調査レポート
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景気動向調査
 平成17年4月  (平成17年4月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕4月の特色
◆ 景況感再び悪化、不安定な景況感続く
◆ 先行き不安感依然強い
  〔 2 〕4月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転6ポイント、悪化43ポイントでDI値はマイナス37ポイントとなり、前月のマイナス31ポイントに対し、6ポイントの悪化となっている。

 景況感DI値は、前月までの2ヶ月連続した改善の動きの後、当月再び悪化となるなど、昨年4月以降、非常に不安定な動きが続いている。

 業種別のDI値を見ると、全般に変化が小さい中、機械・金属業、サービス業で前月水準に比較してマイナス幅が拡大したことが、全体のマイナス幅拡大の要因となった。

 売上高、販売価格の指標については、前月のDI値に対し売上高4ポイントの改善、販売価格7ポイントの改善の動きとなった。

 しかし、売上高DI値、販売価格DI値ともに水面下での改善であり、また、収益状況は逆に前月より3ポイント悪化するなど、売上が増加しても収益改善に結び付かない厳しい状況にある。

 金型、機械工具の設備投資関連等、一部業種に出ている需要回復の動きには変わりはないが、全体的には、需要低迷、企業間競争激化、低価格販売、収益悪化など厳しい経済環境が続いており、中小企業の現状は依然厳しい状況にある。

 コメントの中には、万博開催により観光客、宿泊者増などの需要創出効果により好調という声もある一方、依然として、消費の低迷、公共事業の縮小、原材料、原油価格の高騰などによる景況の停滞感、先行き不安を訴える声が多く出ている。

 前年同月比業況悪化が特に多い業種は、繊維・同製品、窯業・土石、建設業である。

 前年同月比業況好転業種は、食肉、米菓、金型、機械・工具販売、家電機器販売である。
  主な業種区分の業況概況
食料品
前年同月比売上は、動向が分かれ食肉、米菓で増加、牛乳・乳製品、豆腐、製麺で低調横這い、菓子、寒天水産で減少となった。全体では、低価格、低収益の厳しい状況が続き、景況感の改善傾向も弱く、依然厳しい状況が続いている。

繊維・同製品
前年同月比売上げは、低調横這いのニット工業を除き、全ての業種で減少となった。アパレルでは、寒さが長引いたことなどにより、春物需要が不振となり、また、夏物需要ヘの影響が心配されている。全体では、収益状況、景況感の悪化傾向が強く、業界は非常に厳しい状況が続いている。

木材・木製品
前年同月比売上げは、低調横這いとなっている。その中で、銘木は増加となった。業界は、住宅産業の低迷の中、依然厳しい状況が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチック
前年同月比売上は、プラスチックで増加、家庭紙、特殊紙、印刷で低調横這い、紙加工品で減少となった。売上増加となったプラスチックにおいても、収益は改善していない状況が続いている。

窯業・土石
陶磁器等では、前年同月比売上は、全般に低調横這い傾向となっている。その中で、陶磁器(輸出)は増加となった。また、石灰については堅調な動きが続いている。建設資材の土石では、生コンクリートで増加、砕石で減少となった。全体では、収益状況、景況感に悪化傾向が強く、依然厳しい状況が続いている。

機械・金属
前年同月比売上は、鋳物、メッキ、可児工業団地、金型で増加、刃物等金属製品(輸出、内需)、電気機械器具で低調横這い、県金属工業団地、輸送用機器で減少となった。売上の増加している業種においても景況感の回復感は弱く、全体としては、収益の悪化傾向が強まるなど厳しい状況にある。

各種物産品
前年同月比売上は、観光、ギフトともに減少となった。ギフトにおいては、長期に亘り主要指標の全てが悪化となる厳しい状況が続いている。

卸売業
前年同月比売上は、機械・工具販売で増加、総合卸売(飛騨)、電設資材、陶磁器産地卸で低調横這いとなった。消費需要の低迷により全体的に厳しい状況が続いている。その中で、機械・工具販売は堅調に推移している。

小売業
前年同月比売上は、動向が分かれ、家電機器販売、石油製品販売で増加、青果、水産物、共同店舗(飛騨)で低調横這い、メガネ販売、共同店舗(東濃)、生花販売で減少となった。全般に消費需要の不振が続き苦しい業況となっている。

商店街
前年同月比売上は、全般に低調横這い又は減少となっている。その中で、恵那市は前月に続き増加となった。全般に収益状況、景況感に悪化傾向は強く不況感は根強い状況にある。

サービス業
前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いとなっている。その中で、長良川畔旅館、クリーニングは増加となった。全体的に需要停滞の中、景況は依然厳しい状況である。
 長良川畔旅館については、万博効果により宿泊客の大幅な増加となった。

建設業
前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いとなっている。また、土木(岐阜地区、飛騨地区)において、主要指標が全て悪化となる厳しい状況となった。年度初めの公共工事端境期、低水準の受注状況のため、公共工事の早期発注の強い要望が出ている。

運輸業
前年同月比売上について、軽運送、県域ともに減少となった。収益状況、景況感についても減少傾向が強く、厳しい状況となっている。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加21ポイント、減少36ポイントでDI値はマイナス15ポイントとなり、前月のマイナス19ポイントに対し、4ポイントの改善の動きとなっている。
 DI値は、昨年4月以降、一進一退の状況が続いている。今回は、前月に続き3ヶ月連続での改善の動きとなった。前月の動向との比較では、木材・木製品、窯業・土石、サービス業に改善傾向が出ている。
 前年同月比売上増加となったのは、食肉、米菓、銘木、プラスチック、陶磁器(輸出)、石灰、生コンクリート、鋳物、メッキ、可児工業団地、金型、機械・工具販売、家電機器販売、石油製品販売、恵那商店街、長良川畔旅館、クリーニングである。
 減少業種が特に多いのは、繊維・同製品、各種物産品製造、建設業、運輸業である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇10ポイント、下降23ポイントでDI値はマイナス13ポイントとなり、前月のマイナス20ポイントに対し、7ポイントの改善の動きとなっている。
 販売価格の上昇した業種は前月より3業種増加し、8業種となったが、依然、DI値の水準は低く、深刻な低価格販売、激しい受注競争が続いていることが窺われる。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、食肉、銘木、特殊紙、プラスチック、鋳物、機械・工具販売、石油製品販売である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転5ポイント、悪化45ポイントでDI値はマイナス40ポイントとなり、前月のマイナス37ポイントに対し、3ポイントの悪化の動きとなっている。
 DI値の水準は、再びマイナス40ポイント台の強いマイナスの値となるなど、極めて強い悪化傾向となっている。
 収益状況が好転となったのは、米菓、機械・工具販売、長良川畔旅館、クリーニングである。
 悪化業種が特に多いのは、繊維・同製品、機械・金属業、各種物産品、建設業、運送業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転4ポイント、悪化23ポイントでDI値はマイナス19ポイントとなり、前月のマイナス18ポイントに対し、1ポイントの悪化となり依然、厳しい状況である。特に、建設業で悪化傾向が強い。
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