火災・防災対策豆知識
照明器具は10年を目安に点検・交換しましょう
お使いの照明はいつ買ったものですか |
一度取り付けてしまうとそのままになりがちな照明器具にも寿命があることを知っていますか?先日ニュースで古くなった照明器具から発火・発煙するという事故が起こっているという記事が報じられていました。昨年の5月からの1年間で照明器具の経年劣化による火災が6件発生したという報告もあります。
一般に照明器具の寿命は10年と言われていますが、壊れない限り使いつづけることが多いため、10年以上使っているという方も多いのではないでしょうか。賃貸住宅ではいつ設置されたかわからない照明器具が何年も使われつづけることもあるでしょう。照明器具の寿命は、1日10時間点灯し、1年3,000時間点灯した場合を基準に考えられています。使用頻度や使われる部屋の環境によっても変わりますが、あまり使用していないとしても、古くなると自然に劣化していくため、定期的な点検が必要です。
劣化の起こる器具箇所は、主に安定器部・ソケット部・電線などが考えられます。安定器は蛍光灯を点灯するためには必要な部品です。点灯時には負荷が大きくかかるため、8年から0年が寿命と言われていますが、設置された部屋の温度や湿度が高い場所では劣化も特に早まるようなので注意しましょう。
社団法人日本照明器具工業会のHPには照明器具の安全チェックシートが掲載されており、例えば下記のようなチェック項目が挙げられています。
・スイッチを入れても点灯しないことがある
・プラグ・コード・本体を動かすと点滅する
・プラグ・コードが異常に熱い
これらに当てはまることはありませんか?経年劣化以外にもコードとソケット部やプラグ部の接続不良・接続がゆるい場合にもこのような現象が起こることがあります。他にも点検のポイントが挙げられているので、ぜひ確認してみて下さい。
照明メーカーでは年に2回は器具を掃除することを勧めています。汚れの付きにくい場所でも少なくとも年1回は掃除をし、掃除の際に器具に異常がないか点検するとよいでしょう。
現在は照明器具の製造年が銘板に記載されているので賃貸住宅などでもともとついている照明器具でもいつ製造されたものなのかを調べることができます。古い器具では記載がないものもあるので、器具に表示されている型番を調べてメーカーに問い合わせてみるといいでしょう。
防火地域とは?
建物の延焼防止対策は、生活をする上で重要な課題です。中心市街地や主要駅前、主要幹線道路沿いなど、大規模な商業施設や多くの建物が密集し、火災などが起これば大惨事になりかねない地域では、建物の構造を厳しく制限して防災機能を高めることが求められます。このような地域で指定されるのが「防火地域」で、建物は原則として耐火建築物、つまり一般的には鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造などの建築物としなければなりません。ただし、地階を含む階数が2以下で、かつ、延面積が100平方メートル以下の建築物は準耐火建築物とすることができます。また、次のものには防火地域の制限が適用されません。
・延面積が50平方メートル以内の平家建の附属建築物で、外壁および軒裏が防火構造のもの
・高さが2mを超える門または塀で、不燃材料で造るか、または、不燃材料で覆われたもの
・高さが2m以下の門または塀
図01:防火地域内の建築制限 |
なお、防火地域内においても、一定の耐火性能を有するものとして国土交通大臣の認定を受けたものであれば、木造住宅などを建築することができます。ただし、これが認定され始めたのは近年(枠組壁工法が平成16年4月、在来軸組工法が平成18年10月)のことであり、まだあまり一般的にはなっていません。従来から普及しているタイプの木造住宅は防火地域内に建てることができませんから、木造住宅を建てるための土地を探すときには注意が必要です。防火地域の多くは商業地域(用途地域の一種)となっていますが、場所によってはほとんどのエリアが防火地域に指定されている場合もあります。このようなエリアで「木造のための土地」を探しても、該当物件をみつけることはほとんど困難ですから、土地探しを始める前に、あらかじめ希望エリアにおける都市計画の内容を確認しておくことも大切です。
トラッキング火災ってなに?
コンセントにプラグを差し込み、そのままにしておくと上にほこりがたまります。そのほこりが湿気を帯びて、プラグの電極間で放電が始まり、発熱・発火に至るとトラッキング火災が起こります。大型家具の裏の差し込みっぱなしのコンセント付近や、水を扱う台所、洗面所付近のコンセントなどにトラッキング火災が起きやすくなります。最近実際に発生件数も増えており、東京消防庁発行の「平成19年度版火災の実態」によると、東京都消防庁管轄内のトラッキング火災の件数は平成18年で84件、前年比20件の増加となっています。
トラッキング火災の予防方法:こまめに掃除する、こまめに抜く
トラッキング火災予防には、次の点をチェックすることが大切です。
・定期的にコンセントまわりりの掃除をし、ほこりがたまらないようにする。
・使用しないときはなるべくプラグを抜き、差しっぱなしを避ける。
・プラグを抜くときはプラグ本体を持って抜き、差し込むときは奥までしっかり差し込むようにする。
・電気コードは、高温になることがあるので束ねずに使用する。
特に注意したい部分は換気扇、冷蔵庫、エアコン、洗濯機、洗面台、テレビのプラグです。年末の大掃除の際には、ぜひコンセントやプラグ周りをチェック、掃除をするようにしてください。
火災の危険を見抜くには?
身の回りにはいろいろな危険があります。地震などの自然災害を除けば、そうした危険の兆候は見えているもの。空気が乾燥する秋から冬にかけては火事が気になる季節です。自分の住まいから火の不始末などで火を出す危険性を除けば、怖いのは放火、そして周辺からのもらい火です。逆に言えば、放火されやすい場所、延焼しやすい場所の特徴を知り、放火されにくい環境を心がければ、危険性は少なくなるということです。火災の危険を見抜くにはどのような点に注目したらいいでしょうか。
放置された自転車、ゴミには放火される危険大!
火災原因のうち、ここ何年か連続1位となっているのが放火です。出火原因の13%から15%が放火といいますから、放火を防ぐことができれば、火災の危険性はかなり低くなると言えます。そのため、重要なのは建物周辺に火を付けられるようなものが放置されたままになっていないかどうかが鍵となります。具体的には、収集日以外や夜中に出されたゴミ、不在でポストに溜まってしまった新聞やチラシ、放置された自転車、古新聞や雑誌の束などが危険です。言い変えると、ゴミ収集のルールを守らない人が多い街や、自宅周辺、自室前にダンボールなどを積み上げて平気な、マナー違反の人が多い街は放火が起こりやすい環境だということになるのです。街全体に乱雑な、散らかったような印象がある場合は危険だと言えるでしょう。
最近のマンションでは公道と敷地の境に高低差を設けるなどして安易に侵入できないような工夫がされていたり、敷地や建物内に侵入されないようになっているなど、不審者が目につきやすくなっている環境が多くなっています。マンションなどの集合住宅でいえば、敷地周辺を防犯カメラが監視していたり、オートロックなどで入りにくくなっていたり、死角になりがちな場所に照明やセンサーを設置するなどの対策が施されていると安心です。こうした設備は本来、セキュリティ面への配慮と思われていますが、同時に放火対策にもなります。住まいの周辺では人目につきにくい、街灯が切れているような暗がりは危険箇所です。そんな場所でゴミが放置されていたら、危険性は一気に高まります。もし、近所にそんな場所があったら、街灯の電球交換を自治体、自治会などに働きかけるなどして、危険を減らしていくようにしましょう。もっとも効果的なのは、自治体で防犯パトロールを行い、地域で互いに声を掛け合う運動を行うことです。空き巣同様、何か悪いことをしようと思っている人間は、人目に付くことを嫌がりますから、不審者に監視の目が行く街では犯罪放火も起きにくくなります。
消防庁ではこうした放火の防止対策(PDF)を冊子にまとめています。中には我が家の放火対策に対する危険度をイエス・ノー方式で知る設問もあり、役に立ちます。
古い木造家屋、密集した住宅は延焼の危険あり
周囲で火災が起きたときや地震が起きたときに怖いのは周辺からのもらい火です。まず、建物の耐火性能について知っておきましょう。
建物には耐火構造と準耐火構造の主に2種類があります。そのうち、耐火構造は壁・柱・床・梁・屋根・階段などの主要な構造部分が、一定の耐火性能を持った構造の建物を指します。ここで言う一定の耐火性能とは、通常の火災が起きてから30分から3時間以上の間、その建物が倒壊したり他に延焼したりしない性能のことです。建物の部位や階数ごとにどの程度の時間に耐えられるかが定められています。
一般的には、耐火構造の建物とは、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造・レンガ造・コンクリートブロック造などの建物で、鉄骨自体が火に強いわけではないのですが、耐火性の高い外装材を使用することで耐火建築物とされています。
準耐火構造とは、耐火構造に準ずる耐火性能をもっている構造のことをいいます。耐火構造に比べ、建物の主要構造部分が火や熱などに耐える時間が30分から45分と短くなり、耐火構造が鎮火後も補修程度で再使用できるのに対し、準耐火構造では延焼防止が目的です。2×4工法やプレハブ工法、在来工法などで、内装下地に石膏ボードを利用した建物などがこれにあたります。
住宅が密集している地域では建物が耐火構造だとしても、隣家で火が出た場合、窓ガラスが割れて、そこから火が着く場合に火に強いのはやはい耐火構造の建物です。住まい周辺の住宅その他の建物を見て、周辺地域の火災への耐火構造が多ければ、比較的安全だといえます。もし、まわりに木造住宅が多い場合には、自分の住まいとの距離や位置関係に注目してください。
古い木造住宅が密集している地域は一般的に火災に弱いといわれます。それでも家同士の距離や道幅が十分であったり、公園などを挟んでいるのなら、それほど心配いらないでしょう。道幅の目安は最低でも6m〜8mは必要です。これは阪神淡路大震災のとき、延焼を食い止めた道路幅にあたります。しかし、そのときの風速が3mと無風状態に近かったため、もう少し道幅がある場所のほうが安心かもしれません。
また阪神淡路大震災からの教訓としては、庭木や生け垣などの緑も延焼を食い止める作用があるといいます。