調査レポート
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景気動向調査
 平成16年7月  (平成16年7月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕7月の特色
◆ 機械関係の需要拡大が続く
◆ 猛暑が消費需要を減少
  〔 2 〕7月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転8ポイント、悪化26ポイントでDI値はマイナス18ポイントとなり、前月のマイナス21ポイントに対し、3ポイントの改善となっている。

 景況感DI値は、昨年11月以降改善傾向が続く持ち直しの動きの後、4月以降一進一退で推移し、当月は先月に引き続き改善の動きとなっている。

 改善の要因は、業種別の景況感DI値が、紙・紙加工品、建築業等で前月水準よりもマイナス幅が縮小したため、これが全体のマイナス幅を縮小させたことによるものであるが、景況感DI値の水準は依然として低い。

 他の主要な動向については、景況感DI値と同様に改善の動きとなり、それぞれ前月の動向に対し、売上高9ポイント、収益状況4ポイントの改善の動きとなった。個別のDI値は、売上高マイナス11ポイント、収益状況マイナス24ポイントとなった。

 売上高、収益状況のDI値は、悪化幅を縮小しており、業況は、持ち直しの動きとなっているが、景況感DI値は、依然低水準で、中小企業の足元では、景況の停滞感が根強い厳しい状況にある。

 鋳物、金型など一部業種で高水準の受注状態が見られたが、全体的には、需要低迷、企業間競争激化、低価格販売、収益悪化など厳しい経済環境が続いている。

 また、猛暑に対し、夏物需要が大きく出て来ることが期待されたが、家電機器販売では出ているが、衣料品等、他の商品では盛り上がりを欠き、売上増加の動きに勢いを欠いている。

 前年同月比業況悪化業種が特に多いのは、繊維・同製品、窯業・土石である。

 前年同月比業況好転業種は、食肉、米菓、特殊紙、鋳物、金型、機械・工具販売、家電機器販売である。

  主な業種区分の業況概況
食料品は、前年同月比売上は、動向が分れ食肉、米菓で増加、牛乳・乳製品、菓子で低調横這い、豆腐、寒天、製麺で減少となった。収益状況については、全般に悪化傾向が強く、売上増加となった食肉、米菓においても改善はなく、反対に悪化しているなど、依然厳しい業況が続いている。

繊維・同製品は、前年同月比売上は、織物等川上業種、アパレル関連共に減少又は低調横這い傾向となった。全体では、収益状況、景況感ともに悪化傾向が強く、業界は非常に厳しい状況が続いている。

木材・木製品は、動向が分かれ製材で増加、集成材、東濃ひのきで低調横這い、銘木、家具(飛騨地区)で減少となった。住宅産業の低迷の中、業界は依然厳しい業況が続いている。その中で、製材においては、プレカット需要を中心に堅調に推移している。

紙・紙加工品、印刷、プラスチックでは、前年同月比売上は動向が分れ、特殊紙で増加、印刷で低調横這い、家庭紙、紙加工品、プラスチックで減少となった。全般に低迷状態が続いている。その中で、特殊紙に上向き気配が出ている。

窯業・土石の陶磁器等では、前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這い傾向となった。石灰については堅調に推移している。建設資材の土石では、砕石で増加、生コンクリート、砂利で減少となった。全体では、収益状況の回復は無く、景況感も悪化傾向が強く、依然厳しい状況が続いている。

機械・金属は、前年同月比売上は、鋳物、刃物等金属製品(内需)、メッキ、県金属工業団地、金型、電気機械器具で増加、刃物等金属製品(輸出)、可児工業団地、輸送用機器で減少となった。売上の増加は、9業種中6業種であるが、景況感の改善は、鋳物、金型の2業種に留まり、依然、景況感の回復感は弱く厳しい状況にある。また、刃物等金属製品(輸出)においては、5ヶ月連続で主要指標が全て悪化と厳しい状況が続いている。

各種物産品は、前年同月比売上は観光で低調横這い、ギフトで減少となった。ギフトにおいては、主要指標が全て悪化となり、依然、強い業況悪化の動きが続いている。

卸売業は、機械・工具販売で増加、総合卸売(飛騨)、電設資材で低調横這い、陶磁器産地卸で減少となった。消費需要低迷が続く中、全体的に低迷が続いている。

小売業は、動向が分かれ家電機器販売、メガネ販売、石油製品販売、共同店舗(東濃)、生花販売で増加、青果、中古自動車販売で低調横這い、水産物、共同店舗(飛騨)で減少となった。
 売上の増加は、9業種中5業種となったが、収益、景況感の回復感は弱く、売上が増加しても収益の改善には結び付いていない状況にある。

商店街は、全般に低調横這い又は減少で、低調横這い傾向が強い。全般に収益状況、景況感の悪化傾向は強く、商店街の不況感は依然強いものがある。

サービス業は、前年同月比売上は動向が分かれ、長良川畔旅館、広告美術、理容・美容業で増加、自動車タイヤ整備、クリーニング、情報サービス業、飲食業で低調横這い、自動車車体整備、下呂温泉旅館、高山旅館、映像制作、ビルメンテナンスで減少となった。売上の増加した業種においても、販売価格は上昇せず、また、収益の改善は弱く、景況は依然厳しい状況にある。

建設業は、前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這い傾向が強い。土木(岐阜地区、飛騨地区)、土木・建築(羽島地区)において、5ヶ月連続で主要指標が悪化となり厳しい状態が続いている。公共工事の発注量の減少により、業況悪化が続いている。また、民需も低水準の受注状況が続き、公共工事の早期発注の強い要望が出ている。

運輸業は、県域で増加、軽運送で低調横這いとなった。収益状況、景況感に改善傾向は無く、厳しい状況となっている。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加27ポイント、減少38ポイントでDI値はマイナス11ポイントとなり、前月のマイナス20ポイントに対し、9ポイントの大幅な改善となっている。
 DI値は、5月の19ポイント、6月の3ポイントの悪化と2ヶ月連続の悪化に対して、今回は反対に大幅な改善となり再びマイナス10ポイント台となるなど大きな改善の動きとなった。前月の動向と比較し、小売業、サービス業に改善傾向が出ている。
 前年同月比売上増加となったのは、食肉、米菓、製材、特殊紙、石灰、砕石、機械・工具販売、長良川畔旅館、広告美術、理容・美容業、電気工事、貨物運送である。
 売上増加業種が特に多いのは、機械・金属、小売業であり、減少業種が特に多いのは、繊維・同製品である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇8ポイント、下降25ポイントでDI値はマイナス17ポイントとなり、前月のマイナス15ポイントに対し、2ポイントの悪化の動きとなっている。
 販売価格の上昇した業種は、前月より1業種増加し7業種となったが、下降業種も増加しているため、改善には至らず、反対に悪化となるなど、依然、販売価格の改善傾向は弱く、深刻な低価格販売、受注競争の激しさが続いていることが窺われる。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、食肉、特殊紙、陶磁器(輸出)、鋳物、メガネ販売、石油製品販売、自動車タイヤ整備である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転9ポイント、悪化33ポイントでDI値はマイナス24ポイントとなり、前月のマイナス28ポイントに対し、4ポイントの改善の動きとなっている。
 DI値は、改善が見られるが、依然強いマイナスの値であり、極めて強い悪化傾向が続いている。
 収益状況が好転となったのは、メンズアパレル、特殊紙、鋳物、金型、電気機械器具、水産物、共同店舗(東濃)、長良川畔旅館である。
 収益状況の悪化業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、建設業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転2ポイント、悪化20ポイントでDI値はマイナス18ポイントとなり、前月のマイナス17ポイントに対し、1ポイントの悪化であり依然、厳しい状況である。特に、建設業で悪化傾向が強い。
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