同月比売上は動向が分れ、メッキ、県金属工業団地、金型、電気機械器具で増加、鋳物、刃物等金属製品(内需)、可児工業団地で低調横這い、刃物等金属製品(輸出)、輸送用機器で減少となった。金型、電気機械器具の2業種の景況感の改善の動きに変わりはないが、全体としては、景況感の回復感は弱く厳しい状況にある。

各種物産品は、前年同月比売上は観光で増加、ギフトが減少となった。ギフトにおいては、依然、強い業況悪化の動きが続いている。

卸売業は、陶磁器産地卸、機械・工具販売で増加、総合卸売(飛騨)、電設資材で低調横這いとなった。消費需要低迷が続く中、全体的に低迷が続いている。その中で、機械・工具販売は堅調に推移している。

小売業は、動向が分かれ家電機器販売、共同店舗(東濃)で増加、メガネ販売、石油製品販売で低調横這い、青果、水産物、中古自動車販売、共同店舗(飛騨)、生花販売で減少となっている。全般に消費需要の不振が続き苦しい業況となっている。その中で、家電機器販売は、地上デジタル放送、アテネオリンピックへ向けての期待感等により順調となった。

商店街は、全般に低調横這い又は減少で、低調横這い傾向が強い。全般に収益状況、景況感の悪化傾向は強く、商店街の不況感は依然強いものがある。

サービス業は、前年同月比売上は動向が分かれ、自動車車体整備、長良川畔旅館、飲食業で増加、広告美術、映像制作、理容・美容業で低調横這い、自動車タイヤ整備、下呂温泉旅館、高山旅館、クリーニング、情報サービス業、ビルメンテナンスで減少となっており、全体的に需要停滞の中、景況は厳しい状況が続いている。

建設業は、前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いで、減少傾向が強い。土木(岐阜地区、飛騨地区)、土木・建築(羽島地区)において、3ヶ月連続で主要指標の全てが悪化となり厳しい状態が続いている。業界は、年度初めの公共工事端境期、民需の低迷による、低水準の受注状況のため、公共工事の早期発注の強い要望が出ている。

運輸業は、前年同月比売上について、軽運送、県域ともに増加となった。軽運送は、前月に続き、売上、収益ともに増加となった。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加23ポイント、減少40ポイントでDI値はマイナス17ポイントとなり、前月のプラス2ポイントに対し、19ポイントの大幅な悪化となっている。
 DI値は、前月まで3ヶ月連続での改善の動きであったが、今回は反対に大幅な悪化となり、再びマイナス10ポイント台となるなど大きな減少の動きとなった。前月の動向と比較し、繊維・同製品、小売業、サービス業に悪化傾向が出ている。
 前年同月比売上増加となったのは、食肉、米菓、製材、銘木、砕石、メッキ、県金属工業団地、金型、電気機械器具、観光物産品、陶磁器販売卸、機械・工具販売、家電機器販売、共同店舗(東濃)、自動車車体整備、長良川畔旅館、飲食である。
 売上増加業種が特に多いのは、運輸業である。
 減少業種が特に多いのは、小売業、サービス業、建設業である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇5ポイント、下降28ポイントでDI値はマイナス23ポイントとなり、前月のマイナス19ポイントに対し、4ポイントの悪化の動きとなっている。
 販売価格が上昇した業種は4業種だけであり、依然、販売価格の改善傾向は弱く、深刻な低価格販売、受注競争の激しさが続いていることが窺われる。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、食肉、陶磁器(輸出)、石油製品販売、自動車タイヤ整備である。
 下降業種が特に多いのは、建設業である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転7ポイント、悪化38ポイントでDI値はマイナス31ポイントとなり、前月のマイナス22ポイントに対し、9ポイントの大幅な悪化の動きとなっている。
 DI値は、2ヶ月連続の改善の動きの後、再びマイナス30ポイント台の強いマイナスの値となり強い悪化傾向となった。
 収益状況が好転となったのは、電気機械器具、機械・工具販売、メガネ販売、共同店舗(東濃)、長良川畔旅館、軽運送である。
 収益状況の悪化業種が特に多いのは、食料品、窯業・土石、建設業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転0ポイント、悪化21ポイントでDI値はマイナス21ポイントとなり、前月のマイナス15ポイントに対し、6ポイントの悪化であり依然、厳しい状況である。特に、食料品、建設業で悪化傾向が強い。
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