調査レポート
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景気動向調査
 平成16年8月  (平成16年8月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕8月の特色
◆ 景況感悪化幅拡大
◆ 原油高騰によるコストアップ懸念強まる
  〔 2 〕8月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転8ポイント、悪化37ポイントでDI値はマイナス29ポイントとなり、前月のマイナス18ポイントに対し、11ポイントの大幅な悪化となっている。

 景況感DI値は、先月迄の2ヶ月連続の改善の動きとは反対に、大幅な悪化の動きとなるなど、4月以降一進一退を繰り返す不安定な動きをしている。

 全般に変化が小さい中、前月の動向と比較し、サービス業、建築業に悪化傾向が強く出ている。また、非製造業の悪化傾向が強く、DI値の水準は、再びマイナス20ポイント台へ低下した。

 主要指標については、前月の改善の動きとは反対に、今月は全てが悪化となり、DI値は、売上高マイナス26ポイント、販売価格マイナス15ポイント、収益状況マイナス43ポイントとなった。特に、売上高、収益状況については前月と比べ10ポイント以上の強いマイナス幅拡大の動きとなり、厳しい動向となっている。

 金型、機械関係など一部業種に出ている需要回復の動きは変わらないが、全体的には、需要低迷、企業間競争激化、低価格販売、収益悪化など厳しい経済環境が続いている。

 また、コメントの中には、原材料高製品安による収益悪化、原油高騰による燃料費等のコストアップ懸念、公共事業の縮小や消費の低迷など景気の先行き不安を訴える声が多く出ており、中小企業の経営環境の悪化が懸念される。

 前年同月比業況悪化業種が特に多いのは、木材・木製品である。

 前年同月比業況好転業種は、食肉、米菓、鋳物、金型、機械・工具販売、家電機器販売、産直住宅である。

  主な業種区分の業況概況
食料品
前年同月比売上は、動向が分れ食肉、米菓で増加、牛乳・乳製品、豆腐、製麺で低調横這い、菓子、寒天で減少となった。収益状況については、全般に悪化傾向が強く、売上増加となった業種においても改善はなく、反対に悪化しているなど、依然厳しい業況が続いている。

繊維・同製品
織物等川上業種では、前年同月比売上は、減少又は低調横這いで減少傾向が強い。アパレル関連では紳士服で増加、既製服縫製で低調横這いとなった。全体では、収益状況、景況感ともに回復はなく、業界は非常に厳しい状況が続いている。

木材・木製品
前年同月比売上は、低調横這い又は減少で、低調横這い傾向が強い。住宅産業の低迷の中、業界は依然厳しい業況が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチック
前年同月比売上は低調横這い又は減少となった。全般的に、収益、景況感の回復感は弱く低迷状態が続いている。

窯業・土石
陶磁器等では、前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這い傾向となった。石灰については引き続き堅調に推移している。建設資材の土石では、全業種が減少となった。全体では、収益状況の回復は無く、景況感も悪化傾向が強く、依然厳しい状況が続いている。

機械・金属
前年同月比売上は、鋳物、メッキ、県金属工業団地、金型で増加、刃物等金属製品(輸出、内需)、可児工業団地、電気機械器具で低調横這い、輸送用機器で減少となった。9業種中4業種で売上が増加しているが、景況感の改善は、2業種に留まり、依然、景況感の回復感は弱く厳しい状況にある。

各種物産品
前年同月比売上は、観光、ギフトともに減少となった。ギフトにおいては、4ヶ月連続で主要指標が全て悪化となるなど、依然、強い業況悪化の動きが続いている。

卸売業
前年同月比売上は、機械・工具販売で増加、総合卸売(飛騨)、電設資材、陶磁器産地卸で低調横這いとなった。消費需要低迷が続く中、全体的に低迷が続いている。その中で、機械・工具販売は堅調に推移している。

小売業
前年同月比売上は、動向が分かれ家電機器販売、石油製品販売、共同店舗(東濃、飛騨)で増加、青果、メガネ販売、中古自動車販売、生花販売で低調横這い、水産物で減少となった。半数の業種で売上増加となったが、収益、景況感の回復感は弱く、売上が増加しても収益の改善には結び付いていない状況が続いている。

商店街
前年同月比売上は、減少又は低調横這いで、減少傾向が強い。全般に収益状況、景況感の悪化傾向は強く、商店街の不況感は依然強いものがある。

サービス業
前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いで、減少傾向が強い。その中で、広告美術は増加となった。全体的に需要停滞の中、景況感の改善傾向も見られず厳しい状況が続いている。

建設業
前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いで減少傾向が強い。その中で、鉄構造物、電気工事は増加となった。また、土木(岐阜地区、飛騨地区)、土木・建築(羽島地区)、管設備工事において、主要指標が全て悪化となり厳しい状態が続いている。業界は、公共工事の発注量の減少に加え、民需の低水準の受注状況が続いており、公共工事の早期発注の強い要望が出ている。

運輸業
前年同月比売上は、県域で低調横這い、軽運送で減少となった。また、収益状況、景況感についても改善傾向は無く、厳しい状況となっている。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加19ポイント、減少45ポイントでDI値はマイナス26ポイントとなり、前月のマイナス11ポイントに対し、15ポイントの大幅な悪化となっている。
 DI値は、前月の大幅な改善の動きに対して、今回は大幅な悪化となり再びマイナス20ポイント台となるなど不安定な動きをしている。前月の動向との比較では、窯業・土石、サービス業に悪化傾向が出ている。
 前年同月比売上増加となったのは、食肉、米菓、紳士服、石灰、鋳物、メッキ、県金属工業団地、金型、機械・工具販売、家電機器販売、石油製品販売、共同店舗(東濃、飛騨)、広告美術、鉄構造物、電気工事である。
 減少業種が特に多いのは、窯業・土石、サービス業である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇9ポイント、下降24ポイントでDI値はマイナス15ポイントとなり、前月のマイナス17ポイントに対し、2ポイントの改善の動きとなっている。
 販売価格の上昇した業種は前月より1業種増加し、8業種となったが、依然、DI値の水準は低く、深刻な低価格販売、激しい受注競争が続いていることが窺われる。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、食肉、陶磁器(輸出)、鋳物、青果、石油製品販売、生花販売、自動車タイヤ整備、鉄構造物である。
 下降業種が特に多いのは、建設業である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転2ポイント、悪化45ポイントでDI値はマイナス43ポイントとなり、前月のマイナス24ポイントに対し、19ポイントの大幅な悪化の動きとなっている。
DI値は、売上動向と同様に不安定な動きをしている。また、DI値の水準は、強いマイナスの値であり、極めて強い悪化傾向が続いている。
 収益状況が好転となったのは、金型、広告美術である。
 収益状況の悪化業種が特に多いのは、食料品、繊維・同製品、サービス業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転1ポイント、悪化26ポイントでDI値はマイナス25ポイントとなり、前月のマイナス18ポイントに対し、7ポイントの悪化であり依然、厳しい状況である。特に、建設業で悪化傾向が強い。
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