調査レポート
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景気動向調査
 平成17年8月  (平成17年8月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕8月の特色
◆ 景況感持ち直し傾向が持続
◆ 原材料・原油高等によるコストアップが拡大
  〔 2 〕8月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転12、悪化31で、DI値はマイナス19となり、前月のマイナス20に対し、1ポイントの改善となっている。

 景況感DI値は、4ヶ月連続の改善の動きとなった。当月の改善は、改善業種の微増によるものであり、概ね横這いの緩やかな改善にとどまっている。

 他の主要な動向については、それぞれ前月の動向に対し、売上高DI値、販売価格DI値、収益状況DI値ともに1ポイントの緩やかな改善の動きとなった。

 しかし、収益状況のDI値は、マイナス26と依然大きなマイナス水準で、企業経営は厳しい状況が続いていることが推測される。

 前月に続き、金型、機械関係等の業種に出ている需要回復の動き、愛知万博の効果により旅館等が好調な業績を続けているなど、一部に明るい動きもみられるが、多くの業種は、需要不足による企業間競争の激化、個人消費の低迷等による低価格、低収益が続き、特に、原油、原材料価格の高騰による経費増が拡大し、先行き不安等、厳しい環境が続いている。

 また、依然として公共事業の縮小、消費の低迷、原油・原材料価格の高騰などによる景況の停滞感、先行き不透明感を訴える声が出ている。

 前年同月比業況悪化が特に多い業種は、各種物産品、商店街、建設業である。

 前年同月比業況好転業種は、食肉、米菓、寒天水産、メッキ、県金属工業団地、可児工業団地、金型、機械・工具販売、長良川畔旅館、広告美術である。
  主な業種区分の業況概況
食料品
前年同月比売上は、動向が分かれ食肉、米菓、寒天水産で増加、牛乳・乳製品、豆腐で低調横這い、菓子、製麺で減少となった。売上増加となった業種においても収益状況に改善傾向は無く、反対に悪化している業種があるなど依然厳しい業況が続いている。

繊維・同製品
織物等川上業種では、前年同月比売上は、減少又は低調横這いとなった。アパレル関連は、紳士服で増加、婦人・子供服、縫製で減少となった。全体では、収益状況、景況感ともに悪化傾向が強く、業界は非常に厳しい状況が続いている。

木材・木製品
前年同月比売上は、低調横這い又は減少となっている。住宅産業の低迷の中、原材料、燃料等のコストアップ、製品価格への転嫁難も加わり、業界は依然厳しい状況が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチック
前年同月比売上は低調横這いとなった。その中で、プラスチックは前月に続き増加となった。売上増加となったプラスチックにおいても原材料価格に関する先行き不安がでている。

窯業・土石
陶磁器等では、前年同月比売上は、全般に低調横這いとなっている。その中で、陶磁器(輸出)は増加となった。また、石灰については堅調な動きが続いている。建設資材の土石では、生コンクリートで増加、砂利、砕石で減少となった。全体では、収益状況、景況感に悪化傾向が強く厳しい状況が続いている。

機械・金属
前年同月比売上は、刃物等金属製品(内需)メッキ、県金属工業団地、可児工業団地、金型、輸送用機器で増加、鋳物、刃物等金属製品(輸出)、電気機械器具で低調横這いとなった。県金属工業団地、金型は堅調に推移しているが、全体では、収益状況、景況感の改善傾向は弱く、依然厳しい状況にある。

各種物産品
前年同月比売上は、観光物産、ギフトともに減少となった。ギフトにおいては、主要指標が全て悪化となるなど、依然、強い業況悪化の動きが続いている。

卸売業
前年同月比売上は、機械・工具販売で増加、総合卸売(飛騨)で低調横這い、電設資材、陶磁器産地卸で減少となった。消費需要の低迷により全体的に厳しい状況が続いている。その中で、機械・工具販売は堅調に推移している。

小売業
前年同月比売上は、動向が分かれ、石油製品販売、共同店舗(東濃)で増加、青果、水産物、中古自動車販売、生花販売で低調横這い、家電機器販売、メガネ販売、共同店舗(飛騨)で減少となった。業界は、個人消費の低迷により苦しい状況が続いている。

商店街
前年同月比売上は、低調横這い又は減少となっている。収益状況、景況感の回復傾向はなく、商店街の不況感は強く、厳しい状態となっている。

サービス業
前年同月比売上は動向が分かれ、自動車車体整備、長良川畔旅館、広告美術で増加、高山旅館、クリーニング、情報サービス業、映像制作、飲食業、ビルメンテナンス、理容・美容業で低調横這い、自動車タイヤ整備で減少となった。長良川畔旅館については、引続き愛知万博の効果により宿泊客の大幅増加となった。

建設業
前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いとなっている。また、土木(岐阜地区、飛騨地区)、土木・建築(羽島地区)において、主要指標が全て悪化となる厳しい状況となった。業界は、公共工事の発注量の減少、厳しい受注状況等により業況悪化が続き、資金繰りも悪化傾向が強まっている。

運輸業
前年同月比売上について、貨物運送は低調横這い、軽運送は減少となった。また、収益状況、景況感についても改善傾向は無く、厳しい状況となっている。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加24、減少29でDI値はマイナス5となり、前月のマイナス6に対し、1ポイントの改善となっている。
 売上動向のDI値は、7ヶ月連続しての改善の動きとなるなど、緩やかな改善傾向が続いている
 前年同月比売上増加となったのは、食肉、米菓、寒天水産、メンズアパレル、プラスチック、陶磁器(輸出)、石灰、機械・工具販売、石油製品販売、共同店舗(東濃)、自動車車体整備、長良川畔旅館、広告美術である。
 売上増加業種が特に多いのは機械・金属である。
 減少業種が特に多いのは、繊維・同製品、各種物産品である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇11、下降23でDI値はマイナス12となり、前月のマイナス13に対し、1ポイントの改善となり、2ヶ月連続での改善の動きとなっている。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、食肉、寒天水産、プラスチック、生コンクリート、鋳物、金型、機械・工具販売、水産物商業、石油製品販売である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転8、悪化34でDI値はマイナス26となり、前月のマイナス27に対し、1ポイントの改善となっている
 DI値は、緩やかな改善傾向が見られるが、依然強いマイナスの値であり、厳しい収益状況が続いている。
 収益状況が好転となったのは、プラスチック、県金属工業団地、可児工業団地、金型、機械・工具販売、長良川畔旅館、広告美術である。
 悪化業種が特に多いのは、繊維・同製品、各種物産品である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転7、悪化23でDI値はマイナス16となり、前月のマイナス19に対し、3ポイントの改善ではあるが、依然、厳しい状況である。特に、建設業で悪化傾向が強い。
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