調査レポート
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景気動向調査
 平成18年5月  (平成18年5月末調査)
 岐阜県中小企業団体中央会では、県内中小企業の現況、課題を迅速にとらえ、これらの情報を関係行政等へ提供するとともに、本会事業の活用に資することを目的に、中小企業団体情報連絡員制度(政府指定事業)を実施しております。

 当制度に基づき、県内の主要業種85組合(うち84名分の集計)に中小企業団体情報連絡員を設置し、毎月の調査報告を収集しております。

 本レポートは、その中で、県内中小企業の景況動向について取りまとめたものであります。
  〔 1 〕5月の特色
◆ 景況感DI値下降続く
◆ 依然、原材料・原油高の価格転嫁難が問題
  〔 2 〕5月の概況
 当月の景気動向を前年同月比景況感DI値で見ると、好転9、悪化31でDI値はマイナス23となり、前月のマイナス18に対し、5ポイントの悪化となっている。また、2ヶ月連続の改善の後、直近2ヶ月は連続して悪化とり、11月以降、概ね足踏みの状態が続いている。

 他の主要な動向については、それぞれ前月の動向に対し、売上高DI値は、前月と同数値の横這い、販売価格DI値は8ポイントの大幅な改善、収益状況DI値は3ポイントの改善の動きとなり、景況感の動きとは異なっている。販売価格DI値、収益状況DI値の改善要因は、悪化から不変への変化による要因が大きく、回復の動きとしては十分ではない状況にある。

 業種別に景況動向を見ると、概ね前月と同様な状況にあり、特色として、一般機械、輸送用機器の業況は引き続き好調、繊維、建設等では引続き厳しい状況があげられる。
 コメントの中には、好調な機械関係の業種においても、原材料、資材価格の上昇により、受注増加の割に収益の伸びは弱いとの指摘がある。また、業況の低迷要因として、依然、公共事業の縮小、原油・原材料高によるコストアップと価格転嫁難の指摘が多く、食料品、縫製業では、天候不順等による景況の停滞感を指摘する意見が出ている。

 前年同月比業況悪化が特に多い業種は、商店街、建設業である。
 前年同月比業況好転業種は、米菓、縫製、県金属工業団地、金型、輸送用機器、各種物産品(観光)、機械・工具販売である。
  主な業種区分の業況概況
食料品
 前年同月比売上は、全般に低調横這い又は減少となった。その中で、米菓は増加となった。全般に収益状況、景況感の回復傾向は弱く、依然厳しい業況が続いている。

繊維・同製品
 前年同月比売上は、織物等川上業種、アパレル関連共に減少又は低調横這いとなった。全体では、収益状況、景況感ともに回復傾向は弱く、業界は、依然厳しい状況が続いている。

木材・木製品
 前年同月比売上は、全体的に低調横這い又は減少となっている。その中で、銘木は増加となった。東濃ひのきにおいては、先月に続き、主要指標の全てが悪化と厳しい状況。住宅産業の低迷の中、業界は厳しい状況が続いている。

紙・紙加工品、印刷、プラスチック
 前年同月比売上は低調横這い又は減少となった。全般的に、収益状況に悪化傾向が強く、景況感も回復傾向のない厳しい状況である。

窯業・土石
 前年同月比売上は、全般に低調横這いとなっている。石灰は前月に続き悪化となった。建設資材の土石では、砂利で低調横這い、生コンクリート、砕石で減少となった。全体では、収益状況、景況感に改善傾向は無く、依然厳しい状況が続いている。

機械・金属
 前年同月比売上は、刃物等金属製品(内需)、メッキ、県金属工業団地、金型、電気機械器具、輸送用機器で増加、鋳物、刃物等金属製品(輸出)、可児工業団地で横這いとなった。業界は、引続き需要回復、景況改善の傾向にある。懸念材料は、原材料等の価格上昇の影響により収益の回復力が弱いことである。

各種物産品

 前年同月比売上は、観光物産品で低調横這い、ギフトで減少となった。ギフトにおいては、依然、強い業況悪化の動きが続いている。

卸売業
 前年同月比売上は、機械・工具販売で増加、医薬品卸、電設資材卸で横這い、陶磁器産地卸で減少となった。需要低迷が続く中、全体的に厳しい状況が続いている。その中で、機械・工具販売は堅調に推移している。

小売業
 前年同月比売上は動向が分かれ、石油製品販売、共同店舗(東濃)、生花販売で増加、青果販売、水産物商業、家電機器販売、メガネ販売、中古自動車販売で低調横這い、共同店舗(飛騨)で減少となった。業界は、消費需要の低迷に加え、低価格志向、競争激化等の収益圧迫要因も強く、厳しい業況が続いている。

商店街
 前年同月比売上は、全般に低調横這い又は減少となっている。また、収益状況、景況感に悪化傾向が強く厳しい状況となっている。

サービス業
 前年同月比売上は動向が分かれ、クリーニング、理容・美容業で増加、自動車車体整備、自動車タイヤ整備、下呂温泉、高山旅館、広告美術、情報サービス業、映像制作、飲食業、ビルメンテナンスで低調横這いとなった。全体の景況は、一部に販売価格、収益状況が上昇した業種も見られるが、全体では、販売価格、収益状況等ほぼ横這いの状況となっている。

建設業
 前年同月比売上は、全般に減少又は低調横這いとなっている。土木(岐阜地区、飛騨地区)、土木・建築(羽島地区)、管設備工業においては、主要指標の悪化傾向が特に強く厳しい状況である。業界は、年度初めの公共工事端境期、民需低迷による低水準の受注状況のため、公共工事の早期発注の強い要望が出ている。

運輸業
 前年同月比売上は、貨物運送で増加、軽運送で減少となった。貨物運送については引続き堅調に推移している。しかし、燃料費の高騰が問題である。
  主な調査項目での動向
売上動向は、前年同月比で増加19、減少31でDI値はマイナス12となり、前月と同数値の横這い傾向となっている。
 DI値は、昨年8月以降、一進一退の状況が続いていており、今回は前月の対前年比大幅な減少から横這いと低調な推移となった。
 売上増加業種が他に比べて多いのは、機械・金属業である。その他の業種で増加となったのは、米菓、銘木、各種物産品(観光)等16業種である。
 減少業種が多いのは、繊維・同製品、商店街、建設業である。

販売価格の動向は、前年同月比で上昇11、下降11でDI値は0となり、前月のマイナス8に対し、8ポイントの大幅な改善の動きとなっている。
 販売価格の上昇した業種は前月より2業種減少し9業種となったが、下降業種が5業種減少したため、DI値は大きな改善の動きとなった。
 前年同月比販売価格が上昇したのは、食肉、寒天水産、縫製等9業種である。

収益状況の動向は、前年同月比で好転10、悪化38でDI値はマイナス28となり、前月のマイナス31に対し、3ポイントの改善の動きとなっている。
 DI値は、緩やかな改善傾向が見られるが、依然強いマイナスの値であり、厳しい収益状況が続いている。
 収益状況が好転となったのは、縫製、県金属工業団地、金型等8業種である。
 悪化業種が特に多いのは、食料品、商店街、建設業である。

資金繰りの動向は、前年同月比で好転5、悪化18でDI値はマイナス13となり、前月のマイナス12に対し、1ポイントの悪化となり依然、厳しい状況である。特に、商店街で悪化傾向が強い。
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