調査レポート
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景気動向調査
 平成17年12月  (平成17年12月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合(うち84名分の集計)に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕12月の特色
◆ 景況停滞感
◆ 原材料・原油高の価格転嫁難が問題
  〔 2 〕12月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転13、悪化29でDI値はマイナス16となり、前月のマイナス14に対し、2ポイントの悪化となっている。

 景況感DI値は、4月以降、緩やかな改善傾向が続いていたが、7ヶ月ぶりに悪化の動きとなった。その要因は、改善業種、悪化業種の割合ともに増加したが、悪化業種割合の増加が改善業種割合の増加を上回ったことによるものである。

 他の主要な動向については、それぞれ前月の動向に対し、売上高DI値3ポイントの改善、販売価格DI値2ポイントの悪化、収益状況DI値2ポイント改善の動きとなった。

 売上高DI値は、プラスの値(プラス3)に転じるなど改善の動きが続いている。また、収益状況DI値についても緩やかな改善傾向が見られるが、マイナス26と依然大きなマイナス水準であるなど、取引先からの低価格要請が続く厳しい状況に加え、原材料費の上昇、原油の高騰に伴う燃料費や石油系材料・資材の価格上昇などによるコスト増が収益を圧迫し、売上の増加が収益改善に結び付きにくい状況が続いている。

 金型、機械関係の業種等の業況は引き続き好調であるが、他の業種では、公共事業の縮小、企業間競争、原油・原材料価格の高止まり、低価格志向などの厳しい状況が続いている。そのため、全般的には、景気の先行きに対する不安感は依然根強く、中小企業の経営状況の改善は進んでいない。

 前年同月比業況悪化が特に多い業種は、卸売業、商店街、建設業である。

 前年同月比業況好転業種は、食肉、米菓、印刷、機械・工具販売、共同店舗(東濃)、自動車タイヤ整備、軽運送である。
 前年同月比業況好転が特に多い業種は、機械・金属である。

  主な業種区分の業況概況
食料品
 前年同月比売上は、動向が分かれ豆腐、食肉、米菓で増加、牛乳・乳製品で低調横這い、菓子、寒天水産、製麺で減少となった。売上増加となった業種においても収益状況に改善傾向は無く、反対に悪化している業種があるなど依然厳しい業況が続いている。

繊維・同製品
 織物等川上業種では、前年同月比売上は、低調横這い又は減少となった。アパレル関連は、紳士服、縫製ともに増加となった。全体では、収益状況、景況感の回復傾向は弱く、厳しい状況が続いている。

木材・木製品
 前年同月比売上は、製材、銘木で増加、集成材、家具(飛騨地区)で低調横這い、東濃ひのきで減少となった。住宅着工数の低迷など、業界は依然厳しい業況が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチック
 前年同月比売上は印刷、プラスチックで増加、家庭紙、特殊紙、紙加工品で低調横這いとなった。売上が増加したプラスチックにおいても原材料の値上げが実施されたため、今後の動向を懸念している。

窯業・土石
 前年同月比売上は、全般に低調横這いとなっている。その中で、陶磁器(輸出)は増加となった。石灰は減少傾向となった。建設資材の土石では、砂利で低調横這い、生コンクリート、砕石で減少となった。全体では、収益状況、景況感に改善傾向は無く、依然厳しい状況が続いている。

機械・金属
 前年同月比売上は、鋳物、刃物等金属製品(内需)、メッキ、県金属工業団地、電気機械器具、輸送用機器で増加、金型で堅調推移、刃物等金属製品(輸出)、可児工業団地で横這いとなった。業界は、需要回復傾向にあるが、原油価格、原材料等の上昇分を全て販売価格へ転嫁できないため、収益の伸びが弱い状況にある。

各種物産品
 前年同月比売上は、観光物産、ギフトともに減少となった。全業種で収益、景況ともに悪化となるなど依然、強い業況悪化の動きが続いている。

卸売業
 前年同月比売上は、陶磁器産地卸、機械・工具販売で増加、総合卸売(飛騨)、電設資材卸で低調横這いとなった。消費需要の低迷が続く中、全体的に厳しい状況が続いている。その中で、機械・工具販売は堅調に推移している。

小売業
 前年同月比売上は動向が分かれ、家電機器販売、石油製品販売、共同店舗(東濃)で増加、水産物商業、中古自動車販売、共同店舗(飛騨)で低調横這い、青果販売、メガネ販売、生花販売で減少となった。業界は、消費需要の低迷、低価格志向、企業間競争等により業況は依然厳しい状況である。

商店街
 前年同月比売上は、高山市の低調横這いを除き、全般に減少となった。12月は降雪日が多く、来街者の減少の影響が出ている。

サービス業
 前年同月比売上は動向が分かれ、自動車車体整備、自動車タイヤ整備、高山旅館、理容・美容業で増加、長良川畔旅館、広告美術、情報サービス業、飲食業、ビルメンテナンスで低調横這い、下呂温泉、クリーニング、映像制作で減少となった。一部に販売価格が上昇した業種も見られるが、全体では横這い傾向であり、収益状況の改善も見られないなど、業況は依然厳しい状況が続いている。降雪の影響により、自動車関係の業種に売上増加が見られたが、旅館関係では、逆に降雪の影響により客足が遠くなる影響もでている。
建設業
 前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いとなっている。土木(岐阜地区、飛騨地区)、土木・建築(羽島地区)においては依然、主要指標の悪化傾向が強く厳しい状況である。業界は、公共工事の発注量の減少、企業間競争等、厳しい受注状況により収益状況、景況感悪化が続く厳しい状況である。

運輸業
 前年同月比売上は、前月に続き貨物運送、軽運送ともに増加となった。軽運送は、大雪の影響による需要増加により、売上、収益ともに増加となった。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加32、減少29でDI値はプラス3となり、前月の0に対し、3ポイントの増加となっている。
 DI値は、8月以降一進一退の状況が続いている。今回は、前月に続き2ヶ月連続での改善の動きとなり、再びプラスの値となった。
 前年同月比売上増加となったのは、豆腐、食肉、米菓、紳士服、縫製、製材、銘木、印刷、プラスチック、陶磁器(輸出)、陶磁器産地卸、機械・工具販売、家電機器販売、石油製品販売、共同店舗(東濃)、自動車車体整備、自動車タイヤ整備、高山旅館、理容・美容業である。
 売上増加業種が多いのは機械・金属、運送業である。
 減少業種が多いのは、各種物産品製造、商店街である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇13、下降18でDI値はマイナス5となり、前月のマイナス3に対し、2ポイントの悪化の動きとなっている。
 販売価格が上昇した業種は、前月より5業種増加し11業種となったが、それ以上に下降業種が増加したことによる悪化である。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、食肉、寒天水産、紳士服、プラスチック、生コンクリート、鋳物、メッキ、機械・工具販売、石油製品販売、共同店舗(東濃)、自動車タイヤ整備である。
 下降業種が多いのは、建設業である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転12、悪化38でDI値はマイナス26となり、前月のマイナス28に対し、2ポイントの改善の動きとなっている。
 DI値は、緩やかな改善の動きが見られるが、依然強いマイナスの値であり、厳しい状況が続いている。
 収益状況が好転となったのは、米菓、縫製、メッキ、県金属工業団地、電気機械器具、輸送用機器、機械・工具販売、共同店舗(東濃)、自動車タイヤ整備、軽運送である。
 悪化業種が多いのは、食料品、各種物産品製造、商店街、建設業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転6、悪化25でDI値はマイナス19となり、前月のマイナス21に対し、2ポイントの改善であるが、水面下の厳しい状況である。特に、商店街、建設業で悪化傾向が強い。
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