調査レポート
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景気動向調査
 平成17年7月  (平成17年7月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕7月の特色
◆ 景況感に持直し傾向
◆ 原材料、原油高等コスト増が収益を圧迫
  〔 2 〕7月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転11、悪化31でDI値はマイナス20となり、前月のマイナス25に対し5ポイントの改善となっている。

 景況感DI値は、3ヶ月連続の改善の動きとなり、マイナス20台で推移しているなど、数値の動きでは持ち直し傾向となっている。改善の要因は、好転業種の増加によるものが大きい。

 他の主要な動向については、景況感DI値と同様に、それぞれ前月の動向に対し、売上高DI値1ポイント、販売価格DI値4ポイントの改善の動きとなった。

 しかし、売上高DI値、販売価格DI値ともに水面下での改善であり、また、収益状況DI値はマイナス27で、前月と同数値と厳しい状況が続いている。

 金型、機械関係など一部業種の需要回復の動きは続いているが、全体的には、需要低迷、企業間競争激化、低価格販売、収益悪化など厳しい経済環境が続いており、中小企業の現状は依然厳しい状況にある。

 コメントでは、金型、機械工具の設備投資関連業種は回復基調にあるとしており、また、愛知万博の波及効果により旅館等で好調という声がある。しかし一方で、依然として公共工事の縮小や消費の低迷、原材料の上昇、また、原油高に伴う燃料費をはじめとする諸経費の増大・転嫁難などにより厳しい経営環境が続いているという声が多く出ている。

 前年同月比業況悪化が特に多い業種は、各種物産品、商店街である。

 前年同月比業況好転業種は、食肉、米菓、寒天水産、メッキ、県金属工業団地、金型、機械・工具販売、家電機器販売、長良川畔旅館である。
  主な業種区分の業況概況
食料品
前年同月比売上は、食肉、米菓、寒天水産、製麺で増加、牛乳・乳製品、豆腐、菓子で低調横這いとなった。収益状況については、全般に改善傾向は弱く、売上増加となった業種においても収益の改善傾向は弱く、反対に悪化している業種があるなど依然厳しい業況が続いている。

繊維・同製品
織物等川上業種では、前年同月比売上は、低調横這いとなった。アパレル関連は、全業種で減少となっている。全体では、収益状況、景況感ともに回復はなく、業界は非常に厳しい状況が続いている。

木材・木製品
前年同月比売上は、低調横這い又は減少となっている。住宅建築需要の低迷による需要不振、低価格化等により業界は依然厳しい状況が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチック
前年同月比売上は低調横這いとなった。その中で、プラスチックで増加となった。売上が増加したプラスチックにおいても原材料の値上げが実施され、今後の動向が懸念される。

窯業・土石
陶磁器等では、前年同月比売上は、全般に低調横這いとなっている。その中で、陶磁器(輸出)は増加となった。また、石灰については堅調な動きが続いている。建設資材の土石では、全業種で減少となった。全体では、収益状況、景況感に改善傾向は無く、依然厳しい状況が続いている。

機械・金属
前年同月比売上は、メッキ、県金属工業団地、可児工業団地、金型、輸送用機器で増加、鋳物、刃物等金属製品(輸出、内需)、電気機械器具で低調横這いとなった。全般に、収益状況、景況感の改善は弱く、依然、景況の回復は弱く厳しい状況にある。その中で、県金属工業団地、金型は堅調に推移している。

各種物産品
前年同月比売上は、観光物産、ギフトともに減少となった。ギフトにおいては、依然、強い業況悪化の動きが続いている。

卸売業
前年同月比売上は、機械・工具販売の増加を除き、全般に低調横這いとなった。消費需要低迷が続く中、全体的に低迷が続いている。その中で、機械・工具販売は堅調に推移している。

小売業
前年同月比売上は、動向が分かれ、家電機器販売、石油製品販売、共同店舗(東濃)で増加、水産物、中古自動車販売で低調横這い、青果、メガネ販売、共同店舗(飛騨)、生花販売で減少となった。業界は、個人消費の低迷が続く苦しい状況が続いている。

商店街
前年同月比売上は、低調横這い又は減少となっている。収益状況、景況感に悪化傾向が強く厳しい状況が続いている。

サービス業
前年同月比売上は動向が分かれ、自動車車体整備、長良川畔旅館で増加、クリーニング、映像制作、飲食業、理容・美容業で低調横這い、自動車タイヤ整備、高山旅館、広告美術、情報サービス業、ビルメンテナンスで減少となった。長良川畔旅館については、愛知万博の効果により宿泊客の大幅増加が続いている。

建設業
前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いとなっている。また、土木(岐阜地区、飛騨地区)において、主要指標が全て悪化となる厳しい状況となった。業界は、公共工事の発注量の減少、厳しい受注単価により業況悪化が続いている。

運輸業
前年同月比売上について、軽運送は増加、貨物運送は減少となった。軽運送は、愛知万博による貸切需要の増加により、売上、収益ともに増加となった。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加23、減少29でDI値はマイナス6となり、前月のマイナス7に対し、1ポイントの改善となっている。
 売上動向のDI値は、6ヶ月連続の改善の動きとなった。前月の動向との比較では、業種別に見ると、全般に変化が小さい中、食料品、小売業に改善傾向が出ている。
 前年同月比売上増加となったのは、プラスチック、陶磁器(輸出)、石灰、機械・工具販売、家電機器販売、石油製品販売、共同店舗(東濃)、自動車車体整備、長良川畔旅館、軽運送である。
 売上増加業種が特に多いのは、食料品、機械・金属である。
 減少業種が特に多いのは、各種物産品製造、商店街である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇8、下降21でDI値はマイナス13となり、前月のマイナス17に対し、4ポイントの改善の動きとなっている。
 販売価格が上昇した業種は7業種で前月と変わらず、依然、販売価格の改善傾向は弱く、深刻な低価格販売が見られ、激しい受注競争が続いていることが窺われる。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、食肉、プラスチック、生コンクリート、鋳物、金型、機械・工具販売、石油製品販売である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転10、悪化37でDI値はマイナス27となり、前月と同数値で依然厳しい状況が続いている。
 収益状況が好転となったのは、米菓、プラスチック、県金属工業団地、金型、機械・工具販売、共同店舗(東濃)、長良川畔旅館、軽運送である。
 悪化業種が特に多いのは、繊維・同製品、窯業・土石、各種物産品、建設業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転5、悪化24でDI値はマイナス19となり、前月のマイナス14に対し、5ポイントの悪化となり、依然、厳しい状況である。特に、各種物産品、建設業で悪化傾向が強い。
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